[コパン]データ量増大とMAID技術の関係ストレージ関連ベンダ それぞれの戦略(12)(1/2 ページ)

大規模企業のバックアップストレージニーズに対応して、急成長している米コパンシステムズ。単純にバックアップストレージやアーカイブストレージとして分類されるものを超えた、担当者の持つ悩みを直接解決する機能を提供している。コパンの戦略と、特徴的なMAID技術について同社幹部に聞いた。

» 2007年11月26日 12時00分 公開
[三木 泉,@IT]

 ストレージ分野でエコとの関連から注目される技術の1つが、データの読み書きに必要なディスクドライブのみを動作させるMAID(Massive Array of Idle Disks)技術だ。この技術を活用したストレージシステムを展開しているコパンシステムズが、2007年11月に日本支社を設立。国内企業の技術サポートや技術的ニーズへの対応を強化していくという。すでにニューヨーク証券取引所やmyspace.comをはじめとする顧客を獲得し、国内でも大企業に浸透しつつある同社の強みとは何か。CEOのマークワード(Mark Ward)氏など、同社の幹部に聞いた。

まれにしかアクセスしないデータが急増している

  コパンシステムズは自社製品で狙うストレージニーズを一般的なトランザクションシステム向けのストレージシステムとテープドライブの中間と位置付けている。まず、ここに大きな特徴があるといえそうだ。

 「当社では、一度書き込まれて、たまに読み出されるようなデータに焦点を当てている。当社ではこれをパーシステント・データと呼んでいる。つまりデータそのものではなく、保護やバックアップのために作成されるコピーが対象だ」とワード氏は話す。同社の売り上げでいえば、いわゆるアーカイブ用途が25%、そのほかはデータ保護とバックアップだという。

ALT 右から、米コパンシステムズCEOのマーク・ワード氏、日本カントリーマネージャーの勝俣正起氏、アジア太平洋地域/日本担当バイスプレジデントのマーティン・ダーリング氏、チーフ・セールス・オフィサーのギャリー・ヴィール氏

 チーフ・セールス・オフィサーのギャリー・ヴィール(Garry Veale)氏によると、フォーチュン1000にリストされるような大企業は、現在7〜10TBのデータをディスク上に保存している。「その75%は日常利用するものではない。まれにしかアクセスされないが、オンラインにしておかなければならないといった性質のものだ」(ヴィール氏)。企業におけるデータ量はどんどん増加していく。しかしストレージシステムに割ける予算は容易に増やせない。

 特に大規模な企業や組織におけるこうしたジレンマを解消する製品が同社の「Revolution」シリーズだという。

 同製品がまず実現しているのはデータ容量単価の低減。2007年10月に発表の最新製品では、1GB当たり25セントと、テープドライブ以下のコストを可能にしたという。テープドライブと同様なコストであれば、データ保存媒体としての、テープに対するディスクドライブの優位性が生きてくる。テープにおける転送速度の遅さ、必要なときにすぐデータにアクセスできないことからくる時間のロス、媒体としての故障率の高さ、カートリッジ交換など管理の煩雑さといった課題をクリアできるからだ。さらに同社では保存データの整合性を定期的にチェックする機能を搭載することによって、信頼性を高めている。

 コパンの製品では、機器の購入コストだけでなく、運用コストも大幅に低下すると同社は主張する。MAID技術によって消費電力と冷却コストを節約。さらに同技術がディスクドライブの寿命を延ばすことによって、ディスクドライブ交換のコストも減少するとしている。

 これに加えて、Revolutionシリーズではディスクドライブを高密度に実装する機構を採用し、スペース効率も高めている 。

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