運用
WEP暗号化の基礎と実践

6.Windows 2000におけるWEP暗号化の設定

井上孝司
2002/04/20


Windows 2000におけるWEP暗号化の設定例

 Windows XPと異なり、OS自身が無線LANの設定機能を持っていないWindows 9x/MeやWindows 2000の場合、無線LANアダプタは単なる「ネットワーク・アダプタ」として認識される。そのため、ベンダが提供する設定ユーティリティを使用して設定を行う必要があるが、これはベンダがそれぞれ独自に開発・提供しているため、操作手順や設定内容がベンダごとに異なるのが実情だ。

 そこで今回は、広く普及していると思われるメルコの無線LANカード製品(WLI-PCM-L11G)を例にとり、Windows 2000上で実際の設定手順を見てみよう。

無線LANアダプタのインストール

 まず、無線LANアダプタをPCMCIAスロットに取り付ける。すると、PnPによって自動的にデバイスの存在が検出され、デバイスドライバの組み込みを要求される。これは、通常の周辺機器の増設手順と変わらない。

 しかしすでに述べているように、無線LANの場合はSSIDやWEPなどの設定を行わないと通信ができない。そのためデバイス・ドライバだけを組み込んだ状態では、「ケーブルが接続されていない」と表示されることになる。Windows 2000の場合、有線LANでも無線LANでも同じ「ローカルエリア接続」として扱われるので、表示されるアイコンも、有線LANでケーブルを接続しなかったときに表示されるものと同じである。

 そこで、製品添付のCD-ROMから「クライアントマネージャ」のインストールを行う(Webサイトから最新版をダウンロードすることも可能)。そしてインストール完了後、クライアントマネージャを起動する。

クライアントマネージャによる設定

 メルコ製のアクセス・ポイントを使用している場合は、クライアントマネージャを起動してツールバー右端にある虫眼鏡のアイコンをクリックすると、通信可能なSSIDの一覧を検出・表示するので、その中から接続先のSSIDをクリックして[接続]ツールをクリックすればよい。

 しかし、筆者宅ではメルコ社製ではなくIBM社製のアクセス・ポイントを使用しているので、自動検出は利用できなかった。その場合は、[ファイル]−[手動設定]を選択して、手作業で設定を行う。

メルコ社の無線設定ユーティリティ「クライアントマネージャ」の画面
メルコ以外のアクセス・ポイントを使用する場合は[ファイル]−[手動設定]を選択して、ユーザーが手動でアクセスする無線LANを選択する必要がある。
  手動で設定するにはこれを選択する。→

 すると、以下のような設定画面が表示される。ここで、[ESS-ID]に接続先アクセス・ポイントと同じSSIDを記入して[追加]をクリックする([自動検出]をクリックするとアクセス・ポイントの検出ができるが、これはメルコ製品でしか利用できない)。

SSID(ESS-ID)の設定画面
手作業でSSIDを入力して、接続するネットワークを選択する。
  [ESS-ID]に、接続先のアクセス・ポイントと同じSSIDを手作業で記入する。
  [通信モード]は、インフラストラクチャ・モードとアドホック・モードの選択に使用する。[エアステーション経由通信]とはインフラストラクチャ・モードのこと。
  無線LANの一覧。最初は空になっている。
  [追加]をクリックすると、[ESS-ID]に記入したSSIDが一覧に追加される。
  [削除]は、一覧からSSIDを削除する際に使用する。

 接続先のSSIDがリストに追加されたら、[OK]をクリックする。すると設定が登録されるが、WEP暗号化を使用している無線LANを接続対象に指定した場合に限り、次のようなダイアログが表示される。ここでWEPの暗号化キーに使われる文字列を指定する。

「クライアントマネージャ」が表示するWEP設定用のダイアログ
暗号化された無線LANに接続する場合は、このダイアログで暗号化の設定を行う。
  このチェック・ボックスをオンにすると、接続後、DHCPによる自動構成をやり直す。
  ASCII文字列でキーを指定する場合はこれを選択する。
  キーをASCII文字列で入力する。
  16進値でキーを指定する場合はこれを選択する。
  これをクリックすると、設定が変更される。

 最初は[文字]が選択されているが、これはASCII文字列でキーを指定する場合に使用する。

 キー文字列を入力したら[OK]をクリックする。これで暗号化通信に成功すれば、アクセス・ポイントとの通信が可能になる。このとき、DHCPを使用してIPアドレスを自動構成するように設定されている場合は、IPアドレスの自動取得も実行されるので、結果をIPCONFIGコマンドで確認しておこう。

 もしDHCPによる自動構成に失敗したら、WEP暗号化通信は正常に機能していないと判断できる。このあたりの事情はWindows XPと同様だ。その場合、このダイアログで[16進数(WiFi)]を選択して、16進値を使用したキーの指定を試みると、通信が可能になる場合もある。

 なおメルコの製品の場合、「クライアントマネージャ」が動作している間は、インジケータ領域(システム・トレー領域)に電波強度の情報を示すアイコンが表示されるようになっている。このアイコンは、クライアントマネージャを終了させると、表示されなくなる。

「クライアントマネージャ」による電波状態の表示
クライアントマネージャを動作させていると、インジケータ領域上に電波強度を示すアイコンが表示される。この表示は、クライアントマネージャを終了させると表示されなくなる。
  電波強度を示すアイコンが表示されている。
 
関連リンク
WLI-PCM-L11Gのページ
 

 INDEX
  [運用]WEP暗号化の基礎と実践
    1.無線LANの安全性を確保するWEP暗号化
    2.アクセス・ポイント側のWEP設定
    3.SSIDが自動検出可能な場合のWindows XP側の設定
    4.SSIDが自動検出不可能な場合のWindows XP側の設定
    5.Windows XPにおける「利用できるネットワーク」と「優先するネットワーク」の違い
  6.Windows 2000におけるWEP暗号化の設定
    7.おわりに
 
 運用


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