書評

XMLの本質は難しくない。応用こそが問題。
話題のXMLのなぜ?どう使う?を知るための5冊

江島健太郎
インフォテリア株式会社
2000/3/23

この5冊
1. 標準XML完全解説
2. XML入門
3. XML開発事例
4. XML技術大全
5. XMLとJavaによるWebアプリケーション開発

 1999年はXMLについて多くが語られた年だった。電子商取引、Webデザイナーとプログラマーの分業、文書管理、マルチメディアデータ配信など、あらゆるテーマの中でXMLの有効性が議論され、検証が重ねられてきた。 その一方、各種メディアにXMLという文字が躍りはじめ、「雑誌の特集記事などでXMLがどういうものかは大体分かったけれども、何がすごいのかよく分からない」という声もよく耳にするようになった。

 実は、XMLそれ自体は難しい技術ではない。あなたがエンジニアなら、そのおもな仕様を理解するのに1日もかからないだろう。本当の問題は、そこから先にある。ある人はXMLをSGMLの延長でとらえ、ある人はHTMLからの連想でとらえる。また、オブジェクト指向のメタ言語のひとつとして考える人もいるだろう。このように、今まではお互いにカテゴリーが明確に分かれていた分野の技術者たちが一様にXMLに注目しているため、つまり、あまりに応用可能性が広範囲に及びすぎているため議論の焦点が定まらないのが、XMLが難しいと感じる問題の本質なのだ。

 ここでは入門者のための基礎知識や高度な仕様について論じた本だけではなく、実装事例という観点から読み応えのある5冊を紹介する。まだまだXML関連の書籍は選択肢が少ないが、著者の水準が総じて高いためか良著揃いだと感じている。では、魅惑的なXMLの世界へようこそ。

入門者必読の定番書

標準XML完全解説

XML/SGMLサロン 著
技術評論社 1998年
ISBN4-7741-0584-8
2280円

 まず最初に紹介するのは、XML 1.0勧告直後に出版された、定番とも言える解説書。周辺の関連情報にあまり話題を拡散させず、XMLを知るうえで基礎となるwell-formedやvalidといった用語の意味や、エンティティ、予約属性、名前空間など、コア部分の仕様を中心に据えてじっくり解説している。DTDの解説に紙面の多くを割くなど現在のトレンドとは少しずれている部分があるのは否めないが、文書系に偏った内容になっているというわけではない。入門者必読の1冊と言えるだろう。

 この本を読んでみて難しいと思った読者は、まずHTML 4.0関連の書籍でHTMLにある程度慣れることをお勧めする。

XMLの歴史的背景の理解などバランスよく

XML入門

村田 真 著
日本経済新聞社 1998年
ISBN4-532-14610-0
2800円

 XML1.0がW3C勧告になる直前に出版されたためか内容にいささか古さを感じるものの、歴史的背景から技術仕様、事例などバランスよく盛り込まれている。入門書として一度読んだ後、XMLを理解できるようになった頃に初心に帰って読んでみると新たな発見のある本だ。

 また、付録の「WWWと日本語」では、XMLワーキンググループでXMLの多言語対応に貢献してきた著者の考察が入念に述べられており、HTMLの文字化けに悩まされてきた方には是非じっくりと読んでいただきたい1冊である。

XMLのアプリケーションを紹介

XML開発事例

Sean McGrath著
株式会社クイック訳
アスキー 1999年
ISBN4-7561-3112-3
3800円

 本書は題名の通り、数多くの事例を通してXMLの利用イメージを固めるのに注力している。翻訳本に独特の読みにくさは若干あるが、オンラインバンキング、ソフトウェア配布、Webオートメーション、データベース統合など、おもにデータ指向の魅力的なアプリケーションが紹介されている。

 サンプルコード類も豊富に掲載されており実際の使われ方を想起するのが容易な一方で、プログラミング言語やXMLに関する基礎的な知識がないと難しく感じるだろう。

 本書はXMLの知識がある程度あるシステムエンジニアの方にお勧めできる。

SGML開発者によるXMLの概念を知る

XML技術大全

Charles F. Goldfarb & Paul Prescod著
ピアソン 1999年
ISBN4-89471-117-6
6200円

 手に取るとずっしり重く、なんと全5部40章もある本書は、XMLのベース理論と応用分野を包括的に解説している。著者のゴールドファーブ氏はSGMLの発明者であり、その論旨の正確さはXMLの概念を整理する上でも非常に役立つはずだ。

 事例紹介の2部から4部では、XML技術のメジャープレーヤー企業が後援者となって起稿しているため、市場に存在する特定の製品を使った具体的な実例を知るという点で、非常に読み応えがある。5部は技術リファレンスとしても使えるような基礎仕様を中心に書かれているが、38章と39章には特定ベンダーの提唱概念についての記述が混在しているため、これを標準仕様と勘違いしないように注意が必要だ。全体に、複数ベンダー製品間の選択肢やその善し悪しについて客観的な評価はなされていないが、その点を割り引いても十分な見返りのある1冊と言える。

JavaとXMLを使うプログラマ向けに

XMLとJavaによるWebアプリケーション開発

丸山 宏+田村 健人+浦本 直彦 著/訳
ピアソン 1999年
ISBN4-89471-135-4
4800円

 XMLの仕様や実装例について記述された本は多く出版されてるが、具体的にどのようにしてプログラミング処理するかについて詳細が語られている本はまれだ。本書は主としてIBM XML Parser for Javaを使ってXML文書を実際に操作するコードの掲載を中心とした、数少ないプログラマー向けの書籍だ。

 XML関連の書籍という観点では、Javaという言語に縛りがある点が必ずしもプラスではないのだが、プログラマー向けの本を書くためには言語を絞る必要がある。数ある言語の中でもJavaはXMLと多くの似通った性質があり、適切な選択と言えるだろう。

 本書では、データベース接続、メッセージング、セキュリティなど、Webアプリケーションを構成する周辺プロトコルまで含めたトータルな視点で書かれており、読者を飽きさせない構成になっている。XMLの実装技法に興味のあるプログラマーにお勧めする。

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