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Athlon

【アスロン】

別名
アスロン (athlon)

最終更新日: 2002/09/06

 AMD社の第7世代x86プロセッサのうち、デスクトップ向け製品に付けられていたブランド名。または、Athlon XP/MPやモバイルAthlon 4/XPを含むAthlonシリーズの総称。Athlonの最初のバージョンは1999年6月23日に発表された。マイクロアーキテクチャはAMD-K6-2やAMD-K6-IIIなど第6世代から一新され、高速化と高機能化が図られている。Athlonは、Pentium IIIやPentium 4と競合するミッドレンジからハイエンドのデスクトップPC向けプロセッサに位置付けられていた。すでに後継であるAthlon XPが登場している。

 Athlonのマイクロアーキテクチャは、スーパー・パイプラインとスーパースケーラを採用しており、最大9命令を同時に発行可能となっている。また、3本の浮動小数点演算パイプラインを実装することにより、従来のAMD製x86プロセッサの弱点とされていた浮動小数点演算性能を大幅に改善している。命令セットでは、MMXはもちろんAMD-K6シリーズに組み込まれていた3DNow!テクノロジを拡張したエンハンスト3DNow!テクノロジも実装されており、マルチメディア系アプリケーションの高速化に貢献している。

Athlonのマイクロアーキテクチャのブロック図
Athlonのマイクロアーキテクチャのブロック図
これは初期のAthlonのマイクロアーキテクチャを表している。2次キャッシュはコアに統合されておらず、外付けである。

 外部バス・インターフェイス(FSB)もK6シリーズからAthlonになって一変した。K6シリーズまではSocket 7互換バスだったが、AthlonからはIntel製x86プロセッサと互換性のない独自のバスを採用した。バス・プロトコルは、DEC(現Compaq Computer)がAlphaプロセッサ用に開発したEV6をベースに拡張しており、クロック周波数は200MHzまたは266MHz、バス・バンド幅は最大1.6Gbytes/sまたは2.1Gbytes/sに達する。

 Athlonのパッケージは、最初の発表当初はPentium II/IIIとよく似たカートリッジ・タイプだったが、その後、セラミックのPGAパッケージに変更された。プロセッサとマザーボードまたはプロセッサ・ボードとの物理的な接続も、当初Slot Aと呼ばれるPentium II/III用のSlot 1(SC242)と同じ形状のスロットが使用されていたが、PGAパッケージへの移行に伴い、Socket Aという462ピンZIFソケットに代替された。

PGAパッケージのAthlon
PGAパッケージのAthlon
写真提供:日本AMD

 1999年6月に初登場してからAthlonのプロセッサ・コアは2回変更されており、3種類のコアが登場している。最初のコアは開発コード名「K7(AMD-K7)」と呼ばれ、製造プロセスは0.25μmで、1次キャッシュは命令とデータそれぞれ64Kbytesで計128Kbytesをコアに搭載し、2次キャッシュは外付けのSRAMを利用していた。K7コアを搭載したAthlonは、カートリッジ・タイプのパッケージ内に512Kbytesの2次キャッシュ・メモリ(駆動クロック周波数はコア・クロックの1/2)を同梱しており、クロック周波数500MHz/550MHz/600MHz/700MHzの4種類が販売された。

 K7の次に登場したコアは、1999年11月30日に発表された開発コード名「K75」である。これは、K7の仕様をほぼそのままに製造プロセスを0.18μmにしたものだ。これにより、K7では700MHz止まりだったクロック周波数はK75で1GHzに達した(販売されたのは550MHz〜1GHz)。しかし、外付けの2次キャッシュ・メモリはK75ほどクロック周波数を高めることができず、コア・クロック750MHz〜850MHzではその2/5、900MHz〜1GHzではその1/3のクロックでしか駆動できず、Athlonの性能向上カーブを鈍化させる要因となった。

 この2次キャッシュの問題を解決したのが3番目のコアである開発コード名「Thunderbird」である。2000年6月5日に発表されたこのコアでは、1次キャッシュと同様に256Kbytesの2次キャッシュもコアに統合したことで、コアと同速度で駆動できるようになり、性能向上に大きな役割を果たした。また2次キャッシュSRAMを搭載するのに必要だったカートリッジ・タイプの大きなパッケージが必要なくなり、コンパクトなPGAパッケージが登場したことで、小型のPCにもAthlonを搭載する道が開けた。製造プロセスは、0.18μmのまま従来のアルミニウム配線から、より高速な銅配線へ移行し始めた。そのほか、Thunderbirdコアでは途中からFSBが200MHzから266MHzに高められた。販売されたのは650MHz〜1.4GHzである。

 Athlonのマイクロアーキテクチャは、AMDが擁するそのほかのプロセッサにも採用されている。バリュー・セグメントのデスクトップPC向けには安価なDuronというプロセッサがあるほか、ノートPC向けにはハイエンドのモバイルAthlon 4/モバイルAthlon XPとバリュー・セグメントのモバイルDuron、そしてサーバ/ワークステーション向けにはAthlon MPがラインアップされている。

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