運用
WEP暗号化の基礎と実践

5.Windows XPにおける「利用できるネットワーク」と「優先するネットワーク」の違い

井上孝司
2002/04/20


接続する無線LANを切り替える

 接続先の無線LANを変更する際の手順は、WEPがない場合と変わらない。

 [スタート]メニューの[コントロールパネル]−[ネットワークとインターネット接続]−[ネットワーク接続]を選択し、[ワイヤレス ネットワーク]で右クリックして[利用できるワイヤレスネットワークの表示]を選択すると、[ワイヤレス ネットワークの接続]ダイアログが表示され、利用可能な無線LANの一覧が表示される。

 その中から、目的のものを選択して[接続]をクリックすればよい。このとき暗号化が機能している無線LANに接続する場合は、先の例と同様、[ネットワークキー]にASCII文字列を入力する。

隠された無線LANに切り替えるのは面倒が多い
 
筆者の自宅では、安全性を考慮して、仕事用の無線LANについては[Closed Network]を「Enable」、つまり検索に応答しない状態で運用している。すると、実験目的で別の無線LANに接続していたものを自宅の正規の無線LANに戻す場合に(注:筆者宅には「仕事用」と「実験用」という2つのアクセス・ポイントが設置されている)、切り替えができなくなることがある。少なくとも、検索しても一覧に現れないのだから、通常の手順では簡単に切り替えられない。
 
そこで、いったん[ワイヤレス ネットワークのプロパティ]ダイアログを開き、[優先するネットワーク]で切り替え先の無線LANの優先度を最上位に上げることで、接続を切り替えている。

「利用できるネットワーク」と「優先するネットワーク」の違い(1)

 [ワイヤレス ネットワーク接続のプロパティ]ダイアログには、[利用できるネットワーク]と[優先するネットワーク]という2種類のリストがあり、どちらにも無線LANのSSIDが表示される。しかも、それぞれに[構成]や[プロパティ]というボタンがあり、どちらをクリックしても同じダイアログが表示される。この2種類の違いは、いったい何だろうか。

 まずWindows XPの初期状態では、当然ながらどこの無線LANにも接続したことがない。この状態で[ワイヤレス ネットワーク接続のプロパティ]を開くと、上側の[利用できるネットワーク]には、その時点で通信可能な無線LANのリストが表示される。一方、下側の[優先するネットワーク]は空白になっている。

Windows XPの初期状態におけるネットワーク接続のプロパティ
Windows XPの使い始めの状態では、[優先するネットワーク]は空白のままとなっている。
  これは自動的に見つかったネットワークの一覧。
  こちらは接続したことのあるネットワークの一覧。
  暗号化されたネットワークに関する設定を新規に行うためには、これをクリックして、手動で行う必要がある。

 通常の接続手順では、[ワイヤレス ネットワークへの接続]ダイアログでASCII文字列を入力して接続する。この手順を用いて、なおかつ正常に接続ができると、その無線LANに関する設定情報が下側の[優先するネットワーク]に自動的に追加されるようになっている。以後も、新しい無線LANに接続するたびにそれぞれの無線LANに関する設定が登録され、SSIDの名前を使って[優先するネットワーク]の一覧に表示される。

 また、[ワイヤレス ネットワークへの接続]ダイアログで[詳細設定]をクリックするか、あるいは直接[ワイヤレス ネットワーク接続のプロパティ]ダイアログを開いて設定を行う場合、やはり上のように[利用できるネットワーク]に無線LANのSSID一覧が表示される。

 暗号化の設定がなければ、いきなり接続しても構わない。しかし暗号化の設定が必要な場合は、先にそれを行っておく必要がある。

 そこで、[ワイヤレスネットワークのプロパティ]ダイアログで、最初に自分が接続したい相手のSSIDをクリックして選択したあと、[構成]をクリックする。すると、先に取り上げたものと同じく、WEPのキーを設定するためのダイアログボックスが表示される。

手動による暗号化設定
暗号化されたネットワークに接続するためには、手動でキー設定などを行う必要がある。
  このチェック・ボックスをオフにする。
  をオフにすると、ユーザーが手動でこれらの設定を行うことができる。

