Windows TIPS
[Office Master]
TIPS   Windows TIPS TOPへ
Windows TIPS全リストへ
内容別分類一覧へ

Office 2007でエクスプローラから97-2003形式の新規ファイルを作成できるようにする

解説をスキップして操作方法を読む

デジタルアドバンテージ 島田 広道
2009/08/28
対象アプリケーション
Office 2007
Office 2007のデフォルトのファイル形式は、Office 2003以前だと標準で閲覧/編集できない新しいタイプ(2007形式)になっている。
Office 2007はOffice 2003以前のファイル形式(97-2003形式)を扱えるが、デフォルトではエクスプローラの新規作成メニューからは2007形式しか作成できない。
レジストリなどの設定を変更すると、新規作成メニューから97-2003形式のファイルを作成できるようになる。

解説

 代々のバージョンのMicrosoft Officeのうち、Office 97からOffice 2003までは同一のファイル・フォーマットが利用されていた(ここでは97-2003形式とする)。しかし、Office 2007のうちWord 2007/Excel 2007/PowerPoint 2007/Access 2007では新たなファイル・フォーマットが導入され、それがデフォルトのファイル形式となっている(2007形式とする)。

 Office 2003以前の旧バージョンのOfficeでは、標準状態では2007形式のファイルを閲覧/編集できない。そのため、Office 2007でデフォルトのまま作成したファイル(=2007形式)を、旧バージョンのユーザーが開けないというトラブルが生じる。旧バージョンでもTIPS「互換機能パックを使ってOffice 2007のファイルを読み書きする」のように互換機能パックという追加ソフトウェアにより、2007形式のファイルを閲覧/編集できる。しかし、必ず対象ユーザーの環境に互換機能パックがインストールされているとは限らない。

 そこで、Office 2007では必ず97-2003形式でファイルを作成・保存することで、文書フォーマットを97-2003形式に統一すれば、この問題は解決できる。しかし、デフォルト設定のOffice 2007では、Windowsエクスプローラから97-2003形式のファイルを作成できないのが難点だ。Windowsエクスプローラ上で右クリックして表示されるコンテキスト・メニューから[新規作成]メニューを選ぶと、新規作成の可能なファイル一覧が表示されるが、Officeファイルは2007形式のみで、97-2003形式は表示されない。そのため、97-2003形式のファイルを新たに作成する場合、ユーザーはいちいちOfficeアプリケーションを起動してから、[名前を付けて保存]を実行してファイル保存ダイアログから保存先フォルダを見つけた後に97-2003形式でファイルを保存する、という面倒な作業を強いられる。

Office 2007インストール済みコンピュータの新規作成メニュー
これはOffice Ultimate 2007をインストールした例。ほとんどが「2007」と明示されていないので分かりにくいが、のいずれも2007形式ファイルを表している。
クリックすると、Accessの2007形式ファイル(.accdbファイル)が作成される。
クリックすると、Wordの2007形式ファイル(.docxファイル)が作成される。
クリックすると、PowerPointの2007形式ファイル(.pptxファイル)が作成される。
クリックすると、Excelの2007形式ファイル(.xlsxファイル)が作成される。

 この問題を解決するには、前述の新規作成メニューに97-2003形式のファイルを追加し、2007形式のファイルを削除すればよい。それには、ベースとなる97-2003形式の空ファイル作成およびレジストリの修正という作業が必要となる。本稿では、Word 2007/Excel 2007/PowerPoint 2007/Access 2007を対象に、その手順を説明する。

 なお、ファイル保存時にデフォルトで97-2003形式が選択されるようにするには、TIPS「グループ・ポリシーでOffice 2007のデフォルトのファイル保存形式を97-2003形式に変更する」を参照していただきたい。

操作方法

新規作成時のベースとなる空のファイルを作成・保存する

 97-2003形式のファイルを新規作成できるようにするには、まず、その元になる空の97-2003形式ファイルを用意する必要がある。Word 2007を例に挙げると、まず既存ファイルを指定せずにWord 2007を起動し、新規文書が開かれていることを確認する。次に[Microsoft Office]ボタンをクリックして表示されたメニューから、[名前を付けて保存]−[Word 97-2003 文書]を選ぶ。ファイル保存ダイアログが表示されるので、「%SystemRoot%\SHELLNEW\winword8.doc」というファイル名を付けて保存する。%SystemRoot%\SHELLNEWとは、新規作成メニューからファイルが作成される際のベースとなる各ファイルを保存するフォルダである。

