Insider's Eye

Vista世代の新サーバOS
「Windows Server 2008」登場

デジタルアドバンテージ 小林 章彦
2008/03/06

 2003年6月出荷開始のWindows Server 2003から、5年ぶりとなるサーバOSの新バージョン、「Windows Server 2008」が完成した。さる2008年2月5日、マイクロソフトは、Windows Server 2008日本語版の開発が完了し、同日よりMSDNとTechNetの会員向けにダウンロード提供を開始したと発表した。

スタート直後につまづいた日本語版Windows Server 2008

 ただしこの日本語版は、出だしからつまずく結果になった。公開直後の2月25日に、Windows Server 2008日本語版のActive Directoryにおいて、日本語拡張文字セットを原因とするデータ損失の不具合が見つかり、一時的にダウンロードが停止された(原稿執筆時点の3月6日現在、ダウンロードは再開されていない)。この影響により、ボリューム・ライセンス向けのライセンス提供は予定どおり3月1日より開始されたものの、インストールに必要なインストール・イメージがダウンロードできない状況が続いている。

 前記サポート技術情報によると、この不具合は日本語ロケールを使用したWindows Server 2008ドメイン・コントローラの「ふりがなサポート機能」が、一部機能で正しくサポートされていないことに起因するということだ。複製を行う際に利用される「ファントム・オブジェクト昇格」と呼ばれる機能が、ふりがなサポート機能で追加されたカラムに対応していないことから、属性の一部が正しく複製されず、結果的にActive Directoryのデータ損失が起きるという。つまりWindows Server 2008をドメイン・コントローラにして、Active Directoryドメインを構築することができない、ということである。日本語版のみの問題のようだが、品質や信頼性が重視されるサーバOSのスタートとしては、残念ながらお粗末な結果といわざるを得ない。Windows Server 2008の品質を疑わせるような今回の問題に対し、マイクロソフトがどのように対応して信頼を回復するか、注視する必要があるだろう。

 マイクロソフトによると、この不具合を解消する修正プログラムを3月中旬から提供するとしており、その時点からMSDN/TechNetの会員向けダウンロードの再開、ボリューム・ライセンス向けの製品イメージのダウンロードが開始される予定である。

 なおパッケージ版ならびにOEM版(サーバへのプレインストール版)については、現時点では提供開始日が明らかにされていないが、この不具合の影響は受けないとしている。日本では2008年4月15日と16日の2日間に渡り、Windows Server 2008の実質的なラウンチ・イベントとなる「the Microsoft Conference 2008」が開催されること、これまで開発完了から60日から90日程度でパッケージ版が提供されていたことから、この日に提供開始となると思われる。米国では、すでに2008年2月27日(米国時間)に開催された同様のイベント「Heroes Happen Here」でWindows Server 2008の出荷開始が発表されている。

Windows Server 2008の新機能、目玉の1つは仮想化だが

 Windows Server 2008は5年ぶりのサーバOSのバージョンアップということもあり、多くの点で機能強化、追加が行われている。なかでも、ハイパーバイザー型の仮想化機能であるHyper-Vテクノロジを標準でサポートしたことは、サーバ統合やそれによるTCO削減などに強い関心を寄せるエンタープライズ・ユーザーにとっては最大の関心事だろう。ただHyper-Vテクノロジについては、製品出荷から180日以内に正式版の提供を行うとしており、当初の製品にはベータ版が提供されるにとどまる。Hyper-Vテクノロジを利用した仮想化環境の構築を考えているなら、当面はベータ版で評価・検証を行っておき、正式版が提供された時点で本番環境を構築するという手順になるだろう。

 このほか新機能として、クライアントPCの検疫を可能にするネットワーク・アクセス保護機能(Network Access Protection:NAP)や、「Server Core」と呼ばれる新しいOSの動作モードも実装された。Server Coreは、GUI(Graphical User Interface)などを削除し、動作するサービスを最小限のコンポーネントに限定することで、攻撃余地を最小化するとともに、管理・保守工数の軽減を可能にするというものだ。またActive Directoryやターミナル・サービス、Internet Information Services(IIS)といったWindows 2000 Serverからサポートされてきた機能も大幅に強化されている。

