運用
実例で学ぶSBS 2003ネットワーク構築と運用

第3回 SBS 2003の運用

2.サーバ管理ツール(2)

デジタルアドバンテージ
2004/07/09

クライアント・コンピュータのドメインへの登録と管理

 [クライアント コンピュータ]の管理タスクを利用すると、クライアント・コンピュータのActive Directoryドメインへの登録のほか、クライアント・コンピュータへインストールするアプリケーションの設定などを行うことができる。インストール可能なアプリケーションとしては、SBS 2003のデフォルトでは、Windows 2000およびWindows XP用の最新Service Packや共有FAXクライアントが用意されている(あらかじめService PackをSBS 2003サーバ上に展開しておく)。またログオン時にInternet Explorerの設定を変更して、お気に入りやホーム・ページがSBS 2003サーバを指すようにすることもできる。

 さらにこの管理タスクでは、リモートのコンピュータを管理したり、ログを表示させたりといった、管理業務も行うことができる。

クライアント・コンピュータの管理タスク
ドメインに参加させるコンピュータは、あらかじめこの[クライアント コンピュータ]タスクでドメインへ登録しておくか、クライアント側でドメインへの参加手続きを実行する必要がある。このタスクを利用すると、ドメインへ参加(登録)するだけでなく、クライアントで最初に実行するアプリケーション(Service Packの実行など)や、ターミナル・サービス・クライアントの登録、実行なども行うことができる。またコンピュータ名を選択して、イベント・ログの内容を表示させたり、コンピュータの管理ツールを表示させるなどの管理業務も行うことができる。
  クライアント・コンピュータの登録・管理を行うにはこれをクリックする。
  実行可能なタスクの一覧。
  新しくクライアント・コンピュータをドメインに登録するには、これをクリックする。
  コンピュータ名を右クリックして、ポップアップ・メニューから[コンピュータ設定の表示]を選択すると、このダイアログが表示される。
  クライアント・コンピュータに対して設定された内容。ここでは、Service Packの適用やInternet Explorerの設定変更などを行っている。

[内部Webサイト]の構成タスク

 SBS 2003をインストールすると、IISとWindows SharePoint Servicesがセットアップされ、社内Webページとして参照することができるようになる。この場合、URLは常に「http://companyweb/」となる。「companyweb」は、SBS 2003マシンに付けたコンピュータ名とは別のホスト名(別名)である。

社内向けWebサイトの管理タスク
社内向けWebサイトはSharePoint Servicesで実現されており、これらはSharePoint Servicesの管理タスクへのリンクとなっている。
  内部Webサイトへ追加するドキュメントの指定。
  内部Webサイトへの新しいリンクの追加。
  SharePoint Servicesの管理画面の起動。

 以下は、デフォルトの社内Webページの例である。

デフォルトで作成される社内向けWebサイト
ほとんどSharePoint Servicesのデフォルトのままの状態。
  社内Webサイトは、常に「http://companyweb/」となる。「companyweb」は別名としてDNSサーバに自動的に登録されている。

[監視とレポート作成]ツール

 SBS 2003では、システムが正常に動作しているかどうかを確認するために、監視機能やレポート作成機能が用意されている。これらを使って、例えば管理者に定期的にメールを送信させることにより、システムに異常がないかどうかを確認することができる。

[監視とレポート作成]ツール
SBS 2003の状態を監視して、レポートを作成したり、メールを送信したりすることができる。
  システムの状態を監視するには、この[監視とレポート作成]ツールを選択する。
  監視タスクの一覧。
  ここには、現在のSBS 2003マシンの「使用状況レポート」か「パフォーマンス レポート」が表示される。これは「使用状況レポート」の例。「使用状況レポート」とは、電子メールの送受信回数やメール・ボックスのサイズなどを表し、「パフォーマンス レポート」とは、サーバのリソース(CPUやメモリなど)の使用状況やイベント・ログなどを表す。

 実際にメールで送信されたパフォーマンス・レポートの例を次に示しておく。これは、上の管理画面の右側ペインに表示されるものと同じであり、設定によって、定期的に特定のユーザーに送信させることができる。

パフォーマンス・レポート・メールの例
レポートを電子メールで定期的に送信するようにタスクを設定しておくと、このようなレポートがメールで送信される。これはパフォーマンス・レポートの例。ディスクやメモリの使用量などの統計値が表示されている。

 また、各サービスやシステム各部のパフォーマンスを監視していて、サービスが予期せずに停止したり、パフォーマンス・カウンタの値があるしきい値を超えた場合に、やはり電子メールで通知するサービスも用意されている。

[警告の通知]サービス
ある指定されたサービスが停止したり、パフォーマンス・カウンタの値が指定されたしきい値を超えると、メールを送信させることができる。
  サービスを監視する場合はこのタブを選択し、監視したいサービスのチェック・ボックスをオンにする。
  パフォーマンス・カウンタの値に基づいてメールを送信させるにはこのタブを選択する。
  監視するパフォーマンス・カウンタの項目としきい値、および現在のカウンタの平均値。チェック・ボックスがオンになっている項目が監視の対象となる。
  このボタンをクリックすると、しきい値を変更することができる。
  イベント・ログに指定されたイベントが記録されると、メールを送信することができる。例えば「アカウント ロックアウト」が発生した場合に(外部からの不正アクセスなどで、ログオンが多数回試行されると、ロックアウトすることがある)、それを通知させることができる。
  通知を送信するメール・アドレスを指定するにはこのタブを選択する。

 以下は、実際に送信されたサービスの監視メールの例である。

サービスの監視メールの例
WINSサービスをタスク・マネージャで強制的に終了させたところ、このようなメールが送信された。WINSサービスに限らず、システム上で動作しているすべてのサービスについて、監視をするかどうかを設定することができる。

最後に

 以上簡単であるが、これで3回に渡るSBS 2003に関する解説を終えることにする。SBS 2003は、Windows Server 2003と比較すると、機能が限定されたサーバOSシステムであり、単一ドメインしか構成することができない。だがその一方では、Windows Server 2003にはない、ウィザードを多用した、便利な管理ツールが多く揃っているし、小規模な会社や、部門レベルでの用途には十分すぎるくらいの機能を持っている。Active Directoryというと、すぐに大規模なドメイン・ツリーを想定しがちだが、古くなった部門レベルのWindows NT Serverシステムの置き換え用途として十分活用できるのではないだろうか。SBS 2003とセットになった安価なサーバ・システムも販売されているようなので、ぜひとも活用していただきたい。End of Article

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 INDEX
  [運用]実例で学ぶSBS 2003ネットワーク構築と運用
  第3回 SBS 2003の運用
    1.サーバ管理ツール(1)
  2.サーバ管理ツール(2)
 
 運用


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