Word 2007でファイルをWord 97-2003形式で保存する
既存ファイルを指定せずにWord 2007を単独で起動すると新規文書が開いた状態になるので、それを以下の手順で97-2003形式の空ファイルとして保存する。
これをクリックする。
ここにカーソルを合わせる(クリックはしない)。
これをクリックするとファイル保存ダイアログが表示されるので、「%SystemRoot%\SHELLNEW\winword8.doc」として保存する。

 Excel 2007やPowerPoint 2007については、上記のWord 2007とほぼ同じ手順で97-2003形式の空ファイルを保存できる。保存時のファイル形式名やファイル名などは下表のとおりだ。なお、%SystemRoot%\SHELLNEWにファイルを保存すると、そのコンピュータの全ユーザーが利用できるようになる。

アプリケーション 保存時のファイル形式名 保存先フォルダ 保存ファイル名
Word 2007 Word 97-2003 文書 %SystemRoot%\SHELLNEW winword8.doc
Excel 2007 Excel 97-2003 ブック %SystemRoot%\SHELLNEW excel9.xls
PowerPoint 2007 PowerPoint 97-2003 プレゼンテーション %SystemRoot%\SHELLNEW pwrpnt11.ppt
Access 2007 Access 2002-2003 データベース %SystemRoot%\SHELLNEW access9.mdb
各Officeアプリケーションにおける97-2003形式の空ファイルの保存先
ファイル保存時には、[名前を付けて保存]メニューにカーソルを合わせて表示されるサブ・メニューから、[保存時のファイル形式名]欄のものを選べば、97-2003形式で保存される。

 Word 2007に比べてAccess 2007では手順が異なり、一時的に2007形式の空ファイルを作成する必要がある。具体的には、既存ファイルを指定せずにAccess 2007を起動したら、画面真ん中やや上の[空のデータベース]アイコンをクリックしてから、右側の枠の[作成]ボタンをクリックする。その後で、Word 2007と同様に[名前を付けて保存]−[Access 2002-2003 データベース]を実行すると、2002-2003形式の空ファイルを保存できる。

Access 2007では、いったん2007形式の新規作成ファイルを保存する
既存ファイルを指定せずにAccess 2007を起動して新たにデータベースを作成しようとすると、いったん2007形式(あるいはデフォルトのファイル形式)で保存しなければならない。
これをクリックする。
一時的に作成する2007形式のAccessファイル名を指定する。
これをクリックするとのファイルが作成される。この後に、[Microsoft Office]−[名前を付けて保存]−[Access 2002-2003 データベース]を実行すると、2002-2003形式の空ファイルを保存できる。その後であれば、のファイルは不要なので削除できる。

 もし保存時に、オブジェクトを閉じるよう警告するメッセージが表示されたら、[はい]ボタンをクリックして保存すればよい。

レジストリを修正して97-2003形式ファイルを新規作成メニューに加える

 空の97-2003形式のファイルを所定のフォルダに保存したら、次はレジストリを修正して、97-2003形式のファイルを新規作成メニューに加える。なお、Windows XP/Windows Server 2003であれば、TweakUIというツールを使うと、レジストリを直接操作することなく、以下の新規作成メニューの変更が可能だ。TweakUIによる新規作成メニューのカスタマイズ手順の詳細については、TIPS「TweakUIで[新規作成]メニューの項目を整理する」を参照していただきたい。

[注意]

レジストリに不正な値を書き込んでしまうと、システムに重大な障害を及ぼし、最悪の場合、システムの再インストールを余儀なくされることもあります。レジストリ・エディタの操作は慎重に行うとともに、あくまで御自分のリスクで設定を行ってください。何らかの障害が発生した場合でも、本Windows Server Insider編集部では責任を負いかねます。ご了承ください。

 具体的には、アプリケーションごとに下表のようにレジストリを修正する。いずれの場合も、指定のキーや値が存在しない場合は、新たに作成する。

項目 内容
キー HKEY_CLASSES_ROOT\.doc\Word.Document.8\ShellNew
値の名前 FileName
REG_SZ
値の内容 winword8.doc
Wordの97-2003形式ファイルの新規作成用レジストリ・エントリ

項目 内容
キー HKEY_CLASSES_ROOT\.xls\Excel.Sheet.8\ShellNew
値の名前 FileName
REG_SZ
値の内容 excel9.xls
Excelの97-2003形式ファイルの新規作成用レジストリ・エントリ

