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パーシャルCAV (partial CAV)

【パーシャル・シー・エーブイ】

最終更新日: 2002/04/26

 通常のCD-ROMドライブやCD-R/RWドライブでは線速度一定でデータの読み出しや読み書きを行うが、書き込みの安定性や信頼性を向上させるために、部分的に角速度一定でデータの読み書きを行う方式。

 基本的にCDは、線速度一定でデータを読み出す記録メディアであり、CD-R/RWドライブにおいても、基本的には線速度一定でメディアを回転させ、レーザーでデータを書き込む方式をとる。線速度一定(CLV:Constant Linear Velocity)とは、データを読み書きするピックアップに対して、トラックを一定の速度で移動させる方式である。つまりCDでは、ピックアップが円盤状のメディアの内周にあるときには高速でメディアを回転させ、ピックアップが外周に移動するにしたがってメディアの回転速度を下げる必要がある。これに対し、ハードディスクのように、常にディスクを一定速度で回転させる方式は角速度一定(CAV:Constant Angular Velocity)と呼ばれる。

 CD-ROMやCD-R/RWドライブの普及と低価格化が進むにしたがって、各社ともこれらのドライブの付加価値をメディアへの高速なデータ読み出し能力/記録能力に求めるようになってきた。CD-R/RWドライブを例にとると、この原稿執筆時点(2001年5月現在)では、CD-Rメディアへの書き込みは16倍速、CD-RWメディアへの書き込みは8倍速程度の能力を持つものが一般的である。

 すでに述べた線速度一定の特性により、CD-R/RWでのデータ書き込みでは、ピックアップが内周にあるときほどディスクの回転数が上がることになる。しかしあまりにディスクの回転数が上がると、振動によるデータ・エラーの影響を受けやすくなるなどの問題があった。これに対しメディアの最内周から一定の領域までは、線速度一定ではなく、安定的なデータの読み書きが可能な、一定した角速度でデータを書き込み(つまり、ピックアップが外周に移動するほど、データ書き込みの線速度は上がることになる)、ピックアップがそれよりも外周に移動したら、最高の線速度でデータを読み書きする技術が開発された。これがパーシャルCAVである。

 例えば2001年5月にヤマハから発表されたCD-R/RWドライブは、20倍という高速なCD-R書き込み能力を持っているが、最内周から一定の領域では、角速度を一定にして、安定的なデータ記録を実現している(最内周でのデータ記録速度は12倍速)。

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