Co-StandbyServer 2000 日本語版
製品レビュー

Co-StandbyServer 2000 日本語版

―― 安価で手軽なアプリケーション・クラスタリングを体験する ――

デジタルアドバンテージ
2004/02/27

 企業内部の情報処理におけるコンピュータの依存度はときとともに高まっている。データベース・サーバや電子メール・サーバ、共有ファイル・サーバなど、基幹業務の一翼を担うサーバの処理が万一停止すると、業務全体を停止せざるを得なくなったり、顧客へのサービス停止に追い込まれたりして、貴重な営業機会の損失や、会社の信用失墜に直結する危険がある。こうしたコンピュータ・トラブルが企業にもたらすリスクは、年々高まっている。

 しかしコンピュータも機械であるからトラブルは付き物である。またトラブル以外であっても、セキュリティ・ホールを解消するために提供されるホットフィックスの多くは適用後にシステムの再起動が必要だ。すんなり適用できればよいが、現実には適用によって予想外の副作用が発生して、復旧が必要になる場合もある。

 こうした諸事情を踏まえたうえで、いかに最終的なサービスを停止せずに継続できるかという性質は「可用性(availability)」と呼ばれる。

 可用性の高い情報システムを構築するための手法はいろいろあるが、代表格の1つは「クラスタリング(clustering)」である。簡単にいえば、サービスを提供するコンピュータを多重化しておき、万一1つのコンピュータが停止しても、別のコンピュータでサービスを継続できるようにするというアイデアだ。“cluster”には「群れをなす、(ぶどうなどが)鈴なりになる」などの意味がある。

 クラスタリング・システム構築の正当法としては、共有ディスクを使用し、クラスタリングに対応した専用のハードウェア、OS、アプリケーションを組み合わせる方法がある。大規模なエンタープライズ環境では一般的な構成である。この方式のメリットは、可用性の向上だけでなく、サーバを多重化することで負荷分散を実現可能なことだ。しかし、このタイプのクラスタを構成するシステムには同一のハードウェアをそろえ、より高価な共有ディスクと上位版のOS、サーバ・ソフトウェアを揃える必要などがあり、トップダウンで導入されるシステムでなければ難しい。

 トップダウンで導入されるシステムがある一方で、ボトムアップ的に「小さく始めて大きく育つ」タイプのサーバもある。サービスを始めてみたら、サービス利用が着々と広がって、基幹的な位置付けに発展して定着するようなサーバである。変化の激しいIT環境では、システムの設計をあらかじめ完全に実施してから構築に入るのではなく、まずは使えるシステムを構築してみて、サービスへの質的ニーズや負荷を測るということがよくあるものだ。

 前出の本格的なクラスタリング・システムは、このようなシステムに応用するのは容易ではない。これに移行するには、現在の資産をいったん破棄して、高価なクラスタリング対応のハードウェア/ソフトウェアに置き換えなければならないからだ。単純な新規投資金額から見ても、システム移行にかかる手間を考えても非常に負担の大きな選択である。

 こんなときに役立つのが、アプリケーション・クラスタリングと呼ばれる方法である。アプリケーション・クラスタリングでは、OSやサーバ・アプリケーション、ハードウェア・システムなどはそのままにソフトウェアを追加し、バックアップ用のサーバを新たに追加するだけで、クラスタリング・システムを構築可能になる。今回はこのアプリケーション・クラスタリング・ソフトウェア製品として、ネットジャパンが販売するCo-Standby Server 2000を試用してみた。低コストで利用可能なアプリケーション・クラスタリングでどこまで対応できるのか。長所もしくは欠点は何かなど、実際の試用結果を元にご紹介しよう。

 

 INDEX
[製品レビュー]Co-StandbyServer 2000 日本語版
    1.Co-StandbyServer 2000の動作原理
    2.事前準備とインストール
    3.ミラーリングの設定
 
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