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モバイルPentium III-M (mobile pentium 3-m)

【モバイル・ペンティアム・スリー・エム】

最終更新日: 2001/11/16

 インテルのモバイルPC向けx86プロセッサ。「モバイルPentium III」の後継として2001年7月31日に登場した。マイクロアーキテクチャはモバイルPentium IIIと同じP6アーキテクチャだが、製造プロセスの0.13μmへの微細化や2次キャッシュの512Kbytesへの増量、新しい省電力技術(拡張版SpeedStepテクノロジ、Deeper Sleepモード)の採用など、大幅な改良が施されている。コアの開発コード名は「Tualatin(テュアラティン)」である。

モバイルPentium III-M
モバイルPentium III-M
左のパッケージがMicro-FCBGAで、右がMicro-FCPGAである。写真提供:Intel

 2001年10月の時点で、モバイルPentium III-Mはハイエンド・ノートPCに搭載されている。これは、インテルのモバイルPC向けx86プロセッサの中で最も性能が高いためだ。メインストリームはモバイルPentium III、バリュー/エントリ・クラスのノートPCにはモバイルCeleronが使われているが、このうちモバイルPentium IIIは次第にモバイルPentium III-Mで置き換えられていくものと思われる。

 モバイルPentium III-Mの主な仕様は以下のとおりだ。

項目 内容
マイクロアーキテクチャ P6アーキテクチャ
コアのクロック周波数 866MHz〜1.2GHz
FSBのクロック周波数 133MHz
1次キャッシュ 命令:16Kbytes/データ:16Kbytesの合計32Kbytesをコアに統合
2次キャッシュ 512Kbytesをコアに統合
製造プロセス 0.13μm
トランジスタ数 約4400万個
パッケージ Micro-FCBGA、Micro-FCPGA
SIMD命令 MMX、ストリーミングSIMD拡張命令(Streaming SIMD Extension)
モバイルPentium III-Mの主な仕様

 モバイルPentium IIIと比べると、モバイルPentium III-Mでは製造プロセスが0.18μmから0.13μmに微細化されたことが大きな変更点だ。これにより2次キャッシュ容量の増大(256Kbytesから512Kbytesへ)や、最大クロック周波数の向上(1GHzから1.13GHz)などが実現し、性能向上に寄与している。またFSBも100MHzから133MHzに高速化された。さらに、「データ・プリフェッチ」という機能も新たに組み込まれている。これは、必要になりそうなデータをあらかじめ予測してメイン・メモリから読み出してキャッシュに転送しておく、という機能だ。これにより、メイン・メモリの読み出し遅延(レイテンシ)による性能低下を抑えられるという。

 また、微細化によって動作電圧が下がっており、消費電力や発熱量も全体的に低減されている。さらにモバイルPentium III-Mには、新しい省電力機能として「拡張版SpeedStepテクノロジ」と「Deeper Sleepモード」が追加された。拡張版SpeedStepテクノロジとは、その名が示すとおり従来のモバイルPentium IIIに実装されているSpeedStepテクノロジの改良版で、たとえバッテリ利用時でもソフトウェアからの要求に応じて、自動的にクロックが最高性能(AC電源利用時と同じ)の周波数に切り替わる(従来は手動でしか変更できなかった)。もう1つのDeeper Sleepモードとは、待機状態のプロセッサの電源電圧を最低動作電圧よりもさらに下げることで、待機状態の電力消費を抑えるという機能である。

 モバイルPentium III-Mをベースにして、さらに消費電力を低減した低電圧版モバイルPentium III-Mや超低電圧版モバイルPentium III-Mが、2001年10月1日に発表されている。

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