 Windows Server 2008の新機能、特徴機能の詳細については、次の記事を参照していただきたい。

Windows Server 2008の価格

 Windows Server 2008の価格はオープンプライスだが、マイクロソフトより予定参考価格が発表されている。マイクロソフトによると、「Windows Server 2008ではHyper-VテクノロジやNAPなどの新機能が追加されたことから、Windows Server 2003に対して若干値上げになっている」ということだ。以下に、パッケージ版とボリューム・ライセンス版の価格をまとめておく。

エディション 価格 付属仮想化インスタンス実行権数
Standard(5CAL付き) 18万8000円 1
Enterprise(25CAL付き) 72万円 4
Windows Web Server 2008 8万5800円 0
5CAL 3万2600円
パッケージ版の予定参考価格
CAL=Client Access License

エディション 価格 米国価格 付属仮想化インスタンス実行権数
Standard(5CAL付き) 14万円 999ドル 1
Enterprise(25CAL付き) 45万4000円 3999ドル 4
Datacenter(1プロセッサ) 46万3000円 2999ドル 無制限
Itanium版(1プロセッサ) 46万3000円 2999ドル 無制限
Windows Web Server 2008 7万7500円 469ドル
1CAL 5500円 199ドル(5CALパック)
ボリューム・ライセンスの予定参考価格(Open Business Lの場合)

 上記のWindows Server 2008の価格は、いずれもHyper-Vテクノロジ付きの場合である(Windows Web Server 2008とItanium版を除く。両エディションはHyper-Vテクノロジをサポートしていない)。Standard/Enterprise/Datacenterの各エディションには、Hyper-Vテクノロジなし(without Hyper-V)も設定されており、その場合の価格は若干安くなるという。日本語版のHyper-Vテクノロジなしの価格は明らかになっていないが、英語版ではHyper-Vテクノロジ付きに対して、28ドル安い価格になると発表されている。ここから類推すると、日本語版においても、3000円程度安くなるものと思われる。

 上表の「仮想化インスタンス実行権数」とは、ゲストOS用のOSライセンスのことである。ホストOSとして実行できる権利に加え、仮想化インスタンス実行権数分だけゲストOSとしてそのOSを追加ライセンスなしで実行できる。従来のWindows Server 2003 Standard Editionには、この仮想化インスタンス実行権が付属していなかったので、ゲストOSとしてWindows Server 2003 Standard Editionを実行するには、別にライセンスを購入しなければならなかった。これに対し今回のWindows Server 2008 Standard Editionでは、付属仮想化インスタンス実行権数が1つ標準で付いているので、追加ライセンスなしでも、仮想マシンで、1つのゲストOSとしてWindows Server 2008 Standard Editionを実行できる。なお、Enterprise/Datacenter Editionの実行権数(それぞれ4個と無制限)は、Windows Server 2003から変更がない。

仮想化インスタンス実行権の概念
Windows Server 2008 Standard Editionは、仮想化インスタンス実行権が1つ付属するため、ゲストOS(Windows Server 2008 Standard Edition)1個なら、ライセンス購入なしに実行できる。ただし、2つ以上のゲストOSを実行する場合は、追加分のライセンス購入が必要。例えば、図のように4つのゲストOSを実行する場合は、別途、3つ分のWindows Server 2008 Standard Editionのライセンスを購入しなければならない。

 注意が必要なのは、「仮想化インスタンス実行権数」という名前が示しているとおり、インストールされたインスタンス数(ゲストOSのイメージ数)ではなく、あくまで実行しているインスタンス数でライセンスの使用数が規定されていることだ。例えばWindows Server 2008 Standard EditionをホストOSとして、複数のゲストOS(Windows Server 2008 Standard Edition)をインストールしていたとしても、仮想マシンとして同時実行するゲストOSが1つだけなら、追加ライセンスは不要である。

 本稿では、発表されたWindows Server 2008のラインアップや価格、分かりにくい仮想化関連のライセンス方式についてまとめた。目立って大きな新機能が少ないためか、比較的静かなスタートのようだが、そもそもサーバOSで重要なのは、管理性や信頼性、セキュリティ性能など、目立ちにくく、また簡単には評価を下しにくい部分である。細かな改善は非常に多岐にわたっており、米国での早期評価の評判も悪くないようなので期待したいところだが、Windows Server 2008が読者にとって価値あるサーバOSかどうかを知るには、読者自身が実際に触れてみるのが早道だろう。End of Article

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