Insider's Eye

Longhorn Serverへの最新OS戦略(後編)

―― 次期Windows Serverのロードマップを検証 ――

2004/07/07
Copyright (C) 2004, Redmond Communications Inc. and Mediaselect Inc.


本記事は、(株)メディアセレクトが発行する月刊誌『Directions on Microsoft日本語版』 2004年7月15日号 p.11の「Longhorn Serverへの最新OS戦略」を、許可を得て転載したものです。同誌に関する詳しい情報は、本記事の最後に掲載しています。

Longhornに先立ちWindows XPを一新

 クライアント側について、Microsoftは、中継ぎリリースという性格の強いWindows XP SP2に引き続き注力している。Microsoftは、2006年上半期にLonghornの次の完全なクライアント・リリースを投入すると発表しているが、製品の投入は遅れる可能性が高い。だが、一方で同社は、Windows XPのフルサポートをLonghornクライアントの発売の最低でも2年後まで提供することも発表している。従来は同OSのフルサポートは2006年末に終了することになっていた(Microsoftの新しい製品サポート・ライフサイクル・ポリシーとそのWindows XPへの影響の概要については、コラム「新しい製品サポート・ライクサイクル・フェーズ」を参照)。

MSがビジネス・ユーザーに10年の約束

 また、SP2とLonghornの間に「Windows XP Reloaded」が出荷されるといううわさも繰り返し流れている。しかしMicrosoftによると、このコード名は、主として既存機能(内蔵ファイアウォール・サービスなど)に対する消費者の認知度を高めることにより、Windows XPの販売を促進するというWindowsクライアント組織のマーケティング・プロジェクトのみを指すものだという。

 企業ユーザーは、こうしたMicrosoft側の発言やLonghornが抱える課題に基づき、SP2とLonghornの間でWindowsクライアントのメジャー・アップデートが行われる可能性はないと考えた方がよい。Reloadedプロジェクトの中で唯一ソフトウェアが関係する部分は、PCメーカー向けのWindows XP SP2だけである。これには、今後実施されるMSN Musicサービスへのリンクや、Windows Media Playerなどの新バージョンのクライアント・コンポーネント(これは個別でも提供される)が含まれる。

 これまでに発表されている将来のリリースは、以下のとおりとなる。

●リリースが近づくWindows XP SP2
 SP2では、既知のセキュリティ脆弱性とバグに対応する徹底的にテストされた修正プログラムのほか、電子メールとブラウザのセキュリティを向上させ、バッファ・オーバーランといったネットワーク・ベースの攻撃機会を減らし、ブラウザのポップアップ・ウィンドウの遮断や無線プロトコル・サポートの強化といった機能を追加するため、Windows XPに大幅な変更が加えられる。なお、これらのセキュリティ機能により、デフォルトで無効になるサービスが出るため、アプリケーションの互換性に影響する可能性もある。リリース時期は、2004年夏の見通しだ。

●Windows XP SP2と同時提供されるTablet PC Edition 2005
 「Lonestar(ローンスター)」というコード名の付いたTablet PCプラットフォームのリフレッシュ製品であり、ペン入力の改善、Office 2003やOneNoteなどのアプリケーションとの統合強化、改良されたディベロッパーAPIの提供などを意図している。Windows XP SP2と同時期に出荷されることになっており、リリース時期は、2004年夏の見通しだ。

●Longhornクライアントへの転換点
 Windowsの次期メジャー・クライアント・リリースとなるLonghornは、Windows NTとWin 32 APIが登場して以来、初めて開発者がアプリケーションを開発する方法を根本的に変えることになる。Microsoftは、これにより、ユーザーのアップグレードを促す新世代のアプリケーションが生み出されると期待している。

 Microsoftは、Longhorn投入に伴い、以下のコード名で呼ばれる新しいサブシステムを導入する予定だ。

開発コード名 機能
Avalon 新しいグラフィックス・システム
Indigo 改良されたWebサービス、およびそのほかのタイプのアプリケーション間通信を可能にする
WinFS SQL Server、NTFSファイル・システム、Windows SharePoint Server、およびそのほかのMicrosoft製品から技術を導入し、ユーザー・データの新たな保存手段を提供する
Longhornで導入される新しいサブシステム

