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WDM (Windows Driver Model)

【ダブリュ・ディ・エム】

別名
Windows Driver Model 【ウインドウズ・ドライバ・モデル】

最終更新日: 2001/09/03

 Windows NTドライバ・モデルに基づく32bitドライバ・モデル。当初はWin32 Driver Modelと呼ばれ、Windows 9xとWindows NT(Windows 2000)の双方にバイナリ互換性があるデバイス・ドライバを開発するために考案されたものだったが、その後バイナリ互換性はソース互換性に後退し、「Windows Driver Model」の略と表記が改められた。

 16bit環境から発展してきたWindows 9x/Meと、当初から32bit環境向けに設計されたWindows NT(およびその後継であるWindows 2000)では、デバイス・ドライバに互換性がなく、ハードウェア メーカーは、Windows 9x用とWindows NT用(Windows 2000用)のデバイス・ドライバを個別に開発しなければならなかった。ドライバ・サポートは、一般にすでに広く普及しているWindows 9x側が先に行われ、Windows NTへの対応は後手に回されることが多かった。このためWindows NTの登場後もしばらくの間は、たとえそれがOSとして優れていても、デバイス・ドライバの不備から、やむなくWindows NTではなくWindows 9xが選択されるという場面もあった。

 プラグ・アンド・プレイやUSB、IEEE 1394、Fibre Channelといった新しい技術が次々と登場する中で、従来からのモノリシックな(さまざまなコンポーネントが相互に依存しあうような)構成のドライバでは、もはや開発が困難になっていた。そこでデバイス・ドライバの内部を細分化して階層化し、各デバイス間で共通化できる部分の共有化を進めることで、デバイス・ドライバ開発を容易にするというのがマイクロソフトの公式の見解である。しかし現実には、Windows NT向けのデバイス・ドライバ対応がなかなか進まない中、Windows 9xとWindows NTの双方に適用できる枠組みとしてWDMを考案したという事情もあったようだ。いうまでもなく、当初の目標どおりWDMによってデバイス・ドライバのバイナリ互換性が実現すれば、Windows 9x向けのドライバをWindows NTでもそのまま使用できるので(ただしIntelアーキテクチャ上のマシンに限られるが)、ドライバ・サポート不足は解消されるはずである。

 だが現実には、Windows NTドライバ・モデルには、NTの構造に依存している部分(HALの機能をダイレクトにアクセスするなど)があり、これをそのままWindows 9xに持ち込むことはできず、開発は思うようには進まなかった。Windowsをとりまく市場の変化などもあり、その後マイクロソフトは、WDMのバイナリ互換性についてはあきらめ、ソース互換性に切り替えた。

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