[製品レビュー]

中小規模システムのライフサイクル管理を実現するSystem Center Essentials 2007
―― 中小規模向けITシステム管理ソリューションの決定打となるか ――

第2回 System Center Essentials 2007のインストール

1.System Center Essentials 2007の初期インストール(1)

マイクロソフト株式会社 IT Pro エバンジェリスト
安納 順一
2007/12/06



index (全4回)
System Center Essentials 2007によるデスクトップのライフサイクル管理
System Center Essentials 2007のインストール
System Center Essentials 2007を使用した運用管理手順(1)
System Center Essentials 2007を使用した運用管理手順(2)

 前回は、デスクトップのライフサイクル管理とそこに求められる機能、そうしたニーズに対するSystem Center Essentials 2007(以下Essentials 2007)の概要について解説した。引き続き今回はEssentials 2007のインストール手順について解説する。

System Center Essentials 2007の評価版を入手する

 それでは、マイクロソフトのWebサイトからEssentials 2007の90日間限定評価版をダウンロードして、手元に実験用のコンピュータ・システムにインストールしてみよう。評価版は以下からダウンロードできる。

 なお、インストールに必要な環境は前回の最後で示した通りであるが、今回は以下の環境を使用する。

  • Windows Server 2003 R2 Enterprise Edition+Service Pack 2
  • SQL Server 2005 Express Edition with Advanced Services
  • Active Directoryをインストール済み

 なおEssentials 2007からのレポートを受け取るために、以下のサービスもインストールしているが、これについては現在使用中のメール・システムをそのまま利用してもよいだろう。指定されたSMTPメール・サーバにレポート・メールが送信されるだけなので、受信するためのメール・アドレスさえ用意しておけばよい。

  • Internet Information Server 6.0のSMTPサービス
  • POP3サービス

 これらのサービスを利用して電子メールを受け取るには、サービスのインストール後に、環境設定(ドメインの設定やメール・ボックスの作成など)を行っておく必要がある。具体的なSMTP/POP3サービスの詳細は以下のWindows TIPS記事を参照していただきたい。なお、以下のサービスのインストールは、Active Directory のインストール後に実施しよう。

Essentials 2007のインストール

 Essentials 2007のセットアップ手順は、これまでの運用管理ソフトウェアと比べると大幅に簡素化されている。Essentials 2007のインストールの特徴を挙げると以下の通りだ。

  • インストーラが1つである
     別途SQL SeverやWindows Server Update Serviceなどをセットアップする必要はない。1回のインストール操作で、必要なすべてのソフトウェアのインストールが完了する。

  • 前提条件チェッカー
      インストールに当たり、.NET FrameworkやASP.NETなど、必要な前提条件を満たしているかどうかが自動的にチェックされる。

  • 必要な情報の事前入力
      従来のように、インストールの途中で情報入力のために一時停止することがなく、インストールに必要なすべての情報を最初に入力しておくことができる。

  • 環境設定ウィザード
      インストール完了後、環境設定はウィザード画面の指示に従って実施すればよい。必要な環境設定項目をマニュアルから探し出す必要がない。

【コラム】Essentials 2007初期バージョンの制限事項について

 Essentials 2007日本語版の初期バージョンにはいくつかの制限事項がある。詳細はインストール・メディアの\ProductDocumentフォルダにあるSCE_Relnote.htmlファイルを参照していただきたいが、以下に主なものを挙げておく。

  • ドメイン・コントローラに事前にインストールされているSQL Server を「リモートデータベース」として使用すると、Essentials 2007のセットアップに失敗する
  • SQL Server 2005 Workgroup Editionがインストールされているコンピュータでは、Address Windowing Extensions(AWE)機能を無効にしておかないとEssentials 2007のインストールに失敗する
  • レポート・サービスがSSLを使用するように構成されていると、Essentials 2007のセットアップ中にインスタンスを選択できない。そのため事前にSSLを未使用に構成しておく必要がある
  • 既定のWebサイトに自己署名の証明書()が割り当てられている場合、いったん証明書を削除しないとEssentials 2007のインストールに失敗する。この場合、インストール後に再度自己署名の証明書を割り当てる

 このほか、日本語の表記がおかしな画面や、ボタンの位置がずれている画面がいくつかあるが、これらは修正パッチや今後のサービスパックによって修正される予定である。

公的なサーバ証明書ではなく、自分自身で署名して発行した証明書。「自己発行証明書」とか「オレオレ証明書」などとも呼ばれる。Windows TIPS「SSLテスト用にサーバ証明書を自己発行する(IIS 6.0編)」「Webサイトのデジタル証明書を確認する」などの記事を参照のこと。

