特集
インターネット「常時」接続計画(第2回)

3.ホスティング・サービスと自社サーバの使い分け

デジタルアドバンテージ
2001/08/31


 以上の2つの方式のほか、各サービスごとにISP側でのホスティング・サービスと自社内サーバでのサービスを適宜使い分けるという方式もある。現実的にはこれが一番多い運用形態ではないだろうか。

DNSサーバのホスティング

 DNSサーバは、ドメインを運営する場合に一番重要なサービスであり、DNSサービスがインターネット側からアクセスできなくなると、Webページを見たり、外部からメールを送信したりすることができなくなってしまう。そのため、DNSサービスの信頼性を考えると、(可能ならば)ISP側のDNSサーバでサービスしてもらえばよいだろう。

 しかしISP側に依頼すると、DNSのエントリを追加/変更したりするのにもコストがかかったり(DNSサービスもいくらかの月額コストがかかる場合がほとんど)、迅速なエントリの書き換えができなくなったりするかもしれない。だが実際には、DNSのエントリはそうそう書き換えるものではないので(安定した運用が始まれば、実際には数カ月以上、場合によっては1年以上もそのまま使用することが多い)、固定的なエントリでも特に問題はないといえる。またDNSの仕組み上、書き換えたエントリの内容が世界中に伝達するのにも何日か必要なので、そうそう迅速性が要求されるものでもない。

 最近では固定的なIPアドレスを取得して、自社内でDNSサービスなどを提供することも多いが、そのとき確保できる8個とか16個のIPアドレスでは(これより多くのIPアドレスが必要なサイトは、かなり大規模な組織であり、SBS2000などが対象とするサイトではないだろう)、そうそう変わった名前が必要になることもないし、最初に1回プロバイダに連絡して各IPアドレスごとに名前を付けておけば、実用上は運用に困ることはないと思われる。もちろん、新しいドメイン名を取得して、新たなサービスを始めるというケースもあるだろうが、これとは別の話なので、必要になった時点で新たにDNSサーバを用意すればよい(この方法については、詳細は次回解説するが、最初に付けたドメイン名とは異なるドメイン名を新たにホスティングするからといって、最初からDNSサーバを自社内に用意する必要ない)。

 以上のような理由のため、実はDNSサーバをISP側でホスティングしてもらうという方法は、コストの問題さえ除けば、DNSサーバにまつわる設定や運用などのトラブルを避ける意味でも、かなり現実的な方法といえるだろう。コストといっても、たいていは月額で1000円とか2000円程度である。なお、自社でDNSサーバを用意する場合でもISP側でセカンダリDNSを引き受けてもらうことになるだろうが、その場合にもいくらかのコストがかかるので(やはり1000円とか、その程度)、コストだけを問題にしてDNSサーバをホスティグしてもらうか、自社で用意するかを決めるのは望ましくないだろう。ドメインで提供するサービスと、そこで求められるDNSサーバの信頼性などを総合的に判断して決定していただきたい(例:個人サイトなので、ときどきDNSサービスなどが停止していてもまったく問題ない、など)。

プロバイダ側で提供しているDNSサービスの例
これは東京めたりっく通信社が提供している、DNSのプライマリとセカンダリを引き受けるオプション・サービスの例(固定IP接続サービスのオプション・サービス)。固定IP接続サービスを提供しているプロバイダは、たいていこのようなDNSサービスもメニューに取りそろえている。DNSサービスはインターネットにとっては重要なサービスなので、信頼性を考えると、このようなサービスを利用するのもよいだろう。

メール・サーバのホスティング

 メール・サービスも、DNSサービスに次いで重要なサービスであろう。先に述べたように、メール・サーバが障害でダウンしていると、外部とメールでやりとりできなくなるし、復旧したからといってすぐに送信元が再送してくれるわけでもないからだ。信頼性の高いインターネット・アクセス回線上にメール・サーバを設置するのが望ましい。

 だが自社内にメール・サーバを持っていないとすると、メール・アカウントの追加や削除、維持などに、(メール・アカウントの数などに比例した)コストがかかるのはしようがないだろう。またメール・ボックスや利用できるメッセージのサイズにも制約があったり、単なるメールのエイリアスなどの作成や、メーリング・リストの作成などが面倒だったり、利用できないかもしれない。それにメールの読み書きは必ずISPへのアクセスになるので、そのトラフィックも気になる。それに、例えば大きな添付ファイルを付けた社内向け同報メール(多くのユーザーに宛てて出されたメール)が多く行き交うような使い方をしていると、トラフィックの点でもより不利になる。自社内にメール・サーバがあれば、社内ユーザー間のメールのトラフィックがインターネット回線へ流れることはなくなるだろう。

 メール・サーバを自社で用意するか、それともホスティングしてもらうかは、以上のようなメリットとデメリットを考えて決める必要がある。ユーザー数が多く、メールによる連絡などを多用したり、データを多数やり取りしたりする組織では、なるべく自社内でメール・サーバを用意したほうがメリットは大きいだろう。ただしその場合は、セキュリティ対策(メールのウイルス・チェックや不正メールの中継に利用されたりしないようにすること)などは自分で行う必要があるので、注意されたい。といっても、もちろんExchangeでも正しく設定、確認すれば不正な中継(いわゆる、SPAMメールのための“踏み台”)を防ぐことができるので、そう杞憂することはないだろうが(ウィルス・チェックは、別ソフトウェアを導入するか、各クライアントにアンチウィルス・ソフトウェアを導入して対処する)。

Webサービスについて

 Webサービス(ここでいうWebサービスとは、HTTP/HTMLベースのいわゆるWebページをアクセスすることを指す。SOAP/SMLベースのネットワーク・サービスのことではない)も、ISP側でホスティングするか、自社内で提供するかを選択することができるが(しなければならないが)、判断の基準は、やはりネットワークのトラフィックと利用するハードウェア/ソフトウェア/サービスなどに依存するだろう。Webサービスのシステム開発当初は社内で運用、試験し、最終的には(トラフィックやセキュリティ、サービスの信頼性などを考慮して)ホスティグ・サービスを利用するというのがよくあるパターンであるが、このあたりの事情はWebサービスで提供する情報やそのサービスの内容にもよるので、一概にはいえない。また今回のSBS2000の導入とは別途切り離して考えることになるので、本稿では特に触れないことにする。各ユーザーの事情に応じて考慮していただきたい。昨今では、Webサーバを狙うウイルスやクラッカーも多いので、いずれにしろセキュリティ対策だけはしっかりしておきたいところだ。Webページの閲覧者がそのページに仕込まれたウィルスにやられたりした、などという事態が起こっては、信用問題にかかわるだろうから。

 以上、インターネットで提供する3つのサービス(DNS、メール、Web)について、簡単に説明してみた。自社ドメインを取得して、SBS2000をベースに社内ネットワークなどを構築するという場合には、以上の事項を鑑みて、どのサービスを自社内で提供し、どのサービスをISPに依頼してホスティングするかということを決めてほしい。


 INDEX
  [特集]インターネット「常時」接続計画
  第2回 ドメイン構成のプランニング
     1.インターネット・ドメインで必要なサービスとその配置(1)
     2.インターネット・ドメインで必要なサービスとその配置(2)
   3.ホスティング・サービスと自社サーバの使い分け
     4.DNSサービスとは?
     5.階層化されたDNS名前空間
     6.プライマリDNSサーバとセカンダリDNSサーバ
 
 インターネット「常時」接続計画


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