Insider's Eye

見えてきたWindowsシステム管理の将来(後編)(4)

Peter Pawlak
2005/07/12
Copyright (C) 2005, Redmond Communications Inc. and Mediaselect Inc.

Systems Centerブランドの新製品

 2005年中に5つの新しい管理製品が出荷される。そのうちの3製品は、Systems Centerのブランドで登場する予定だ。

■System Center Reporting Manager 2005
 統合製品としてのSystem Centerはキャンセルされたが、MicrosoftはReporting Manager 2005と呼ぶ新製品を投入することで、オリジナルのアイデアのメリットを提供することにした。すなわち、複数のソースからデータを組み合わせ、管理者やオペレータ、マネージャがシステム管理に合理的な判断を下せるようにする。

 SQL Server 2000 Analysis ServicesおよびReporting Services上に構築されるReporting Managerは、MOM 2005、SMS 2003、Active Directoryからデータを抽出し、データ・ウェアハウスに取り込んで、定型またはカスタム化されたレポートを生成する。基本的に、MOM 2005のデータ・ウェアハウスに置き換わるもので、トラブル・チケッティング・システムやHP OpenViewなどのネットワーク管理ソフトといったほかのソースからもデータを統合できる拡張性を持つ。Reporting Managerはまた、複数の多様なMOMやSMSシステムからデータを統合することも可能だ。データを統合、分析することで、Reporting Managerはより正確な診断およびパフォーマンス情報、例えばSMSの変更によってアプリケーションに不具合や機能低下が発生した、などの情報を提供することが可能になる。

 新製品は現在ベータ段階にあり、2005年下半期にリリースされる見込み。2006年または2007年にセカンド・リリースが予定されている。

■System Center Data Protection Manager
 Data Protection Manager(DPM:これまでData Protection Serverと呼ばれていた)は、Microsoftの新しいサーバ製品だ。データがテープにバックアップされるまで、中間的にハードディスク・ベースでバックアップ、リストアが可能なWindowsベースのファイル・サーバを提供する。DPMは1日何回もバックアップが可能で、バックアップされていない未処理データの総量を削減することができる。またファイルのリストア時間を劇的に短縮するほか、エンドユーザーがデータをリストアする場合もITスタッフの助けを必要としない。

 この製品は2005年下半期にリリースが予定されており、現在ベータ段階にある。最初のリリースはファイル共有しかバックアップできないが、Microsoftによると、次のリリースからレジストリ、Active Directory、Exchange、SQL Serverなどのデータベースもバックアップできるようになるという。

■System Center Capacity Planning Manager 2006
 Indyというコード名で呼ばれていたCapacity Planning Manager(CPM)2006は、モデリングおよびシミュレーション技術を利用し、システム・プランナがパフォーマンスのボトルネックを特定したり、修正の効果を測定したり、最適化するのに役立つ。最初のリリースは、Exchangeシナリオのモデリングに限定され、パラメータもすべて手作業で入力しなければならない。MOMやSMSデータベースの情報を読み込んだり、検索したりはしない。

 CPMは現在ベータ段階にあり、2005年下半期にリリースが予定されている。モデリング機能を強化した次期バージョンが、2006年ないし2007年にリリースされる見込みだ。同製品の長期的な目標は、SDM情報を利用してベースライン・モデルの構成を自動化することだ。

■Windows Server Update Services
 WSUSは、Software Update Services(SUS)をリプレイスするもので、Windowsシステムの重大なOS修正やセキュリティ・ロールアップを一元的かつ自動的に配布、インストールできるWindows Serverベースの無料ツールだ。もともとWindows Update Servicesと呼ばれていたが、現在ベータ段階にあり、2005年夏、Microsoftのソフトウェア・アップデートを配布するWebサービス、Windows Updateのアップグレードと同時にリリースされる(編集部注:WSUSの正式版は2005年6月6日より提供が開始された。詳細は関連記事を参照)。Windows Updateはアップグレード後、Microsoft Updateに名称変更される。今後、この2つの組み合わせで、Microsoft製品のすべてのアップデートをサポートし、製品開発のステータス・レポーティングなど、SUSにはなかった機能も提供する計画だ。

