“最後のひと押し”販促策で、売り上げが決まる!マーケティング入門〜売れる仕組みの作り方〜(5)(2/3 ページ)

» 2008年09月12日 12時00分 公開
[斉藤孝太,株式会社SIS(ストラテジック インテリジェント システム)]

マスコミ4媒体をWebサイトへの誘導ツールに

 では、まずマスプロモーションから説明しましょう。これは「商品をどのように、どんなトーンで訴求するか」という広告表現と、「各種広告媒体をどう使うか」というメディアミックスプランの2つの要素で成り立っています。

 消費者に与える印象を左右する広告表現が重要なことはもちろんですが、メディアミックスプランも難しいテーマです。広告媒体を掲示する場所、消費者との接触シーン、接触時間によって、広告効果が大きく変ってきますし、媒体コストも異なります。そのため、限られた予算内で最大の効果を発揮するためには、綿密なメディアミックスプランが不可欠となります。

 媒体の最適な組み合わせは、その商品が置かれている市場状況やコミュニケーション目標(注1)によって異なります。特に近年はインターネットの浸透によって消費者のライフスタイルが大きく影響を受けました。これによって各メディアの広告機能に対する見方も変わりつつあります。

 例えば、新聞広告は商品説明に適した媒体とされていましたが、昨今は商品の詳細情報はインターネットを通して得ることが多くなりました。これを受けて、「価格の安さ」など、訴求ポイントの中でも消費者の目を引きやすい情報を新聞紙上で告知し、自社Webサイトに誘導する、といった使い方が増えています。その一方、新聞という媒体の「信頼性の高さ」という側面から、株主をはじめとするステークホルダーに会社としてのメッセージを発信するIR広告には依然として適しているとされています。

 テレビCMも商品の認知度向上に大きな効果を発揮します。これを生かして、商品の名前、イメージをCMでアピールし、やはり自社Webサイトに誘導するパターンが多くみられます。雑誌広告、ラジオ広告も同様であり、自社Webサイトという自前の広告媒体をマスコミ4媒体とどう組み合わせるかは、企業にとって非常に重要なテーマとなっています。


注1:
「コミュニケーション目標」とは、商品のターゲット層に何を伝え、どのような反応を期待するのかを明確にしたもの。認知度○%向上といった定量的な目標と、高級なイメージの向上といった定性的な目標がある。


インターネットが、いっそう効果的なアプローチを実現

 ただ、電通調べ『2007年 日本の広告費』によると、マスコミ4媒体の広告費は2005年から3年連続で減少しています。こうした中、著しく伸びているのがインターネット広告です。2007年のインターネット広告費は6003億円。さらに、電通総研の『2007年?2011年のインターネット広告費に関する試算』では、2011年には7500億円を超える規模に拡大するといわれています。

 インターネット広告には、以下のようにさまざまな種類があります。消費者に商品情報を発見してもらい、詳しく知ってもらうことから、実際に購入してもらうことまで、すべてインターネット上で完結できることもあり、メディアとしての価値は年々高まっているといえるでしょう。

主なインターネット広告

バナー広告
Webサイトに広告画像を掲載し、出稿企業のホームページにリンクするもの。最も多く使われている広告の1つで、表示回数やクリックされた回数に応じて課金される
電子メール広告
電子メールで送付する広告。メールマガジン内に数行の広告文面を挿入するメールマガジン広告や、年齢、性別、居住地といった属性データ、各々の趣味・し好、生活スタイルに合わせて、特定の層に絞り込んで広告文面を配信するターゲティングメール広告などがある
あらかじめキーワードの形で指定した広告を、検索エンジンの検索結果ページなどに対価を払って掲載してもらう有料のインターネット広告サービス
Webサイトの閲覧者を、「ページ閲覧」や「検索」「商品購買」といった“行動”に基づいてセグメント化し、それぞれの志向に合ったメッセージを表示する広告
検索エンジンなど、キーワード検索機能を持ったサイトにおいて、検索窓からユーザーが入力した検索語に応じて、関連する内容の広告を検索結果表示画面に表示する広告サービス。グーグルのAdWords、ヤフー/Overtureが有名
Webサイトの各ページの文意や文脈を解析し、その内容に添った広告を自動的に表示するインターネット広告サービス。例えば自動車に関して書かれたページがあればその脇に自動車の広告を表示する 。グーグルのAdSenseが代表例
 

 さらに、Web2.0という概念が登場して以降、マーケティング・メッセージを広く普及させるに当たって、紹介や推奨、いわゆる“口コミ”によって商品の情報伝播を促進するバイラル・マーケティングを実施する場としても、インターネットへの注目が高まっています。SNSブログといった、消費者主導型のCGMを活用する動きも進んでおり、消費者との「対話」や「コミュニケーション」をどう販促戦略に生かしていくかも、企業にとって重要な課題となっています。

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