 開発者たちは、MicrosoftのOfficeなど各種製品のチームを含め、いずれもWinFXと呼ばれる新しいAPIセットを介してこれらのサブシステムにアクセスする。WinFXは、.NET Frameworkを大幅に拡張し、OSに移し替えたものだ。リリース時期は、2006年の見通しである。

 既存バージョンのWindows 98/98 SE/Meについては、Microsoftがより新しいWindowsのバージョンに注力している関係で、セキュリティ・ホットフィックス以外の開発作業が一切行われない。また、有料サポートとセキュリティ関係の修正以外に、2006年12月31日までこれらの製品に対して提供されるサポートはない(コラム「Windows OSのサポート状況」を参照)。

 最新のWindowsクライアントであるWindows XPは、2001年12月にリリースされており、Longhornクライアントの発売の2年後にメインストリーム・サポート・フェーズが終了する予定だ。このことは、少なくとも2008年前半までフルサポートが提供されることを意味する。

移行のための新たなマイルストーンを検討

 新しいロードマップは、Windows Server 2003とWindows XPに移行していない組織に対し一定の考慮を促している。

 とりわけ、Windows 2000 Server以前のバージョンを使っている組織は、Windows Server 2003 SP1が出荷された後で移行を真剣に検討しても構わない。これらのシステムは、若干変更を加えることで当分の間使い続けることができるからだ。Windows Server 2003は、少なくとも2008年上半期まで完全にサポートされ、有料サポートと無料のセキュリティ・ホットフィックスの提供は2013年まで続くはずだ。また、既存のWindows Server 2003 SP1システムには、R2に盛り込まれたすべての機能強化を適用することができる(ただし、ソフトウェア・アシュアランスがカバーしていないシステムについてはR2の追加ライセンス料が発生するはずだ)。そのうえ、Longhorn Serverは、どんなに早くても2007年までリリースされないため、それまでメジャー・サーバ・プラットフォーム・リリースを入手することができない。

 同様に、クライアントではWindows XP SP2が、Windows 2000やWindows NT 4.0よりも安全で(リモート・アシスタンスなどの機能によって)高度な管理が可能だったWindows XPの初期バージョンと比べ、はるかに強力なセキュリティを提供する。さらに、Microsoftの新しいライフサイクル・ポリシーの下、Windows XPはLonghornクライアントの発売の最低でも2年後まで、つまり最低でも2008年前半までフルサポートが提供され、有償サポートと無償セキュリティ・ホットフィックスが最低でも2013年まで提供される。このため、Windows 2000やWindows NT 4.0を運用している企業は、Windows XP SP2を導入し、Longhornクライアントとサーバのコード基盤の共通化(2007年または2008年にLonghorn Serverで実現される見通し)を待ってから次の手を打つかもしれない。

参考資料

  • 『Directions on Microsoft日本語版』2004年6月号「XP Service Pack 2でも懸念されるパッチ/セキュリティ導入の遅れ」

  • 『Directions on Microsoft日本語版』2004年1月号「XP Service Packのリリースでセキュリティ・ジレンマが明るみに」

  • 『Directions on Microsoft日本語版』2002年8月号「シングルサインオンでシンプルなリソース共有を実現するTrustBridge」

  • 『Directions on Microsoft日本語版』2003年12月号「Longhorn評価版に見るリリースまでの道のり」

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  関連リンク
  製品ライフサイクル・サポート・ポリシー(マイクロソフト)
  製品サポート・ライフサイクル期日リスト(マイクロソフト)
     

 INDEX
  Insider's Eye
  Longhorn Serverへの最新OS戦略(前編)
    コラム Windows Server Feature Packの特徴
    コラム Windows OSのサポート状況
Longhorn Serverへの最新OS戦略(後編)
    コラム 新しい製品サポート・ライクサイクル・フェーズ
    コラム Windowsロードマップの概要
 
 「Insider's Eye」


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