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APIPA (Automatic Private IP Addressing)

【エー・ピー・アイ・ピー・エー】

最終更新日: 2002/03/14

 ネットワーク機器に対して、IPアドレスを自動的に割り当て、利用するための機能。

 TCP/IPを実装したネットワーク機器やシステムでは、それぞれのシステムに対して、重複しない固有のIPアドレスを割り当てておかなければお互いに通信することはできない。しかしネットワークに詳しい管理者がいなかったり、DHCPサーバも用意されていないような小規模なネットワークでは、IPアドレスを秩序立てて割り当てたり管理するのは困難である。そこで考案されたのがAPIPAというIPアドレスの自動的な割り当て、管理機能である。

 APIPAを実装したシステムでは、最初に自分のシステムに割り当てるIPアドレスを「169.254.1.0〜169.254.254.255」の範囲内からランダムに1つ選択する。そして、ARP要求をネットワークにブロードキャストすることによって、そのIPアドレスがほかのシステムで利用されていないかどうかを確認する。もしどこかのシステムからARPの応答が返ってくれば、そのIPアドレスは使用中であるとみなし、別のIPアドレスで再試行する。このようにして未使用のIPアドレスを見つけ、それを自分のシステムに割り当てることによって、IPアドレスが重複しないことを保障する。「169.254.*.*」というIPアドレスはLINKLOCALアドレスといい、一般的なプライベートIPアドレスではないが、どこの組織にも割り当てられていないことが保証された、APIPAでのみ有効な、特別なIPアドレスである。

 このように、APIPAを利用することにより、ユーザーはネットワークのIPアドレスをまったく意識することなく、ネットワーク上のほかのシステムと通信をすることができる。

 ただしAPIPAは、小規模なネットワークで使うことを前提としているため、複数のネットワークをまたいで使うことはできない。APIPAで割り当てられたIPアドレスを持つパケットは、ルータでルーティングしてはいけないことになっている。そのため通信できる範囲は同一のネットワーク(ブロードキャストが届く範囲)に限定されることになる。インターネットへ接続するのではなく、ローカルのLAN上でファイル共有やプリンタ共有しか使わないという用途にはこれでも十分である。

 APIPAは、最近のWindowsやMacintoshシステムなどで実装されている。これらのシステムでは、最初にDHCPなどでIPアドレスの取得を試みるが、それが失敗するとAPIPAによってランダムなIPアドレスを割り当てるようになっている。だがハブが壊れるなど、何らかの事情でネットワークが利用できない場合でも、自動的にランダムなIPアドレスが割り当てられたままシステムが起動してしまうことになるので、一見するとネットワークが正常に機能しているようにみえることがある。そのため、トラブルの原因を究明するのが困難になることもある。

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