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UMA (Unified Memory Architecture)

【ユー・エム・エー】

最終更新日: 2002/07/03

 コンピュータのメモリ・サブシステムにおいて、メイン・メモリの一部をグラフィックス・メモリとして利用する共有メモリ・アーキテクチャの1種。グラフィックス用のメモリ・チップを別途必要とせず、製造コストを下げられるため、エントリPCなどコスト重視のPCによく実装される。

 グラフィックス・サブシステムでは、画面に表示するデータを保存しておくフレームバッファや3D描画のワークエリアなど、グラフィックス処理用のメモリ領域(グラフィックス・メモリと呼ぶ)を必要とする。単体のグラフィックス・コントローラ・チップでは、独立したメモリ・バスに専用メモリ・チップを接続し、これをグラフィックス・メモリとして使用するのが一般的だ。この場合、メイン・メモリとグラフィックス・メモリは、メモリ・チップのレベルで別個のものである。ただし、グラフィックス・コントローラ経由でプロセッサがグラフィックス・メモリをアクセスできるのが普通だ。

 UMAでは、独立したメモリ・チップではなくメイン・メモリの一部をグラフィックス・メモリとして利用する。メイン・メモリとグラフィックス・メモリで、メモリ・チップの一部を共有するわけだ。メイン・メモリの一部に確保されたグラフィックス・メモリ領域は、グラフィックス・コントローラからアクセスされ、フレームバッファや描画用ワークエリアとして使用される。この領域にはプロセッサからもアクセス可能だ。

 UMAのメリットは、グラフィックス用のメモリ・チップを省けるため、コスト・ダウンが図れることだ。例えば現在のエントリPCでは、メモリ・コントローラを内蔵したチップセット(ノース・ブリッジ)にグラフィックス・コントローラが統合されており、グラフィックス・サブシステムが完全にメモリ・サブシステムと融合している。これにより劇的にチップ数が減り、グラフィックス・カードも不要になり、マザーボード上の配線も簡素になる結果、製造コストが下げられる。

 その一方でUMAでは、メイン・メモリに対するプロセッサとグラフィックス・コントローラそれぞれからのアクセスが競合しやすく、グラフィックスの描画性能が低くなりがち、というデメリットがある。実際のところ、UMA=エントリPC向けアーキテクチャという図式が確立しているため、UMA対応チップセット(グラフィックス統合チップセット)のグラフィックス性能は、単独のグラフィックス・コントローラより低めに抑えられる傾向もある。

 UMAという用語は、マルチプロセッサ・システムにおいて、共有メモリに対して全プロセッサが「対等」にアクセスするように設計されたメモリ・アーキテクチャを指す場合もある。しかしこれは「Uniform Memory Architecture」の略であり、本稿で解説しているUMA(Unified Memory Architecture)とは異なる。

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