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最新Microsoft Operations Managerの実力(前編)
―― MOM2005でシステム監視を徹底強化 ――

1.MOM2005の概要

Peter Pawlak
2004/07/28
Copyright (C) 2004, Redmond Communications Inc. and Mediaselect Inc.


本記事は、(株)メディアセレクトが発行する月刊誌『Directions on Microsoft日本語版』 2004年8月15日号 p.14の「最新Microsoft Operations Managerの実力」を、許可を得て転載したものです。同誌に関する詳しい情報は、本記事の最後に掲載しています。

 サーバの稼働状況を集中的に監視/管理するソフトウェア「Microsoft Operations Manager(以下、MOM)」の次期バージョンは、スケーラブルかつセキュアな発展を遂げ、新型のコンソールとレポーティング・システム、管理パックを備える。MOM 2005は2004年秋にリリースが予定され、小規模事業者向けのより安価なスケールダウン版も用意される。MOM 2005のアーキテクチャはあまり変更されないため、MOM 2000システムのアップグレードは比較的容易だろう。その一方、MOM 2005は特別な調整を行わなくても、最初からある程度の情報を取得できるが、使いこなすにはまだかなりのスキルとシステム関連の知識が要求される。

 監視は依然として、重要システムのダウンタイムを最小限度に抑える大切なテクノロジである。そしてMOMは、Windowsサーバを監視するためのMicrosoftの主力製品だ。また、監視とシステム・コンフィギュレーション用の新製品「System Center 2005」のコア・コンポーネントの1つでもある。System Center 2005にはSystems Management Server(SMS)2003も含まれる。System Centerは2004年末に完成予定だ。

MOMの概要
 MOMは、監視対象サーバの重要なイベントを記録して、コンソールにメッセージ(アラート)を送信し、電子メール・アドレスやページャーに通知を送ってオペレータに問題を知らせる。MOMシステムは、すべての監視対象サーバで稼働する管理エージェントと、エージェントがデータを監視しフィルタリングするように設定する。そして、フィルタリングされたデータを中央のSQL Serverデータベースに収集し、データをさらに処理してレポーティングを行うインフラで構成される。各エージェントと管理サーバ上で実行されるルールとスクリプトが、どのイベントが重要なのかを判断する。管理コンソールはデータベースに接続してシステムのステータスを確認する(これらのコンポーネントの相互関係はコラム「MOM 2005のアーキテクチャ」を参照)。

●プロバイダ
 プロバイダとは、MOMエージェントが利用できる生のデータ・ソースである。MOMには多数の汎用およびアプリケーション専用プロバイダが付属する。システムおよびアプリケーション開発者は、すべての重要な稼働情報を1つ以上のプロバイダに供給するようにプログラミングして、アプリケーションにMOM向けの「インスツルメンテーション」を装備する。

●管理パック
 MOM管理パック(MP)は、Active Directory(AD)などのシステム・サービスやExchangeなどのアプリケーションに関連するルールやスクリプト、知識、レスポンス、タスク、レポートの集合である。一部のルールやスクリプト、レスポンスはエージェントに適用され、また一部のものはMOM管理サーバが中央に収集されたデータを分析する際に適用され、2台以上の監視対象デバイスの連携した活動を可能にする。

●コンソール
 MOM 2005は、MOM管理サーバにリモート接続する「管理者用コンソール」「オペレータ用コンソール」「Webコンソール」の3つのコンソール用意している。

管理構想の中核にあるMOM

 システム管理はMicrosoftの最優先課題となりつつある。同社は、コーディングの開始以前の段階から管理機能をアプリケーションとシステム・コンポーネントに組み込むことを提唱するDynamic Systems Initiative(DSI)という長期戦略を持つ。この管理機能には次の2つの要素が関係する。

●インスツルメンテーション(システム監視の機能装備)
 飛行機には位置や高度、姿勢、エンジンの測定値などの情報をパイロットに伝える各種の機器(計器)があるように、ソフトウェア開発者もOSコンポーネントやアプリケーションに「機器を装備」させて重要なイベントやパフォーマンス情報を表示させることができる。

●知識
 飛行機のたとえをもう少し押し進めるなら、パイロットを代行できる自動操縦装置を作る場合、インスツルメンテーションは第一歩に過ぎない。自動操縦装置はパイロットが学習したのと同じ飛行知識を獲得し、それを機器の測定値と航空交通管制通信と組み合わせて飛行機を安全に飛ばさなければならない。同様に、システムが自らを管理できるようにすることをソフトウェア開発者が望むなら、システムが分散環境で自ら適切に稼働し、人間の補助を要する問題を正しく識別するために必要な運用上の「知識」を何らかの方法で供給する必要がある。

