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Itanium

【アイテニアム】

別名
アイテニアム (Itanium)

最終更新日: 2002/07/17

 インテルの64bitプロセッサのための命令セットアーキテクチャ「IA-64」を採用する、最初のマイクロプロセッサ製品のブランド名。「アイテニアム」と発音する。PentiumやCeleron、Xeonなどのネーミングを担当した米Lexicon Branding(レキシコン ブランディング)社が命名した。「Merced」という開発コード名で呼ばれていたもの。2001年5月に正式発表され、各社からこれを採用したサーバやハイエンド・ワークステーション製品が出荷されている。

 Itaniumは、厚さ1cm程度のタバコ箱サイズのパッケージで提供される。2次キャッシュを同梱したCPUコアのほか、Pentium IIIの2次キャッシュと同様、パッケージ内で4Mbytesの3次キャッシュを外付けしている。パッケージの底面に信号線用のピンが出ており、ソケットに差すようになっている。電源はパッケージの短い側面に用意された専用のコネクタから供給する。

Itanium
Itanium
これは初代Itaniumのパッケージ。写真提供:Intel

 当初は、2Mbytesの3次キャッシュ(コードとデータが共用のユニファイド・キャッシュ)を採用した733MHz版と、4Mbytesの3次キャッシュを採用した800MHz版の2種類が出荷されている。いずれも、1次キャッシュは32Kbytes(コード16Kbytes、データ16Kbytes)、2次キャッシュは96Kbytes(ユニファイド・キャッシュ)。システム・バスの動作クロックは266MHzで、最大2.1Gbytes/sの帯域幅を持つ。バス幅は64bit、物理アドレス・ラインは44bit(論理アドレス空間は64bit)。トランジスタ数は2500万個(キャッシュを除く)。最大32個までのマルチプロセッサにも対応する。

 Itaniumは、あらかじめプログラム時(コンパイル時)に並列実行できる命令を明示的に記述しておいて、実行時にそれらの命令をすべて同時実行するというEPIC(Explicitly Parallel Instruction Computing:明示的並列コンピューティング)という技術を採用している。複数の命令を1命令のようにパッケージ化し、それを同時実行するという点では、VLIW(Very Long Instruction Word)に近いが、VLIWの持つマシン語レベルでの互換性維持が困難であるという問題を克服している。

 Itaniumでは、分岐ユニット×3、整数/メモリ演算ユニット×4、浮動小数点演算ユニット×2の実行ユニットが実装されており、2バンドル(6命令分)を同時に発行、実行可能だ。なお、パイプラインの段数は10段で、インオーダー(命令記述された順番通り)に実行される。1クロックで20命令が実行可能である。

Itaniumのマイクロアーキテクチャ
Itaniumのマイクロアーキテクチャ

 Itaniumは、IA-32命令の実行環境も備えている。IA-32用のデコード、制御ユニットを内蔵しており、実行ユニットはIA-64と共用するような形で実装している。なお、IA-32命令は、オウト オブ オーダーで実行される。インテルによれば、ItaniumのIA-32命令の実行性能は、同時期に販売されている最も高速なIA-32プロセッサに比べて、遅いものになるという。

 対応OSは、64bit版Windows 2000(64bit版Windows 2002)やLinux、HP社のHP-UX、IBM社のAIXなどがある。

 Itaniumの後継として、より高性能化した第2世代のプロセッサ「Itanium 2」がすでに発表されている。これは、Itaniumに比べ、動作クロックの向上や実行ユニット数の増加などにより、同じバイナリで1.5〜2倍の性能向上を実現しているという。

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