検証
新世代リッチ・クライアントの可能性を探る(後編)

2.営業支援システムの利用シナリオ(1)

野畠英明
ヒューレット・パッカード・ソリューションデリバリ(株)
2003/06/04

 ここでは、第1営業課という営業部署を想定する。この部署には、課長のAさんを始めとして10人の営業担当者が属しており、A1サイズやB0サイズを扱うことのできる大判プリンタを主に扱っている。

 今回、ある新規顧客から、ニュースリリースを見たという新製品Xについての問い合わせがあり、第1営業課の営業担当であるBさんが、顧客を訪問することになったとする。Bさんは、事前準備として、顧客に関する基本的な情報と顧客要求を把握するためのヒアリング・シートを作成することにした。そして、顧客を訪問し、ヒアリング・シートに基づいて要望などを聞く。そして次の訪問先へ行く途中、リモート・アクセスで社内システムにアクセスし、ヒアリングの結果をシステムに登録する。その後、上司であるAさんは、日次で実施しているステータス確認でBさんの状況を確認する。

 それでは、システム利用の実際を順を追って詳しく見ていこう。

利用シナリオ(1)顧客情報の登録

 顧客から電話を受けた担当者によると、小売りチェーン店のABCストアの高田氏からの問い合わせであった。Bさんは早速電話で連絡を取り、献身的な対応により顧客訪問のアポイントメントを獲得することができた。そこで、まずはこの電話で得た顧客情報を入力する。

 具体的には、SalesSupport.xlsを開き、「顧客情報」シートを選択する。

顧客情報の入力
顧客からの問い合わせを受けたBさんは、早速電話で顧客訪問のアポイントメントを獲得した。まずは、この電話で得た顧客情報を入力する。
  既存のデータから、顧客企業を検索する場合に使用する。
  顧客情報をここに入力する。
  情報入力を終えたら、このボタンをクリックしてExcel上で入力したデータをサーバ側に送信して登録する。

 電話で聞いた基本情報は以下のとおり。これを上記のシートに入力する。

項目名 入力内容
会社名 ABCストア
氏名 高田
役職 主任
部署名 店舗経営部
TEL 00-1111-2222
FAX 00-1111-2223
メールアドレス takada@abcstore.co.jp
 
基本情報の入力
電話で確認した基本情報を入力する。
  シートへの情報入力を終えたら、このボタンをクリックする。すると顧客情報管理Webサービスが呼び出され、サーバ側に情報が登録される。

 「登録」ボタンをクリックすると、顧客情報管理Webサービスが呼び出されて情報が登録される。登録が完了すると、次のようなダイアログが表示され、登録が成功したことを確認できる。

情報登録の確認
[登録]ボタンをクリックして入力した情報が登録されると、このダイアログが表示され、登録が正しく実行されたことをユーザーに知らせる。

利用シナリオ(2)ヒアリング・シートの作成

 次にBさんは、顧客訪問のための事前準備として、顧客の要望をどういう切り口で聞き出していくかをまとめたヒアリング・シートを作成することにした。

 これには、先ほど開いたExcelのブックの[ヒアリングシート]と書かれたシートを選択する。

ヒアリング情報の初期入力
Excelのブックから[ヒアリングシート]シートを選択したところ。最初に[最新状態に更新]ボタンをクリックして会社名リストをサーバから取得し、会社名を一覧から選択できるようにする。
  最初にこのボタンをクリックして、会社名のリストと案件名のリストを案件管理Webサービスから取得する。
  会社名リスト(コンボボックス)から顧客企業を選択する。
  すでに存在する案件を検索するには、ここに案件名を入力し、右の[検索]ボタンをクリックする。すると案件情報が別シートとして追加される
  最新情報を追加・編集する。
  シートに入力したデータをサーバ側に登録する。

