Windowsネットワーク管理者のためのiPhone/iPod touch入門

第4回 iPhone/iPod touch(iPhone OS 3)の無線LAN設定

1.無線LANの設定

デジタルアドバンテージ 打越 浩幸
2010/08/18
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この記事はiPhone OS 3を対象としています。iOS 6やiOS 5における無線LAN設定については、次の記事をご覧ください:
連載目次
iPodは音楽プレーヤー?
電子メール機能
カレンダー機能
無線LAN設定(iOS5)
PDFを読む
PCのアドレス帳との同期
リモート・デスクトップ接続
社内ネットワークの監視
データのリモート消去
Wi-Fi自動接続の抑止
iCloudのお役立ち度
ツールで簡単Wi-Fi設定
無線LAN設定(iOS6)
インストール制限
画面をPCに送信・表示

 今回はiPhone/iPod touchの無線LAN機能と、その設定方法について解説する。なお、特に断らない限り、iPhone OS 3を対象に解説する。iOS 5については、「第4回 iPhone/iPod touch(iOS 5)の無線LAN設定」を参照していただきたい。

iPhone/iPod touchでサポートされている無線LAN規格

 無線LANの規格にはいろいろなものがあるが、iPhone/iPod touch(iPhone OS 3)でサポートされている無線LAN関連の仕様は次の通りである。802.11nをサポートしていないとか、(WPSやAOSSボタンのような)無線LANの簡易セットアップ機能に対応していないという点はあるものの、無線LANのクライアントとしては標準的な機能しか持っておらず、その設定にも複雑なことは何もない。

機能 サポート
無線LAN規格
802.11a iPadのみ対応
802.11b
802.11g
802.11n iPhone 4とiPadのみ対応
暗号化/認証規格
WEP
WPA
WPA2
WPAエンタープライズ
WPA2エンタープライズ
AES
802.1Xワイヤレス認証
PINコードやAOSS、WPSボタンなどの簡易設定サポート なし
TCP/IP関連機能
IPアドレス割り当て DHCP/BOOTP/静的割り当て
IPv6サポート なし
VPNサポート L2TP/PPTP/IPSec(Cisco IPSecプロトコル)
PPPoE なし(「フレッツ・スポット」などの公衆無線LANサービスは利用不可)
HTTP Proxy なし/手動設定/WPAD
iPhone/iPod touchの無線LAN関連機能

無線LANの設定

 以下、iPhone/iPod touchにおける無線LANの設定手順を解説するが、実際のところ、特に難しいところは何もない。管理者から渡された(もしくは自分で用意した)無線LANアクセス・ポイントのSSID文字列とパスワード情報さえ用意しておけば、すぐにつなぐことができる。iPhone/iPod touchの無線LAN設定画面では暗号化の方式などは選択できないので、暗号化の設定情報は特になくても困らないだろう。なお、アクセス・ポイントに対してあらかじめMACアドレス登録が必要な場合は、先にiPhone/iPod touchのMACアドレスを調べておく必要があるが、これについては後述する。

 無線LANをセットアップするには、まずホーム画面で[設定]アイコンをタップする。すると設定画面の一番上に[Wi-Fi]という項目があるはずなので、これをタップする。

無線LAN設定の開始
設定画面の先頭に無線LAN(Wi-Fi)設定項目がある。
これが無線LANの設定項目。最初は「未接続」となっているはずである。これをタップする。
MACアドレス情報などを確認するには、これをタップする。

 無線LAN設定がまったく行われていない状態では「未接続」となっているはずなので、この項目をタップして設定を始める。

無線LANの選択
無線LAN機能がオンになっていると(デフォルトではオン)、近隣の無線LANノードのSSID文字列が、その信号レベルや暗号化の有無の情報と共に表示される。リアルタイムに更新されているので、しばらく待っているとノードが増えたり減ったりする。
無線LAN機能を無効にするにはこれを[オフ]にする。オフにしておくと消費電力が抑えられ(無駄な電波の送受信をしないため)、バッテリで利用可能な時間が若干だか延びる。
iPhone/iPod touchが検出した無線LANノード(アクセス・ポイント)のSSIDの一覧が表示されている。この中から、利用するアクセス・ポイントを選択する。住居やオフィスなどが密集していると、かなり多くのアクセス・ポイントが表示されるので、ほかのアクセス・ポイントを選ばないように注意する。
今回は、この無線LANに接続してみる。そのためには、SSID文字列の部分をタップする(右側のの部分ではない。)。
暗号化機能が有効になっているアクセス・ポイントにはこの鍵マークが表示される。
無線LAN電波の強度。
無線LANの接続後にこの部分をタップすると、割り当てられたIPアドレスなどの情報を確認できる。
セキュリティのために、SSIDを秘匿するように設定されているようなアクセス・ポイントの場合は、これをタップして、手動でSSIDを入力する。
これが「オン」になっていると、既知のSSIDが見つからない場合、検出されたほかのSSIDのリストがポップアップで動的に表示され、すぐに接続の設定ができるようになる。「オフ」にしておくと、消費電力を抑えることができるが、ネットワークの使用前にいちいち[設定]−[Wi-Fi]を開いて接続を設定する必要がある。なお、接続設定を済ませた既知のSSIDが検出された場合は、この設定にかかわらず自動的に接続される。
すべて設定が終わったら、これをクリックすると前画面に戻る。

