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PostScript

【ポスト・スクリプト】

最終更新日: 1999/09/20

 1982年に米Adobe Systems社が発表したページ記述言語の1つ。テキスト形式による一種のプログラミング言語で、特定のプリンタに依存しないページデータを記述できる。柔軟性や汎用性が高いことから、特に印刷物などを作成するプロフェッショナルDTPの分野で広く利用されている。PostScriptは、発表当初から注目を集め、1985年にはPostScriptインタープリタを搭載するイメージセッタ(2540dpiの出力解像度を持つLinotype社のイメージセッタ)やレーザープリンタ(Apple社のLaserWriter、300dpi)が発表された。

 PostScriptは、各プリンタを駆動するための情報を直接記述するのではなく、テキスト形式の一種のプログラミング言語によってページ情報を記述していく。そしてこのテキスト形式のプログラムコードをプリンタ側に送り、プリンタに用意されたPostScriptインタープリタで解釈し、実際のプリンタ駆動用のコードに変換する。このように、PostScriptの最大の利点は、プリンタが提供する機能や性能に直接的に依存することなく、ページデータを記述できることだ。つまり同一のPostScriptデータから、異なるプリンタに出力することが可能で、出力解像度などは、プリンタ側で適切な値が用いられる。このためたとえば、プロフェッショナルDTP分野では、手元にある低解像度のプリンタで校正用の印刷を繰り返し、最終的に出来上がったPostScriptデータを高解像度の出力機に持ち込み、大量印刷を行うなどが一般的である。

 当初PostScriptは、モノクロ出力機のみを対象としていたが、その後カラー拡張や、コンポジットフォント拡張(PostScriptデータ自身にフォントデータを組み込む機能)などが行われた。初期のPostScriptは、1byte文字コード圏のみが想定されており、1つのフォントで取り扱える文字種が256文字までに制限されていた。しかしコンポジットフォント拡張によって、この制限が取り除かれ、PostScriptで日本語を扱うことが可能になった。こうして、1989年に日本語PostScriptが発表された。

 またプリンタ出力だけでなく、ディスプレイ出力に対してもPostScriptのしくみを拡張したDisplay PostScript(DPS)も開発され、Steven Jobs氏が創設したNeXT社のOSであるNextStepや、Sun Microsystems社のOSであるNeWSに搭載された。しかし性能的な問題から、Display PostScriptが広く普及することはなかった。

 これら一連のPostScriptの拡張は、必要に応じて、プリンタごとに組み込まれていったが、それらの拡張機能をまとめ、さらにいくつかの機能拡張を行ったPostScript Level2が1990年に発表された。このPostScript Level 2での主要な機能拡張としては、デバイスに依存しない色指定のサポート、バイナリエンコード機能(テキスト形式でなく、バイナリ形式でPostScriptデータを表現するための仕様)、フィルタ(データのエンコード、デコードを実行可能にするインターフェイス)、フォーム(繰り返し実行される描画処理を、効率よく行えるようにする機能)、パターン(図形の内部を塗りつぶしパターンによって塗りつぶす機能)などがある。このPostScript Level2が発表され、従来バージョンと区別する必要が出てきたため、従来のものはPostScript Level1と呼ばれるようになった。

 このように、ひと口にPostScriptといっても、必要に応じてさまざまな拡張が施されており、現実には、あらゆる出力機に通用するPostScriptデータを作成することは困難である。このため各PostScriptプリンタは、各プリンタの機能や仕様などの情報を記録したPPD(PostScript Printer Description)と呼ばれるファイルを持っており、出力を行うアプリケーションは、このPPDから各プリンタの情報を取得し、適切なPostScriptデータを出力できるようにしている。

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