 ここで、先の場合と同様に[キーは自動的に提供される]チェック・ボックスをオフにして、[ネットワークキー]にASCII文字列、あるいは16進数値を入力する。最後に[OK]をクリックすると、その無線LANに関する設定が[優先するネットワーク]に追加されているはずだ。そこで[OK]をクリックすると、今、設定を行った無線LANに接続される。

「利用できるネットワーク」と「優先するネットワーク」の違い(2)

 すでに接続したことがある無線LANに関する設定を変更する場合には、[ワイヤレス ネットワーク接続のプロパティ]ダイアログを表示させると、接続したことがある無線LANのSSIDは、[利用できるネットワーク]と[優先するネットワーク]の両方に表示されている。

すでに接続済みの無線LANに関する設定
すでに接続したことがある無線LANの設定は、[利用できるネットワーク]と[優先するネットワーク]の両方に現れる。この場合は、下側の[優先するネットワーク]側で暗号化を設定する。
  自動的に検出された無線LANネットワーク。
  すでに接続したことがある無線LANネットワーク。
  側にある暗号化された無線LANに接続したい場合は、この[プロパティ]で暗号化の設定を行う。

 上の例では、SSIDが「Wireless Network」の無線LANに対して以前にも接続したことがあるため、そのSSIDが、[優先するネットワーク]と[利用できるネットワーク]の両方に表示されている。このように、両方のリストに表示されている無線LANの設定は、[優先するネットワーク]の[プロパティ]を使って設定を変更する。ここがポイントだ。

 この場合、上側にある[利用できるネットワーク]の[構成]をクリックしてみると、[キーは自動的に提供される]というチェック・ボックスがオンになっていて、そのままではWEPに関する設定内容は変更できない。実質的に、設定変更は[優先するネットワーク]の側で行うことになり、[利用できるネットワーク]の[構成]は、[優先するネットワーク]の[プロパティ]で設定した内容と連動していると見なすことができる。

 上の画面例で表示されている3つの無線LANのうち、SSIDが「OLYMPUS」の無線LANは、まだ過去に接続経験がないため、[利用できるネットワーク]の方にしか名前が出てこない。この無線LANに接続するには、[利用できるネットワーク]の[構成]を使用してWEPの設定を行うと接続可能になる。その場合、[キーは自動的に提供される]チェック・ボックスはオフにして、手作業でASCII文字列、あるいは16進数値を指定する必要がある。

 つまり、これらの作業手順を整理すると次のようになる。

●初めて接続する無線LANの場合:
[利用できるネットワーク]にだけSSIDが表示されるので、[利用できるネットワーク]の[構成]を使ってWEPの設定を行う。つまり、[構成]ボタンは、新規に無線LANに関する設定を追加するときに用いるということになる。

●過去に接続した経験がある無線LANの場合:
[優先するネットワーク]と[利用できるネットワーク]の両方にSSIDが表示されるので、[優先するネットワーク]の[プロパティ]を使ってWEPの設定/変更を行う。つまり、[プロパティ]ボタンは、すでに登録されている無線LAN設定を変更するときに用いるということになる。

優先するネットワーク」における優先順位の指定
 
Windows XPでいろいろな無線LANに接続していると、さまざまな無線LANに関する設定が[優先するネットワーク]に登録されていくことになる。ここでは優先順位の指定が可能で、設定が登録されている無線LANが同時に複数検出された場合、どれを優先するかを指定できる。
 
優先順位の指定は、[優先するネットワーク]の一覧で優先順位を変えたいものをクリックして選択し、[上へ移動][下へ移動]をクリックして行う。

 

 INDEX
  [運用]WEP暗号化の基礎と実践
    1.無線LANの安全性を確保するWEP暗号化
    2.アクセス・ポイント側のWEP設定
    3.SSIDが自動検出可能な場合のWindows XP側の設定
    4.SSIDが自動検出不可能な場合のWindows XP側の設定
  5.Windows XPにおける「利用できるネットワーク」と「優先するネットワーク」の違い
    6.Windows 2000におけるWEP暗号化の設定
    7.おわりに
 
 運用


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