WSUSの詳細

 SUSと同様、WSUSの機能はすべてSMS 2003に搭載されている。

■Microsoft Baseline Security Analyzer 2.0
 MBSAは、複数のコンピュータをスキャンできる無料のセキュリティ・ツールだ。脆弱性をもたらすパッチの未適用や不正な構成、見破られやすいパスワードや設定されていないパスワードなどの問題を検出し、レポートにリストアップする。現行バージョン(1.2)までは、Shavlikからライセンス供与された技術をベースとしている。

MBSA 2.0
一見しただけでは従来のVer.1.2とさほど変わらないように思えるが、パッチ適用状況を走査するエンジンや、そのために使用するカタログ情報など、従来のShavlik社製のものから、マイクロソフトの自社技術に変更されている。(編集部追加)

 MBSA 2.0は現在ベータ段階にあり、Shavlikの技術に代えて、WSUSおよびSMS 2003 Inventory Tool向けに開発されたスキャン技術を利用する。これによって、より包括的かつ一貫性のあるレポートが可能になる。2005年下半期に製品化される予定(編集部注:MBSA 2.0の正式版は2005年7月2日より提供が開始された。マイクロソフトのMBSA 2.0のダウンロード・ページ)。End of Article

Virtual Serverの未来
 Windowsサーバの次期メジャー・アップデート(2007年に予定されるLonghorn Server)は、今日のVirtual Server 2005とは根本的に異なるビルトイン仮想化スタックを含み、将来プロセッサに組み込まれる仮想化機能のアドバンテージを最大限に利用する設計になっている。Intelはその機能をVirtualization Technology(VT、以前はIntel Vanderpool技術)と呼び、Advanced Micro Devicesは「Pacifica」と呼ぶ。いずれも2006年に登場が見込まれている。

プロセッサによる仮想マシン技術の詳細

 競合するEMC/VMware ESXサーバのアプローチと同様、Virtual Serverもハードウェアと仮想マシンの中間に位置するハイパーバイザ(IntelではVirtual Machine Monitor)と呼ばれる「シン(薄い)」Windowsソフトウェア・レイヤに依存する。

 Longhorn Serverでは、各仮想マシンは状態を保持したまま一時的に休止することができ、一方のペアレントOSから他方のペアレントOSにレジュームしたり、移動したりできる(複数のペアレント・パーティションがマシン上にある場合も、ライブ・マイグレーション機能で複数の物理マシン上にある場合でも同様に可能)。Microsoftは、この新しいアーキテクチャがVMのパフォーマンス、可用性、信頼性を著しく向上させ、アプリケーション・サービスの柔軟な拡張性、あるいは物理サーバ間の可搬性を目指すDSIの目標を実現するための鍵になると考えている。

 Longhornの仮想化サポートは、Virtual Server 2005のサポートとは完全に別個のものだが、ユーザーは既存の仮想マシンから新技術へ容易に移行することができるだろう。

 Microsoftはまた、Virtual PCやVirtual Serverが採用する仮想ハードディスク(VHD)ファイル形式を公開し、業界標準を目指す計画を発表した。そうすることで、同社はほかのソフトウェア・ベンダも、それらのファイルから情報を読み取り、OSイメージ上でソフトウェアのインストールやパッチの適用などのオペレーションを実行できる管理プログラムの開発に取り組むことを期待している。

 
Directions on Microsoft日本語版
本記事は、(株)メディアセレクトが発行するマイクロソフト技術戦略情報誌「Directions on Microsoft日本語版」から、同社の許可を得て内容を転載したものです。『Directions on Microsoft 日本語版』は、同社のWebサイトより定期購読の申し込みができます。
 
 

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