[運用]
POPFileのトレーニングとメーラの設定(後編)

3.メーラによるメールの分類

デジタルアドバンテージ 打越 浩幸
2008/07/10


 さてPOPFileでメールをバケツに分類した後は、メーラ側でメールを分類する必要がある。今回の例では、spamバケツとinfoバケツのメールは特定のフォルダへ保存し、それ以外のメールは受信トレイに残しておくか、通常のメール・ルールを使って分類するとよいだろう。

 POPFileがバケツに分類した結果は、最初のバケツの設定画面で説明したように、件名部分か、メールのヘッダ情報部分に埋め込まれている。メーラ側では、これらの情報を基づいてメールをフォルダへ分類すればよい。以下は、受信したメールのデータをすべて表示させたところである。件名部分やヘッダ部分にバケツの情報が埋め込まれていることが分かるだろう。

POPFile経由で受信したメールの例
POPFile経由でメールを受信すると、(オプション指定により)件名やヘッダ中にバケツの名前が記録される。クライアントのメーラでは、これらの情報を基にメールを分類するとよい。ヘッダ部分も含めたメール・データの全情報は、例えばOutlook Expressならメールを選んで[Ctrl]+[F3]キーを押すと表示される。詳しくはTIPS「Outlook Expressでメール・メッセージのソース情報(ヘッダ情報)を表示する」を参照していただきたい。
メールの件名は「Subject: 」ヘッダで示される。件名の先頭にバケツ名が「[spam] 」のように付加される。このため、バケツ名は英語にしておくこと。また、長くすると見づらくなるので、spamやworkのように短い方がよいだろう。
POPFileによって付加された「X-Text-Classification: 」ヘッダ。直後にspamやworkといったバケツ名がそのまま付けられているので、このヘッダ文字列をキーにして分類するとよい。
この空行よりも上側がメールのヘッダ部分で、下側がメールの本文部分。ヘッダ部分には多くの情報が含まれているが、メーラで参照したり、表示できる項目は限られている。

 実際のメール・ルールの設定方法はメーラごとに異なるが、以下ではOutlook ExpressとOffice Outlookについて説明する。それ以外のメーラについては、POPFileのサイトにある「POPFile の ハウツー」などを参照していただきたい。

Outlook Expressの場合

 Outlook Expressや(Windows VistaやWindows Server 2008の)Windowsメールの場合、POPFileによる分類結果は件名部分でしか判断できない(「X-Text-Classification:」ヘッダは使えない)。例えば件名に「[spam]」が含まれる場合はスパム・フォルダへ移動する、といったルールを作成すればよい。

Outlook Expressにおけるメール・ルールの例
これはWindows XPのOutlook Expressで分類する場合のメール・ルールの例。spamバケツのメールは「スパム」フォルダへ、infoバケツのメールは「メール情報」フォルダへ、それ以外は受信トレイへ分類している。必要なら受信トレイのメールをさらに分類するようなルールを下の方に追加すればよい。メール・ルールの使い方についてはTIPS「メッセージ・ルールを活用する(Outlook Express編)」参照。
作成した新規フォルダ。
この画面は、[ツール]メニューの[メッセージ ルール]−[メール]を実行すると表示される。
[メール]タブでメール・ルールを設定する。
迷惑メールを分類するためのルール。
「件名」に[spam]が含まれるメールを選択する。
「スパム」フォルダへ移動する。
この「ルールの処理を中止する」がないと、ルール適用後に次のルールまで実行されてしまう。詳細はTIPS「メール・ルール処理の優先度に注意」参照。

Office Outlookの場合

 Officeに含まれるOutlookメールの場合、POPFileによる分類結果は、件名部分か「X-Text-Classification:」ヘッダで参照できる。後者の方がスマートであり(件名が変更されないから)、Outlookとともにしか使わないのであれば、バケツ設定画面における件名の変更機能はオフにしておいてもよいだろう。

Outlook 2007におけるメール・ルールの例
これはOutlook 2007で分類する場合のメール・ルールの例(Outlook 2003以前でも同様)。spamバケツのメールは「スパム」フォルダへ、infoバケツのメールは「メール情報」フォルダへ、それ以外は受信トレイへ分類している。必要なら受信トレイのメールをさらに分類するようなルールを下の方に追加すればよい。メール・ルールの使い方についてはTIPS「メッセージ・ルールを活用する(Outlook 2003編)」参照。
作成した新規フォルダ。
この画面は、[ツール]メニューの[仕分けルールと通知]を実行すると表示される。
[電子メールの仕分け]タブでメール・ルールを設定する。
迷惑メールを分類するためのルール。
「メッセージ・ヘッダ」中に「X-Text-Classification: spam」という文字列が含まれるかどうかを判定する。バケツ名ごと文字列を登録すること。例えばinfoバケツなら「X-Text-Classification: info」とする。
「スパム」フォルダへ移動する。
この「ルールの処理を中止する」がないと、ルール適用後に次のルールまで実行されてしまう。詳細はTIPS「メール・ルール処理の優先度に注意」参照。


 INDEX
  [運用]POPFileで構築する迷惑メール・フィルタ
  POPFileを導入して迷惑メールを分類する(前編)
    1.迷惑メールとその対策
    2.迷惑メールの分類をサポートするPOPFile
    3.POPFileのインストール(1)―入手と機能の選択
    4.POPFileのインストール(2)―初期バケツの作成
    5.POPFileのインストール(3)―メール・アカウントの設定
    6.POPFileの管理画面
 
  POPFileのトレーニングとメーラの設定(後編)
    1.POPFileのトレーニング(1)
    2.POPFileのトレーニング(2)
  3.メーラによるメールの分類
    4.設定のカスタマイズと使いこなし

 運用


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