アジャイル・エンタープライズ コーナーについて

〜「経営とITの融合」研究会・設立の背景と意義〜

「経営とITの融合」研究会(KIU研究会)事務局
「アジャイル・エンタープライズ」編集委員会事務局
2006/1/17

- 「経営とITの融合」研究会の組織化と
「アジャイル・エンタープライズ」コーナー開設の背景

 今日ほど、企業の“勝ち組・負け組み”の差がつき、同じ市場で競争していて“従業員が原因を明確に把握できず”に結果に差がつき、競争に敗れ撤退せざるを得ない状況に“納得できなかった”ことは、なかったのではないでしょうか。今後、このような状況は増えることはあっても、減ることないと思われます。

 “ユーザー・顧客が中心であるインターネット経済社会”は企業を取り巻く市場・事業環境の変化のスピードを年々速めることは間違いなく、また、この環境はグローバル化していきます。経営トップも何をすればよいかは、分かっています。ある経営団体が企業トップ・経営企画部門に対して行った調査で、2004年からの今後3年間の中期経営課題として挙げられたのは、(1)新事業・新商品・新サービス開発のスピード化、(2)CSR・コンプライアンスなどの実践、(3)利益・財務強化の組織・体質作りなどでした。その目的は、攻めの競争力戦略体系・ガバナンス体系の確立・全体最適組織体系確立による基盤強化などです。これらは日本企業の経営革新方向の共通的経営課題といえます。

 一方、ITの分野では、変化に柔軟に対応した「より確実な経営」を実践するためのマネジメント手法であるEPM(企業パフォーマンス管理)による、関連情報システムから経営情報を可視化し分析機能を提供すること、例えばデータウェアハウスからKPI(主要業績評価指標)の抽出や、過去のデータから、市場の推移・変化を予測するBI(ビジネス・インテリジェンス)など、経営判断のスピード化、問題発見・解決のソリューションの多様化はもとより、BPMS(ビジネスプロセス管理システム)・BRMS(ビジネスルール管理システム)も進化のスピードを速めています。

 現在、日本の大部分の企業の経営組織は機能本位で設計・運営されており、それに対応して情報システムやERPなども機能別に設計されているため、「顧客価値・市場の変化に俊敏に対応する市場戦略と業務プロセス(BPM:Business Process Management)」を考える場合、柔軟性に欠ける事業/業務組織/情報システムが欠点であることが、経営者/現場の業務推進リーダー/業務を支援するIT部門リーダーにも認識されています。これは、“先進エンタープライズ”の経営者/現場業務推進リーダー/IT部門リーダーが持つ共通認識といえます。

 また、この共通課題が企業のビジネスリーダーにどの程度共有できているかにより、冒頭の問題の解決につながることになるのではないでしょうか。今後の企業の競争力強化は、この「事業環境の変化・市場の変化・経営課題・業務課題を進化したITで適宜に柔軟に設計変更する」──すなわち“経営とITの融合”という課題を全従業員が共通認識し、共有し、市場の変化・事業環境の変化に気付き、俊敏に業務改革を施し、それを継続することを可能にする組織・システム化を“ロードマップ”として描き、挑戦することに尽きるのです。

- 「経営とITの融合」研究会とは?

 「経営とITの融合」研究会(KIU研究会)は、前段の「経営革新の要請と情報システムの対応」を現実解とすることを目的としたオープンな研究会として組織されました。ビジネスコンサルティングファーム、ITコンサルティングファーム、経営教育機関、IT教育機関、アーキテクチャ系IT企業、経営関連NPO、IT関連NPOなどの組織を代表する参加者、また個人の参加者から構成されています。

 入会・退会は自由で、ユーザーの市場適応能力である、事業・業務変革の継続から「俊敏な企業への変革」支援を競業関係を超え、相互啓発を目的としており、以下のテーマをミッションとしています。

■「経営とITの融合」研究会の目的は「経営革新の要請と情報システムの対応」
―企業、公共団体における業務は、グローバル化の環境の下で、経営革新の要請に応じて継続的に変化・強化・改善などを実施するものであり、それを支える情報システムは「経営とITの融合」という言葉に代表されるように、経営革新に対して、戦略策定革新・業務の効率化、トレーサビリティ確立、顧客サービスの向上、業務の統合、経営管理などへの迅速な対応が求められている。

■BPM(Business Process Management)の誕生
―BPMは、上記のニーズに対応するために「経営革新と情報システム開発を融合する方法論」として生まれた。
―BPMは「標準技術を用いた業務設計、適切着実な情報システム化、迅速で継続的な戦略革新・改善とモニタリングを推進する活動」と定義されている。