 この画面には検出された無線LAN(のSSID)の一覧が表示されているので、ここから接続したい無線LANを選んでタップする。するとパスワードを入力する画面が表示されるので、WEPキーやパスワードなどと呼ばれる暗号化のキーを入力する。

パスワードの入力
管理者から与えられたパスワード文字列(もしくはWEP用の16進数キー)を入力する。
パスワードの最後の1文字は少しの間だけ表示されるので、間違えないように注意して入力する。
最後にこれをタップして、無線LANネットワークに参加(Join)する。

 パスワードの入力後、[Join]をタップすると認証が行われる。成功すると次のようにチェックマーク付きで表示され、この接続がアクティブであることが示される。

有効な無線LAN接続の表示
認証が通ると、そのネットワーク接続がアクティブになる。通常はそのままインターネットやイントラネットへアクセスできるが、公衆無線LANスポットなどを利用している場合は、この後さらにログオン画面が表示される。詳細は後述。
アクティブな無線LAN接続にはチェックマークが表示される。
青い部分をタップすると、この無線LAN接続の状態(割り当てられたTCP/IPパラメータなど)が表示される。
これがオンになっていると(デフォルトではオン)、既知のSSIDが見つからないときに、そのほかのSSIDのリストがポップアップで動的に表示され、素早く接続設定ができるようになる。このオン/オフに関わらず、既知のSSIDを見つけると、自動的にそのネットワークに接続する。

 右端にある青い[>]マークをタップすると、この無線LANネットワーク(インターフェイス)に割り当てられているTCP/IPパラメータの詳細が確認できる。iPhone/iPod touchに外部から接続したいような場合には、この部分をタップして、IPアドレスなどを調べるとよい。

 以下の画面は、DHCPによってIPアドレスなどが割り当てられていることを表しているが、[静的]を選択して固定IPアドレスを割り当てることも可能である。

IPアドレス情報を確認する
割り当てられているIPアドレス情報を表示させたところ。DHCPサーバのIPアドレスは表示されない。また、TCP/IP関連のツール(Windowsでいえばnetstatやping、telnetなど)は、標準では何も用意されていない。
無線LAN接続がアクティブになると、このアンテナ・マークが表示される。
現在の無線LANのSSID。
これをタップすると、この無線LAN接続の設定(パスワードなど)が消去される。ネットワークの設定をすべてまとめて削除するなら、[設定]−[一般]画面の最下部にある[リセット]を使うとよい。
DHCPでIPアドレスを取得している場合は、これが選択されている。デフォルトはDHCPになっている。[BootP]や[静的]を選択することも可能。
IPアドレスとネット・マスク値。
デフォルト・ゲートウェイ・アドレス。
DNSサーバ。
DNSのドメイン名サフィックス。
DHCPパラメータの1つである「クライアントID」。現在のネットワークでは特に使われていない。
DHCPサーバからのリースを更新する。ただしこの画面では、リースの期限や、どのDHCPサーバからIPアドレスを取得したかなどの情報は表示されないので、確認できない。
Webブラウザ(Safari)のProxyサーバの設定。後述。

更新履歴
【2011/11/24】表「iPhone/iPod touchの無線LAN関連機能」の「PPPoE」において、『(「フレッツ・スポット」「Mzone」などの公衆無線LANサービスは利用不可)』と記していました。しかし、実際にはMzoneは無線LAN接続にPPPoEを使用しておらず、iPhone/iPod touchからでも利用できます。そのため、該当個所から「Mzone」を削除しました。お詫びして訂正いたします。


 INDEX
  Windowsネットワーク管理者のためのiPhone/iPod Touch入門
  第4回 iPhone/iPod touch(iPhone OS 3)の無線LAN設定
  1.無線LANの設定
    2.手動設定とMACアドレスの確認、Proxy設定
    3.公衆無線LANの設定

「Windowsネットワーク管理者のためのiPhone/iPod touch入門」


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