 専門の管理知識が標準的なOSとアプリケーション・コンポーネントに含まれるようになるにはまだ数年かかるが、Microsoftは開発者とIT専門家に対し、いまから管理知識をアプリケーション自体の中ではなくアプリケーションとともに出荷されるMOM管理パック(正常な振る舞いを定義するルールとスクリプト)の形で入手し始めることを求めている。ビルトインの運用知識の概念が発展しても、DSIはこれらのコンポーネントを監視し管理する集中的な管理ツールを相変わらず必要とし、これらの将来製品は今日のMOMおよびSMSサーバから派生する

 Microsoftは次の2つの理由から、MOM 2005をDSI構想の最初のステップであると説明している。

●再設計された管理パック
 MOM 2005の管理パックは、「Design for Operations: Building Health, Task, and State Models」と題するPDC 2003のホワイト・ペーパーで詳述されたDSIデザイン・ガイドラインに従って再設計された。同書類は管理知識をよりシステマチックに入手して活用する方法についていくつかの初歩的ガイダンスを与えてくれる。

●MOMを標準として確立
 MOMの柔軟性を増してサード・パーティ製アプリケーションとカスタム・アプリケーション(非Windowsプラットフォームを含む)を管理可能にし、小規模企業向けの低価格版を発売することで、Microsoftは開発者の管理に対する関心を高めるのに十分な規模のインストール・ベースを築こうとしている。このサイクルの構築は同社のDSI戦略の成功にとって重要である。Microsoftは確実に自社の管理 インターフェイスとツールを大多数の企業内Windows環境に存在するデファクト・スタンダードにする必要があるからだ。

 Microsoftは、多くのWindows ISVはアプリケーション監視の改善がISVのサポート負荷を軽減できるという理由で、MOMを自社のサーバ・ベース・アプリケーションを監視する標準に定めるものと考えている。

MOM 2005のアーキテクチャ
 MOMは3レイヤ・アーキテクチャを用いて監視対象コンピュータからデータを収集し、オペレータに提示する。

●プレゼンテーション・レイヤ(左)
 オペレータ用コンソールにより、オペレータはシステムの稼働状況を確認してアラートを認知できる。管理者用コンソールはMOMのパラメータとルールの設定手段を提供する。Webコンソールはほかの利害関係者(マネージャやアプリケーション開発者など)に現在の稼働状態の確認手段を提供する。またオペレータ用コンソールから離れているオペレータにシステムを素早く確認する手段を提供する。MOMにはさらに、格納された監視データからHTMLベースのレポートを作成してWebまたは電子メール経由でユーザーに送るレポーティング・ソフトウェアが付属する。

●ビジネス・ロジック・レイヤ(中央)
 コンソールは格納された監視データにMOM管理サーバ経由でアクセスする。MOM管理サーバは管理パック(ルールとスクリプト)をエージェントに送信し、エージェントからの監視データをフィルタリングしてまとめ、SQL Server監視データベースからの管理データの格納とクエリを行う。MOM管理サーバはさらに、MOMデータ・ウェアハウスからのレポートを作成するSQL Server Reporting Servicesを稼働させる。エージェントは各監視対象コンピュータの生の監視データを収集する。エージェントはさらに、エージェント・マネージャから供給されるルールに従ってデータをフィルタリングし、監視対象コンピュータ上でスクリプトを実行できる。

●データ・レイヤ(右)
 データ・プロバイダ(Windowsイベント・ログおよびアプリケーション・ログなど)は、各監視対象サーバ上のエージェントにデータを供給する。

 フィルタリングされないすべての監視データはその後SQL Serverデータベース(MOM管理サーバと同一のサーバで稼働可能)に格納される。一部のデータはこのデータベースからデータ・ウェアハウス・データベースに抽出され、それを基にMOMレポートが作成される。

 より複雑なインストール環境では、ほかの管理ソフトへのコネクタ、スケールアウトした管理サーバ、クラスタ化したデータベースなどを含むことがある。各中央コンポーネントは、ニーズと作業負荷に応じて個別のサーバに常駐することも、すべて同じ物理的サーバに常駐することもできる。
 
関連リンク
Microsoft Operations Manager(マイクロソフト)
10分でわかる! MOM 2005 製品概要(マイクロソフト)
Microsoft Management(マイクロソフト)
 
 

 INDEX
  Insider's Eye
  最新Microsoft Operations Managerの実力(前編)
  1.MOM2005の概要
    2.MOM2005の新機能
        コラム:システム監視の必要性
  最新Microsoft Operations Managerの実力(後編) New!
    3.管理インフラを構築する管理パックの機能 New!
        コラム:なぜシステム監視は難しいのか? New!
    4.サードパーティ製品との統合性を改善 New!

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