 ここではまず、最新のデータ(会社名のリスト)をサーバから取得するため、[最新状態に更新]ボタンをクリックする。すると案件管理Webサービスから、会社名のリストが取得される。なおこのサンプルでは、[最新状態に更新]ボタンで案件管理Webサービスから会社名と案件名のリストを同時に取得している。会社名は顧客情報Webサービスから取得する方が自然だが、今回の例では性能を重視して、案件管理Webサービスのインターフェイスにまとめた。実システムにおいては、Webサービスの設計時に汎用性を重視するか、よく利用される特定シナリオでの実性能を重視するか、といった方針によって決める必要があるだろう。

 次に会社名「ABCストア」をリストボックスから選ぶ。

 今回は新規顧客でもあり、具体的な要求もまだ分からないので、「案件名」には仮に「ABCストア殿向け案件」と入力しておく。

 顧客との電話で、以下のことは分かっている。

  • B0サイズのポスターまでを印刷可能な製品に興味を持っている
  • 特に製品Xについてより詳しい説明を聞かせてほしい

 そこでこれらの情報を「背景」に記述する。

 またBさんは、この情報とABCストアの業態(小売チェーン)から考えて、次のような項目をヒアリングする必要があると考えた。

  • どのような用途に使われるのか(例えば、新商品の写真を店舗に貼ることが予想されるが、店舗に貼るポスターとして使う場合、どのくらいの店舗数で利用することを検討しているかなど)

  • どういう観点を重要視しているか(紙のサイズ、印刷スピード、解像度、発色、価格)

 このことを「顧客の課題」に記述する。また、写真の印刷を重視するのであれば、写真をきれいに印刷できる製品をいくつかピックアップし、その強みを述べられるようにしておく必要がある。その旨を「自社製品の優位性」に記述する。

 類似の業態に関して扱った事例がないかを調べてみることにし、業態に「小売チェーン」を指定して検索してみた(今回サンプルとして提供するコードには、この機能は実装されていないが、シナリオの一例としてお考えいただきたい)。

 そうすると、案件管理Webサービスから、「コストの削減を狙って、それまで外注していたポスター制作を自社での制作に切り替えた」という事例が見つかった(別シートに表示されるものとする)。その事例では、新たに社内でポスターを制作する体制を作るため、スキャナやプリント・サーバも同時に購入していた。そこでこれらの情報を「顧客の課題」に追記する。

 また、最近問い合わせのあった製品Xを扱ったY社の事例があったので、案件名のリストボックスで「Y社殿向け製図用プリンタ案件」を選択し、「検索」ボタンをクリックした。すると案件管理Webサービスから案件の情報が取得され、別シートに表示された。

類似案件の検索
提案に向けて類似案件を検索したところ。検索されたのはデザイン事務所向け案件で、今回とは業態が異なるが、参考になりそうな情報が含まれていた。

 この事例はデザイン事務所向けで、大きな図面が高速に印刷できることをセールス・ポイントとして販売している。業態は異なるものの、ポスターの印刷においても大サイズに対応しているところをアピールできる可能性があると判断し、「自社製品の優位性」をコピーして使うことにする。

完成した事前ヒアリング情報
電話によるコンタクトで分かったことを記録し、過去の類似案件から参考になりそうな情報を記録してヒアリング・シートを完成させた。
  シートが完成したら、このボタンをクリックして情報をサーバ側に登録する。

 電話によるコンタクトで分かったこと、過去の類似案件から見つかった参考情報を記録してヒアリング・シートが完成した。そこで右上の[登録]ボタンをクリックする。するとExcelが案件管理Webサービスを呼び出して、シート上に入力した情報がサーバ側に登録される。

 作成したヒアリング・シートは、ExcelファイルとしてノートPCに保存し、あわせて製品Xと、ほかにピックアップした製品FとGのパンフレットや説明資料を持っていくことにした。


 INDEX
  新世代リッチ・クライアントの可能性を探る(前編)
    1.本稿の目的と想定する技術・環境
    2.簡単なサンプルの作成と実行
   
  新世代リッチ・クライアントの可能性を探る(後編)
     1.営業支援システムを作る
   2.営業支援システムの利用シナリオ(1)
     3.営業支援システムの利用シナリオ(2)
     4.サンプル実装の設計
 
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