技術解説
Office 2003のXMLスキーマ・サポートがもたらすインパクト

コラム:Office向けの開発ツール

Greg DeMichillie
2003/10/03
Copyright (C) 2003, Redmond Communications Inc. and Mediaselect Inc.

 Microsoftの各種の開発ツールとは異なり、Officeはまだ.NET Frameworkとマネージド・コードには移行していない。Office用にマネージド・コードを構築するための回避策はいくつかあるが、完全なソリューションは「Office for Longhorn」の登場まで待つことになりそうだ。

 WordとExcelはCOM APIを介して、開発者にその機能を提供する。開発者はVisual Basic for Applications(VBA)を使って、そうしたAPIを強化する。VBAはVisual Basicから派生したビルトインのプログラミング環境で、WordとExcelに組み込まれている。各製品に含まれるマクロ・レコーダ機能でもVBAコードを生成できる。特定のビジネス要件に合わせてOfficeをカスタマイズできることから、一部の企業ではこの環境が人気を集めている。

 だが、OfficeがVBAとCOMを使い続ける一方で、Microsoftの開発者向け製品、特にVisual Studio .NETはすでに.NET Frameworkへの移行を果たし、より堅牢で使い勝手のよいプログラミング環境とともに、複数のプログラミング言語の選択肢を開発者に提供している。Officeと.NETの橋渡し役として、MicrosoftはVisual Studio .NETへのアドオン、Visual Studio Tools for Officeを用意している。これは、OfficeのCOM APIに.NET APIセットを重ねるというものである。だが、Officeに組み込まれ、マクロの作成や編集を行う高度なエンド・ユーザーにも利用できるVBAとは異なり、Visual Studio Tools for Officeでは、もっぱら開発者をターゲットにしたVisual Studioが必要だ。

 なお、InfoPathはInternet Explorerに含まれるVB ScriptとJScript技術をベースとする、まったく異なるプログラミング環境を使用する。スクリプティング言語で構築したソリューションは、C#などのより構造化された言語を使ったものと比べて、最初は記述が簡単だが、コードの分量が数ページを超える場合や、開発者チームが共同で作業する場合などには保守が難しくなる。

 Microsoftによれば、InfoPathには多くの機能が組み込まれているため、開発者が記述すべきコードの量は少なく、スクリプティング言語でも十分なほどだという。ユーザーの入力を確認するなど、InfoPathが一般的なタスクを数多く搭載するのは確かだ。だがそれでも、多くのアプリケーションではカスタム・コーディングが必要となるだろう。また、InfoPathの開発者戦略がそのほかのOffice製品の開発者戦略と同期していないということは、Microsoftの全体的な開発者戦略とも同期していないということであり、いずれ開発者は包括的なソリューションを構築するために3つの異なるプログラミング言語と開発環境をすべて使いこなさなければならなくなるだろう。また、Microsoftにとってスクリプティング・ツールの優先順位は、既存のVBAツールやこれから登場する.NETツールと比べて明らかに低く、この先、スクリプティング開発向けに提供されるリソースが減っていく可能性も否めない。

 OfficeをVBAとスクリプティングから.NET Frameworkに切り換える作業は、コード・ベースの規模や、既存のOfficeソリューションとの下位互換性を保つ必要性からして、Microsoftにとっては相当の労力を要する作業だ。そのため、Officeのプログラミング環境の更新はLonghornのリリース(現時点では2005年遅くか2006年初頭に予定されている)までは起こりそうにない。Microsoftによれば、Longhorn以降、Windows OSは.NET APIを直接提供するようになる見通しだ。従って、Longhornに合わせてリリースされるOffice for Longhornが、.NET Frameworkと関連の開発ツールを直接サポートする初めてのOfficeバージョンということになりそうだ。End of Article

 

 INDEX
  [技術解説]Office 2003のXMLスキーマ・サポートがもたらすインパクト
    1.スマート・クライアント向けプラットフォームの本命
         コラム:スキーマの役割とは
    2.Excel/InfoPathとXML
         コラム:オフラインのアプリケーション・サポートはなぜ難しいか
    3.Wordデータをビジネス・プロセスに認識させる
       コラム:Office向けの開発ツール
 
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