検証

新世代リッチ・クライアントの可能性を探る(前編)
―― Webサービス+Officeで次世代リッチ・クライアントを開発する ――

野畠英明
ヒューレット・パッカード・ソリューションデリバリ(株)
2003/05/13

 一般にWebサービスというと、企業間連携などの大規模なBtoBシステムで利用されるサービスというイメージがある。あるいは社内システムに限定しても、システム間連携をイメージしがちである。しかし実際には、もっと身近なところでWebサービスを活用できる場面がある。例えば、業務システムをWebサービス化すると、日常的に業務に利用しているMicrosoft Office(以下Office)を業務システム用のWebサービス・クライアントとして活用できる。そうすることで、既存のWebアプリケーション(またはVisual Basicなどで作りこまれたクライアント・サーバ・アプリケーション)を補完し、現場のニーズに迅速に対応できるシステム構築が可能になる。本稿では、業務システム向けアプリケーション・サーバとして実績のある日本BEAシステムズのWebLogicを使用し、このWebサービス対応機能と、OfficeアプリケーションからWebサービスを利用可能にするOffice Web Service Toolkitを組み合わせることで、このようなシステムを実際に構築してみる。

Webアプリケーションの問題点

 現在はWebアプリケーション全盛の時代である。Webアプリケーションでは、基本的にすべてのアプリケーションの処理をサーバ側で行い、情報の入力や結果表示用としてのみクライアント側のWebブラウザを利用するという形態を採用する。クライアント側では、HTTP/HTMLプロトコルを解釈できるWebブラウザさえ動けばよい。このためPCばかりでなく、携帯電話でもニュースの閲覧やオンライン・ショッピング、銀行振込などの情報サービスが利用できるようになった。あるいは社内ポータルから、ほかのメンバーのスケジュール確認や購買などのサービスにアクセスすることも可能だ。

 しかし、日常業務のすべてをこうしたWebアプリケーションでこなせるわけではない。業務上で作成するドキュメントの多くは、PCにインストールされたローカルのOfficeアプリケーションで作成しているという方は多いだろう。この際、Webアプリケーションによって表示されたブラウザの内容(情報)を、Officeアプリケーション側で流用したいと思うときもあるに違いない。

 この目的を達成する最も簡単な方法は、Windowsのコピー&ペースト機能を利用することだ。具体的には、ブラウザ画面の表示内容を選択してコピーし、Office側でペースト(貼り付け)すればよい。しかしこれはあまりにもわずらわしい作業である。ブラウザ上に表示される一覧表をそのまま手元のExcelでグラフを表示できたら、いまWordで書いたこの議事録をそのまま文書管理システムに登録できたら、どんなに便利だろうか……。業務システムとOfficeアプリケーションの双方をWebサービスに対応させれば、これが可能になる。

既存のWebアプリケーションとOfficeの連携(左)とWebサービスを利用した連携(右)
Webアプリーションの表示結果をExcelで取り込むには、ブラウザでデータを選択し、コピー&ペーストでExcelにデータをコピーする(あるいはいったんファイルに保存し、それをExcelで読み込む)。しかしWebアプリケーションとExcel(Office)の双方をWebサービス対応にすれば、両者をダイレクトに連携し、業務アプリケーションの結果を直接Excelでグラフ表示することが可能になる。

 あるいは、複数のシステムで似たような情報を重複して入力させられるので生産性が悪い、と感じたことはないだろうか。極端なパターンでは、基幹システムと部内で管理しているExcelシートの両方に対し、ほとんど同様の顧客情報を入力しなくてはならず、揚げ句の果てに整合性が保たれていない、といったことある。非効率であることは明らかだが、現実にはありがちな例である。こちらもWebサービスを利用すれば、入力作業と情報保存の一元化を実現できる。

Webアプリケーションの欠点
Webアプリケーションでは、基幹システムと部内で管理しているExcelシートの両方に対し、ほとんど同様の顧客情報を入力したりすることなどが現実にはあり得る。この場合、無駄な入力作業が発生することはもちろん、データも一元管理されないので、双方で不整合が起こる可能性がある。これに対しWebサービスを利用すれば、入力作業と情報保存の一元化を実現できる。

 こうした既存のWebアプリケーションが持つ課題にこたえる1つのソリューションが、OfficeをWebサービス・クライアントとして活用するというものだ。業務サービスに対してWebサービス機能を追加し、サービスを公開した上で、普段、各種ドキュメント作成や表計算に利用しているOfficeをWebサービス・クライアントとして利用することで、先に挙げたような課題を解決することが可能になる。

 

 INDEX
新世代リッチ・クライアントの可能性を探る(前編)
    1.本稿の目的と想定する技術・環境
    2.簡単なサンプルの作成と実行
   
  新世代リッチ・クライアントの可能性を探る(後編)
     1.営業支援システムを作る
     2.営業支援システムの利用シナリオ(1)
     3.営業支援システムの利用シナリオ(2)
     4.サンプル実装の設計
 
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