オピニオン:ビジネス連携の未来
最終回 進む企業間コラボレーションの実現

深瀬 正人
BizTalk Server 2000プロダクトマネージャ
マイクロソフト
2001/12/18

 今回は最終回として、いままでのコラムの内容を踏まえて、BtoBやEAIの最終的な目標や個人的に考えていることをまとめたいと思います。

BtoB、EAIの最終目標

 BtoBやEAI導入の最終的な目標は、前回のコラム「BtoBはプロトタイプ導入がおすすめ」でも書いたように、それらを通じて、企業間コラボレーションを実現することではないでしょうか。

 例えばここ数年の製造業の課題として、製品の需要の予測をし、生産をより効率的に行うサプライチェーンの実現が取り上げられていますが、これも企業間のコラボレーションの1つといえます。しかしこうした効率の向上は、すべての企業にとって都合の良いことばかりではないため、簡単には導入が進んでいないのが現実です。というのも、生産側にとっては需要が低ければ工場の稼働率が下がってしまいますし、調達価格を低く抑えたい流通にとっては、生産が過剰な方が有利な条件となるからです。

 また、生産と流通のすべてが直結しているわけではありません。パソコンを作ることを考えてみても、パソコンを生産するための部品を生産するための部品、といったものもあります。こうした部品はパソコンの生産と直接つながっているわけではありません。こうしたことを含めて考えると、製造に関するすべてを垂直統合することはかなり難しいといえます。

 しかし現在、この問題を解決するためにいくつかの製造業は積極的に情報を開示し、生産をより効率的に行うことを実現しています。この情報開示のポイントは、どれだけの生産量を見込んで、どれだけの調達を行う予定であるかを常に明示していることにあります。それらを部品会社などに公開することが、生産の過剰や不足を抑える最初の一歩になっています。

 さらに現在においては、サプライチェーンや物流なども含むビジネスプロセスの標準化を行うことは、企業の取引において重要なファクターになっています。ビジネスプロセスの効率化は標準化なしには行えず、企業の今後を決定する要因として取り上げられてもいます。こうしたことも企業間のコラボレーションの促進を意味しています。

ITが可能性を広げる

 以上のような企業間コラボレーションを行うことはいままでも重要だったわけですが、いまは、その実現方法の選択肢がITによって広がってきたところです。

 需要予測のデータや生産する製品のデータをとってみても、いままでは紙やFAXなどで送って、限られた情報のみを共有していたのが現状だったのではないでしょうか。これらは、人手を介することで情報共有コストを押し上げ、また伝達ミスといった事故も防ぐのが難しいものでした。

 しかしいまでは多くの人がPCを利用し、インターネットを利用した情報交換のインフラが充実してきています。これらを有効に活用し、Webを通じて情報共有を行う、またXMLなどコンピュータ同士が連携して自動的な処理を行う基盤が生まれてきています。

 さらに現在では、経済がグローバル化しています。取引がアジア、米国、ヨーロッパと市場が広がってくると、さらに効率的な生産、調達、販売が求められます。そして、人手による処理の限界を超えるために、ITを活用しなくては迅速な処理は行えないようになってきます。逆の見方をすると、ワールドワイドでの取引や販売先の拡大を行うという可能性は、ITによって広げられるということになります。

 このような点において、ITは実現手段であって目的でないのは周知のとおりですが、これを有効に活用しない術はありません。

コラボレーションはさらに進む

 いままで、BtoBやEAIについて、3回にわたってコラムの形で自分の思っていることをいろいろ書いてきました。私個人として、さまざまなお客さまにお会いする機会を持っていますが、そうした方々のお話を拝聴すると、ITをうまく活用して企業間のコラボレーションを通じた合理化やコスト削減、またはそれによる需要増の仕組みを考えている方が、日増しに増えてきているように感じています。

 今後、企業のコラボレーションはさらに進んでいくと思います。当然、その中には失敗するモデルもあるでしょう。また、「BtoBやXMLなんか役に立たない」「利用しても効果が薄い」と思われている方も少なからずいらっしゃると思います。もちろんこれらの技術の重要性は、何を目的として位置付けるのかによって相当変わってくるはずです。しかし前回のコラムでも書きましたが、個人的にはXMLやBtoBは今後も発展すると考えています。

 そのために、マイクロソフトでは、BizTalk ServerやSQL Server、Commerce Serverといった企業間連携やシステム連携のための製品を提供しています。皆さまがこうしたマイクロソフトの基盤製品を有効に働かせ、ITを活用したより効率的な仕組みや、新たなブレイクスルーが実現できるように願ってやみません。

 いまの経済状況を生き抜くために、企業も変化を迫られています。こういう時期だからこそBtoBは最も取り組むべきものであり、また取り組みを始めやすいものだと思います。

 

筆者紹介
深瀬 正人

東京都出身。中央大学法学部卒業。1994年、NTTデータ (当時NTTデータ通信)に入社し、金融システム事業本部で金融ネットワーク関連の仕事を行う。その後、1997年にマイクロソフトに入社。プロダクトマネージャとして、電子商取引システム製品を担当。現在は、BizTalk Server、およびHost Integration Serverなどを担当。。


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