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インチネジ (inch screw threads)

最終更新日: 2002/06/10

 各部のサイズがインチ(inch)という単位に基づいて作られているネジ。コンピュータ関係では、ネジ部の直径が約3.5mmで、長さが約6mmのものがよく使われている。

 ネジにはさまざまなサイズや種類があるが、よく使われるものは標準仕様として規格化され、それが国際規格や、各国ごとの国内規格として普及している。インチネジは、英米でよく使われている「ヤード・ポンド法」に基づいて規格化されたネジである。ただし一言でインチネジといっても、実際にはイギリスとアメリカでは規格の細部が異なり、互換性はない(ネジ山の角度が少し異なるなど)。前者のイギリス規格のインチネジは、開発者のイギリス人の名前をとって「ウィットネジ(もしくはウィットウォースネジ)」と呼ばれ、日本国内でも建築関連の分野で使われている。アメリカのインチネジはこのウィットネジ規格をベースにしたANSI規格ネジであり、さらにそれがISOで「ユニファイネジ(unified screw threads)」として規格化されている。

 インチネジに関する日本国内規格としては、「JIS B0206 ユニファイ並目ねじ(unified coarse screw threads)」と「JIS B0208 ユニファイ細目ねじ(unified fine screw threads)」の2つがある。この2つはネジ山のピッチ(山と山の間隔)などが異なり、細目の方が並目よりも細かいので、精密な締め付け用途などに向く。ミリネジと同様に、このユニファイネジも正式なJISの国内規格であり、航空機などで広く利用されている。

 コンピュータ関係では「No.6-32UNC×6mm」というインチネジがよく使われている。No.6はネジ部の太さを表わす番号であり、約3.5mmの太さに相当する。32UNCは、1インチあたり32山(=1山あたり約0.8mm)というピッチを持つユニファイ並目ネジを表わしている。6mmはネジ部の長さを表わしている。コンピュータではこれ以外にもいわゆるミリネジ(メートルネジ)が使われることも多いが、インチネジとは各部のサイズが異なるので、お互いに流用することはできない。PC関連では、ハードディスク・ドライブやケース各部の取り付けネジとして使われることが多い。

ミリネジ、インチネジ、セルフタッピングネジ
ミリネジ、インチネジ、セルフタッピングネジ
これはPCで一般的に使われているネジ。左から順にミリネジ、インチネジ、セルフタッピングネジ。それぞれピッチが異なるので代用することはできない。場所によって使われるネジの種類が違うし、例えばブラケット固定用のネジでも、ケースによってはミリネジだったりインチネジだったりする。ネジ頭部の形状はさまざまだが、ネジの部分の太さやピッチは規格化され、統一されている。ミリネジはネジのピッチが細かく、インチネジはピッチが粗いので、2つ並べると簡単に見分けることができる。区別のために、ISO規格のミリネジには頭部に小さな丸いくぼみ(矢印の先)が付けられることがあるが、何もないミリネジも多い。右側のセルフタッピングネジは最近ではほとんど使われない。

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