「BPMフォーラム・ジャパン」設立準備委員会の定義より

 

 BPM(経営とITの融合)の推進は、経営管理手法・理論、業務・システム分析技術、設計思想・技術、ツール類など広汎な技術・環境を、ユーザー自身の競争力差別化の要件・目的に合わせて、適切に組み合わせ、統合的な支援の必要があります。
 その実現には、業界、競合関係を超えてBPMの関係者の連携とユーザー支援技術機能を高めるための「多面的な研究の場」と「普及のための技術習得・ノウハウの確立」「顧客の理解と導入の実践を促す普及の施策」が求められます。

「経営とITの融合」研究会

 以上、具体的なBPMの追求がKIU研究会のミッションであり、“俊敏な企業への変革視点”を「(1)戦略策定視点、(2)ガバナンス確立視点、(3)人財開発/組織革新視点、(4)業務革新視点、(5)ITアーキテクチャ革新視点」の5つの分野を継続的にモニタリングすることが「経営とITの融合」研究会の具体的な研究活動目標でもあります。

 同時に「企業の俊敏な変革」の導入ロードマップもこの分野をカバーすることで、企業のBPMの導入ステップとして考えることができます。

- Webサイト「アジャイル・エンタープライズ」による
BPM(経営とITの融合)の普及について

 アジャイル(agile)とは、“俊敏”を意味します。日本企業の良い組織文化である、協調性・組織性・透明性に加え、権限委譲・自律性による事業化・組織経営での意思決定のスピードと機敏なITアーキテクチャを駆使して“俊敏な企業経営”を実践・変革していこうということです。BPMの本質も永遠のテーマでもある日本のホワイトカラーのQCDのトレーサビリティ確保が根底にあり、全従業員が参加するBPMの普及によるグローバルな競争力基盤構築を意味します。

 このようなコンセプト/方法論の普及、情報発信のため、KIU研究会は、@IT情報マネジメント編集部と共同して、情報ポータルサイト「アジャイル・エンタープライズ」を設置します。

「経営とITの融合」研究会(KIU研究会)
 組織を代表・個人の立場で参加は自由(無料)なBPM(経営とITの融合)を促進する“行動する研究会”です。現在、コンサルティングファーム、教育機関、アーキテクチャ系ITベンダ、NPOの会員と事務局で構成され、2005年12月末現在、45名が参加しています。第1回は2005年11月30日に、第2回は、12月22日に開催され、毎月・第4週の木曜日に開催され、会員の先進BPM技術・先進ITアーキテクチャを発表、ユーザーの競争力統合支援のための相互啓発研究会です。毎回の研究発表のサマリーと会員の執筆記事を「アジャイル・エンタープライズ」に掲載していきます(会員名簿ページ)。
↓
「アジャイル・エンタープライズ」編集委員会
 KIU研究会メンバーが編集委員会メンバーでもあります。KIU研究会の開催時に、編集委員会も開催されます。KIU研究会は、(1)戦略策定革新視点 (2)ガバナンス確立革新視点 (3)人財開発/組織革新視点 (4)業務革新視点 (5)ITアーキテクチャ革新視点の5つの視点を基盤に研究しており、KIU研究会メンバーに編集委員会を経由してこのフレームで記事の執筆をお願いします。これを「アジャイル・エンタープライズ」編集部が取りまとめ、「アジャイル・エンタープライズ」に掲載し、読者に情報発信していきます。
↓
アジャイル・エンタープライズ」コーナー
 「アジャイル・エンタープライズ」は、経営とITの融合(BPM)の普及促進のために、KIU研究会監修の下、@IT情報マネジメント内に設置されるポータルサイトです。「ユーザーサイド」「マネジメント支援サイド(専門家)」の交流を深め、ユーザーの競争力強化の基盤構築支援をミッションとしています。そのために、「KIUメンバーへのサービス向上」「ユーザー向けフォーラム」など、読者(顧客)の方々にBPMの特質をご理解いただくとともに、競争力強化構築支援として作成される俊敏な企業への変革ツール導入のロードマップに接していける仕組みとして設計されています。
 
「アジャイル・エンタープライズ」は「経営とITの融合」研究会メンバーにより、執筆・監修されています。

<font size="2">問い合わせ先
「経営とITの融合」研究会事務局・編集委員会事務局
(株)フォーユー・高橋堅三
メールアドレス:k-takahashi@foryou-net.co.jp

「アジャイル・エンタープライズ」編集
アイティメディア(株) @IT情報マネジメント編集部
メールアドレス:managemail@atmarkit.co.jp


この記事に対するご意見をお寄せください managemail@atmarkit.co.jp