The Rational Edgeより:IBM Rational Software Architectをはじめとする各種モデリングツールではユースケースのモデリングにどのUML図を使うのかなど、ビジネスユースケースとシステムユースケースの相違点と類似点について学ぶ。
大半のソフトウェアアーキテクトは、ソフトウェアソリューションの開発に重要な作業としてビジネスモデリングを認識している。うまくできたソリューションはビジネスを助け、ビジネスの問題を解決し、事業目標を達成する。
ビジネスプロセスアナリストは、まずしっかりしたビジネスモデルを開発してから、冗長作業の排除や、繰り返しが多く平凡な、もしくはエラーの影響を受けやすい作業の自動化など、各種ビジネス改善オプションを調査する。「IBM Rational Unified Process」(RUP)と「Unisys 3D Visual Enterprise」(3D-VE)は、Unified Modeling Language(UML)を使い、ビジネスモデルのビジュアル化に向けた系統的なアプローチを提供するほか、一貫性があり、ビジネスモデルまで戻れて出発点となるシステムユースケースモデルを引き出す。
本稿では、RUPビジネスモデリングプロセスの概要を説明し、以下のような疑問に答える。
では、これらの疑問を考える前に、筆者がこの話題を取り上げることにした理由を説明したい。筆者は、ソフトウェアアーキテクトとして、1990年代前半からシステムユースケースに関する作業に携わってきた。筆者は、Unisys Global Public Sectorが開発した「Integrated Justice Information Sharing」(IJIS)フレームワークソリューションの設計主任になる2002年まで、ビジネスユースケースにかかわることがなかった。IJISは現在、「Unisys Information Sharing Management Framework」(ISM)へと進化している。
ISMは、情報共有の共通ビジネスプロセスをサポートする再利用可能なコンポーネントセットだ。「ISM Framework」は、多様な司法/公安システムをService Oriented Architecture(SOA)技術を使って統合し、重要なデータ、ドキュメント、および画像を重要な意思決定ポイントで共有できるようにする。ISMソリューションは、政府機関が既存のレガシーシステムを使い続けられるようにするためのビジネスフレームワーク、技術フレームワーク、基盤アプリケーションソフトウェア、そして方法論を司法/公安コミュニティーに提供する。
ISMはRUPを使ってデザインされており、ISMプロジェクト向けに開発された最初の成果物の1つがISMビジネスモデルだった。ISMビジネスモデルの開発は筆者にとって有意義な学習体験であり、筆者が最初に学んだことの1つが、ビジネスモデルの開発方法が相当混乱しているということ、そしてUMLビジネスモデルを開発するための文献が比較的貧弱で、あまり一貫性がないことだった。
Unisysのグローバル公共部門から学習開発コンサルタントとしてUnisys Universityへ異動した筆者は、ソフトウェアアーキテクチャおよびIBM Rationalツールのトレーニングの開発と導入を統括してきた。筆者の仕事の1つが、IBM Rationalに関する「Mastering Requirements Management with Use Cases」(MRMUC:ユースケースを使った要件管理のマスター)というコースの講義だ。このコースの目玉はシステムユースケースの開発だが、このコースでは、ビジネスモデルとは何か、そしてシステムユースケースモデルとはどのような関係にあるのか、という説明が十分でない。従って、本稿ではMRMUCコースの補足資料の提供を目標の1つにしている。
本稿では、読者にはシステムユースケースモデリングに関する基本的知識があり、RUPの要件について学んだことがあるものと仮定している。システムユースケースモデリングをあまり知らない場合は、まずRUPの要件について学習されたい。
前述のように、ビジネスモデリングに関する文献は貧弱だが、RUPで得る情報以外に筆者が特に有益だと思った参考資料を以下に示しておく。
「Writing Effective Use Cases」(Alistair Cockburn著) この本は、ビジネスとシステムの両ユースケース仕様の書き方に関する筆者のお気に入りの書籍だ。Alistairは、ビジネスもしくはシステムユースケースモデルで最も重要なのがユースケース仕様だと強調している。本書はUMLではなくユースケースの仕様に重点を置いている
「UML for the IT Business Analyst」(Howard Podeswa著) この本はビジネスモデルを開発するときのUMLの使い方に重点を置き、Alistairの著書を補足する形になっている。「UML for the IT Business Analyst」は、筆者が効率的なビジネスユースケースモデルの開発方法に関する学習を完成させるのに役立った
Rational Edgeの記事「Effective Business Modeling with UML:Describing Business Use Cases and Realizations」(Pan-Wei Ng著) この記事には本稿との類似点がいくつかあるが、こちらはUML 1.xの視点で書かれている。一方、本稿はUML 2.0の視点から書いており、ビジネスユースケースモデル、ビジネス分析モデル、およびシステムユースケースモデルの関係に深く踏み込んでいる
これで前置きは終わりなので、次はいくつかの疑問に答えていこう。
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