第5回 RFPの書き方:どんな「インターネットショップ」なのか?キーワードでわかるシステム開発の流れ(1/3 ページ)

これまでの数回の連載で、「システム開発の進め方」「ハードウェアの選定」「ロケーション(システム設置・運用場所)」「セキュリティ」といった内容を通して、実際のインターネットショップを作り上げるために必要な準備についての基礎知識を紹介してきました。いよいよ今回からは、「システム開発」というメインの内容について話を進めていくことになります。

» 2007年10月18日 12時00分 公開
[高田淳志,株式会社オープントーン]

「どのようにしたい」「何を作りたい」かを決めるのは誰?

  私自身、現役のSE(システム・エンジニア)として、「こんなことをできるようにしたいんだけど」的なかなりイメージの浅い段階から、お客さまと一緒にプロジェクトのスタートを切ることが多くあります(この場合の「SE」とは、システム・エンジニアではなく、セールス・エンジニアと呼ぶ方が適しているかもしれませんね)。

 特に、お客さま企業との連絡窓口が、システム部門などシステム開発に精通している部署、担当者であれば、ある程度、実現の可能性が加味されたうえで「作りたいもの」の姿が表現されることが多いのですが、エンドユーザーであるお客さまと直接やりとりをするような場面では、業務遂行の視点からの「こういうことを、こういうふうにしたい」という概念的なリクエストを受け取ることも多くなります。「そういうことを考慮しなければならないんだ」といった予備情報としては、たとえあいまいな要望であっても有用な情報となり得ますが、具体的に開発を進めていくうえでは、そのような要件もどこかのタイミングで必ず具体的かつ明確に定め、なおかつ、正確に伝えて正しく情報共有することを目指さなければなりません。作りたいものの姿・内容を最も正確に知っているのは、それを作りたいと思っている本人なはずです。

赤井君 「さあ、室長、ついに当社初のインターネットショップのサービスメニューを考える段階に来ました」

青木室長 「そうか、そうか。ついにそこまでたどり着いたか。いままで随分と多くのことを赤井君から教わりっ放しだったが、サービスメニューぐらいだったら1人でも考えられそうだぞ。つまり、やりたいことをどんどん挙げていけばよいわけだ」

赤井君 「ちょっと待ってください。2人で夢を語り合うだけであれば、確かに思い付くことを並べていけば済むのかもしれません。しかし、実際のシステム作りは社内スタッフだけではできませんから、プロであるシステム開発ベンダに作業を委託する予定のはずです」

青木室長 「それはそうだ。だからこそ、何を作りたいか書き出しておこうじゃないか。何を作りたいか伝えれば作ってもらえるのだろう? それに、それを伝えれば、工期や費用だってあらかじめ見積もってもらえるものなのだろう?」

赤井君 「確かに、物事の取り掛かりとしてそのプロセスは必要です。ただ、それだけでは足りませんよ」

青木室長 「だって、その道のプロなのだろう? あとは考えてくれればいいじゃないか。」

赤井君 「そうですねぇ……。確かに概要を伝えるだけでスタートはできるかもしれませんが、その状態で提示される工期や見積もり費用なんて、ほとんど当てになりませんよ」

青木室長 「では、どうしたら良いのだね?」

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