では、まずマスプロモーションから説明しましょう。これは「商品をどのように、どんなトーンで訴求するか」という広告表現と、「各種広告媒体をどう使うか」というメディアミックスプランの2つの要素で成り立っています。
消費者に与える印象を左右する広告表現が重要なことはもちろんですが、メディアミックスプランも難しいテーマです。広告媒体を掲示する場所、消費者との接触シーン、接触時間によって、広告効果が大きく変ってきますし、媒体コストも異なります。そのため、限られた予算内で最大の効果を発揮するためには、綿密なメディアミックスプランが不可欠となります。
媒体の最適な組み合わせは、その商品が置かれている市場状況やコミュニケーション目標(注1)によって異なります。特に近年はインターネットの浸透によって消費者のライフスタイルが大きく影響を受けました。これによって各メディアの広告機能に対する見方も変わりつつあります。
例えば、新聞広告は商品説明に適した媒体とされていましたが、昨今は商品の詳細情報はインターネットを通して得ることが多くなりました。これを受けて、「価格の安さ」など、訴求ポイントの中でも消費者の目を引きやすい情報を新聞紙上で告知し、自社Webサイトに誘導する、といった使い方が増えています。その一方、新聞という媒体の「信頼性の高さ」という側面から、株主をはじめとするステークホルダーに会社としてのメッセージを発信するIR広告には依然として適しているとされています。
テレビCMも商品の認知度向上に大きな効果を発揮します。これを生かして、商品の名前、イメージをCMでアピールし、やはり自社Webサイトに誘導するパターンが多くみられます。雑誌広告、ラジオ広告も同様であり、自社Webサイトという自前の広告媒体をマスコミ4媒体とどう組み合わせるかは、企業にとって非常に重要なテーマとなっています。
ただ、電通調べ『2007年 日本の広告費』によると、マスコミ4媒体の広告費は2005年から3年連続で減少しています。こうした中、著しく伸びているのがインターネット広告です。2007年のインターネット広告費は6003億円。さらに、電通総研の『2007年?2011年のインターネット広告費に関する試算』では、2011年には7500億円を超える規模に拡大するといわれています。
インターネット広告には、以下のようにさまざまな種類があります。消費者に商品情報を発見してもらい、詳しく知ってもらうことから、実際に購入してもらうことまで、すべてインターネット上で完結できることもあり、メディアとしての価値は年々高まっているといえるでしょう。
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さらに、Web2.0という概念が登場して以降、マーケティング・メッセージを広く普及させるに当たって、紹介や推奨、いわゆる“口コミ”によって商品の情報伝播を促進するバイラル・マーケティングを実施する場としても、インターネットへの注目が高まっています。SNS、ブログといった、消費者主導型のCGMを活用する動きも進んでおり、消費者との「対話」や「コミュニケーション」をどう販促戦略に生かしていくかも、企業にとって重要な課題となっています。
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