ビジネスモデルをあるべき姿へ実践! UMLビジネスモデリング(5)(1/2 ページ)

これまでは、現状のAs isなビジネスモデルの抽出方法について説明してきた。今回はいよいよAs isモデルを、ビジネスゴールを達成するためにTo beモデルへと洗練させていく手順を説明する。

» 2007年09月14日 12時00分 公開
[内田功志,システムビューロ]

まずはビジネスゴールの設定から

 今回は、As isのビジネスモデルにビジネスゴールを適用することで、To beモデルへと洗練させていく手順を説明していきます。

 本来は、まずビジネスのどの部分にどのようなビジネスゴールを適用するのかが問題になりますが、ここでは話を簡単にするために、この手順の説明は省略します(詳細は下記書籍を参照してください)。ここでは前回までと同じく、洋菓子店の例を用いて、As isモデルをTo beモデルへと洗練させていく手順の簡単なサンプルを紹介します。

参考書籍
「戦略マップによるビジネスモデリング」内田 功志、羽生田 栄一=著/翔泳社/2007年)

ビジネスユースケースの洗練

 まずは、下の図をご覧ください。

ALT 図1 As isビジネスユースケース図

 上の図は、本連載の第3回で作成したAs isモデルのビジネスユースケース図です。実際にはこのとおりに洋菓子店を続けていくと、前日に売れた分を作り足すことの繰り返しで場当たり的になってしまい、一向に利益が上がらないという状況に陥ってしまいます。

 そこで、ビジネスゴール「利益の安定化」を適用することにしました。以下が、そのビジネスゴールを反映したTo beモデルのビジネスユースケース図になります。

ALT 図2 To beビジネスユースケース図

 To beモデルのビジネスユースケース図を作成した結果、いままでは計画を立てずに、その場その場で対応していたことが分かりました。そして、場当たり的な対応のために売れ残りが発生したり、お客さまがいるのに商品が足りなかったりと、ムラや無駄が多く、それがもとで利益が安定しなかったことに気付きました。

ビジネスワークフローの洗練

ビジネスワークフロー: 計画を立てる

 そこで、しっかり計画を立てて、その計画に従って洋菓子を作っていくことでムラや無駄をなくしていこうと考えました。営業日の終わりに状況の確認や分析を行い、翌営業日の販売計画や製造計画を立てるようにします。そして、その計画に合わせて仕入れを行うようにします。アクティビティ図でそのワークフローを表現すると、以下のようになります。

ALT 図3 ビジネスワークフロー: 計画を立てる

ビジネスワークフロー: 洋菓子を作成する

 ここで、連載第4回で作成したAs isモデルのビジネスワークフロー「洋菓子を作成する」のアクティビティ図を再び見てみましょう。

ALT 図4 As isビジネスワークフロー: 洋菓子を作成する

 上図のようなワークフローのままでは、営業日当日に洋菓子を作る間際になって、初めて材料が足りないことに気付くといったケースも十分に考えられます。先ほど見たように、あらかじめしっかりと計画を立て、それに基づいて仕入れを行うことで、そうしたムラや無駄をなくそうとしているわけですから、「洋菓子を作成する」でも、それに沿ったビジネスワークフローにしていきます。

 そこで、「洋菓子を作成する」のビジネスワークフローもビジネスゴールを適用してAs isモデルからTo beモデルへと洗練させる必要があります。下のアクティビティ図はビジネスゴールを適用した結果です。

ALT 図5 To beビジネスワークフロー: 洋菓子を作成する

 あらかじめ立てておいた製造計画を確認してから洋菓子を作るように、ビジネスワークフローが洗練されています。そして、製造計画を確認するのは「利益の安定化」というビジネスゴールを達成するためであることも見て取れます。

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