 それでは早速インストールを始めよう。以降、ステップバイステップ形式で解説する。

<初期インストール 手順1>セットアップ・プログラムの起動

 インストールCDまたはISO形式のインストールCDイメージからSetupSCE.exeを起動する。

インストールの開始
インストールの開始
Essentials 2007のコンポーネントには、管理コンソールとエージェントの2つがある。
両方セットアップするにはこれを選択する。
管理コンソールのインストール。
エージェントのインストール。

<初期インストール 手順2>[フル セットアップ]の開始

 セットアップ・メニューから、[フル セットアップ]をクリックする。[ユーザー インターフェイス]とは管理コンソールのことであり、Essentials 2007本体とは別のコンピュータに管理コンソールだけインストールできることを意味している。[エージェント]とは監視対象のコンピュータにインストールする管理用エージェントのことであり、通常はリモートから自動インストールを行うが、セットアップ・メニューから実行して手動でインストールすることもできる。

 「System Center Essentials セットアップ ウィザードへようこそ」画面が表示されたら、[次へ]をクリックして先へ進める。

Essentials 2007のセットアップ・ウィザード
Essentials 2007のセットアップ・ウィザード
Essentials 2007のセットアップはウィザード画面に従って順に進める。
これをクリックしてウィザードを開始する。

<初期インストール 手順3>前提条件の確認

 前提条件の確認画面では、インストールの前提条件チェックが自動的に行われる。チェック項目は20項目ほどあり、実装されているメモリの容量や.NET Frameworkのバージョンなどがチェックされる。

前提条件の確認画面
前提条件の確認画面
最初のステップでは、インストールするための前提条件が満たされているかどうかがチェックされる。

<初期インストール 手順4>不足条件の確認

 前提条件チェックでエラーが発生した場合には、次の画面のように表示され、次のステップに進むことができない。よって、その都度エラー内容を確認して対応しなければならない。エラー内容の詳細は、[More]ボタンで確認できる。

インストールの前提条件が満たされない場合の表示
インストールの前提条件が満たされない場合の表示
インストールの前提条件が満たされていない場合は、インストールはエラーとなり、先へ進むことはできない。再設定を済ませてから、もう一度インストール作業を行うこと。
前提条件を満たしていない場合の表示。
エラーの内容。この例ではASP.NET 2.0がインストールされていない。
これをクリックすると、詳細な内容が表示される。

【コラム】不足条件への対応

  前提条件のチェックでエラーが発生する場合は、Windows Update/Microsoft Update(以下、まとめてMicrosoft Updateとする)での更新適用によって問題を解消できることが多い。最新の更新プログラムをインストールしてから再度前提条件のチェックを行ってみよう。

 典型的なエラーとしてはASP.NETに.NET Framework 2.0が登録されていないという問題が挙げられる。前提条件となるASP.NETと.NET Framework 2.0が間違いなくインストールされているにもかかわらず、前提条件のチェックで「ASP.NET 2.0 が必要です」というエラーが発生する場合には、コマンド・プロンプト上から以下のコマンドを入力してみるとよい。

cd “c:\windows\Microsoft.NET\Framework\v2.0.50727”
aspnet_regiis -enable -r

 コマンド入力後、次の画面のようなメッセージが出力されればASP.NET 2.0は有効になっている。

ASP.NET 2.0がインストールされている場合のメッセージ
ASP.NET 2.0がインストールされている場合のメッセージ
aspnet_regiisコマンドを使って、ASP.NET 2.0がインストールされているかどうかをチェックできる。このようなメッセージが表示されれば、インストールされている。

<初期インストール 手順5>使用許諾契約書への合意

 使用許諾契約書を読み、問題がなければチェック・ボックスをチェックしてから[次へ]をクリックし、ウィザードを進める。

使用許諾契約書画面
使用許諾契約書画面
使用許諾契約書の内容を読み、承諾して先へ進む。
このチェック・ボックスをオンにする。

<初期インストール 手順6>登録情報の入力

 次の画面では「名前」「組織」「プロダクト キー」を入力する。

ユーザー情報の入力
ユーザー情報の入力
ここでは、ユーザー情報やプロダクト・キーを入力する。
「名前」「組織」「プロダクト キー」の情報を入力する。


 INDEX
  [製品レビュー]中小規模システムのライフサイクル管理を実現するSystem Center Essentials 2007
  第2回 System Center Essentials 2007のインストール
  1.System Center Essentials 2007の初期インストール(1)
    2.System Center Essentials 2007の初期インストール(2)
    3.インストール後の製品機能の構成(1)
    4.インストール後の製品機能の構成(2)
    5.コンピュータとデバイスの検出
    6.Microsoft Updateの設定

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