項目 内容
キー HKEY_CLASSES_ROOT\.ppt\PowerPoint.Show.8\ShellNew
値の名前 FileName
REG_SZ
値の内容 pwrpnt11.ppt
PowerPointの97-2003形式ファイルの新規作成用レジストリ・エントリ

項目 内容
キー HKEY_CLASSES_ROOT\.mdb\Access.MDBFile\ShellNew
値の名前 FileName
REG_SZ
値の内容 access9.mdb
Accessの2002-2003形式ファイルの新規作成用レジストリ・エントリ

レジストリを修正して2007形式ファイルを新規作成メニューから外す

TIPS「特定のレジストリ・キー以下を素早くバックアップする
TIPS「レジストリ・キーのデータを移行・バックアップする

 最後に、利用しない2007形式のファイルが新規作成メニューに表示されても邪魔なだけなので、このメニューから外すためにレジストリを修正する。レジストリの値を削除する必要があるため、万一のトラブル時に復旧できるよう、関連記事を参照して、作業前に各レジストリ・キーをバックアップすることをお勧めする。また、誤ってレジストリ・キーを削除しないよう注意すること。なお、前述のTweakUIを利用して設定を変更する場合、以下の操作は不要だ。

項目 内容
キー HKEY_CLASSES_ROOT\.docx\Word.Document.12\ShellNew
値の名前 NullFile
REG_SZ
Wordの2007形式ファイルを新規作成メニューから外すために、削除すべきレジストリの値

項目 内容
キー HKEY_CLASSES_ROOT\.xlsx\Excel.Sheet.12\ShellNew
値の名前 FileName
REG_SZ
Excelの2007形式ファイルを新規作成メニューから外すために、削除すべきレジストリの値

項目 内容
キー HKEY_CLASSES_ROOT\.pptx\PowerPoint.Show.12\ShellNew
値の名前 FileName
REG_SZ
PowerPointの2007形式ファイルを新規作成メニューから外すために、削除すべきレジストリの値

項目 内容
キー HKEY_CLASSES_ROOT\.accdb\Access.Application.12\ShellNew
値の名前 FileName
REG_SZ
Accessの2007形式ファイルを新規作成メニューから外すために、削除すべきレジストリの値

新規作成メニューの変化を確認する

 以上の設定作業が完了したら、実際にエクスプローラで新規作成メニューを開いてみよう。作業前と変わらない場合は、何回か新規作成メニューを繰り返し開いてみると、そのうちメニュー内容が更新される(試した限りでは、システムの再起動やログオフは不要だった)。

設定完了後の新規作成メニュー
97-2003形式ファイルを追加しつつ、2007形式ファイルを削除したので、メニュー数(Word/Excel/PowerPoint/Accessそれぞれ1つずつ)は設定前と変わっていないが、形式に合わせて名称は変わっている。
クリックすると、Wordの97-2003形式ファイル(.docファイル)が作成される。
クリックすると、Accessの2002-2003形式ファイル(.mdbファイル)が作成される。
クリックすると、PowerPointの97-2003形式ファイル(.pptファイル)が作成される。
クリックすると、Excelの97-2003形式ファイル(.xlsファイル)が作成される。

レジストリ一括修正用.regファイルの使い方

 上記のレジストリ修正を手動で正確に実施するのは面倒なので、一括して修正するための.regファイルのベースを用意した。

 このZIPファイルを展開すると作成されるreg_fix_of07newfile.txtを、Unicodeを利用可能なテキスト・エディタ(メモ帳など)で開き、必要に応じて修正する。例えばAccess 2007が未インストールであれば、Access関連のレジストリ・キー(名前に「Access」が含まれているキー)に関する記述は削除する。.regファイルの記述方法については、TIPS「.regファイルを「手書き」してレジストリに読み込ませる方法」を参照していただきたい。

 修正したら拡張子を.txtから.regに変更後、エクスプローラからreg_fix_of07newfile.regをダブルクリックして実行すれば、reg_fix_of07newfile.regの記述どおりにレジストリが修正される。レジストリの値を削除する個所も含まれるので、事前にレジストリをバックアップしてから実行することを強くお勧めする。End of Article

  関連リンク
  How to create legacy Office files in the 2007 Office system(Microsoftサポート技術情報)
     
「Windows TIPS」


Windows Server Insider フォーラム 新着記事
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

注目のテーマ

Windows Server Insider 記事ランキング

本日 月間