「人」に視点を当て、普遍性を持ったプロジェクト運営プロセスを探り出す連載の第4回です。
前回「エンジニアにとっての本当の『顧客』は誰?!」はFさんを例に、単に活躍するだけでもうまくいかない事例を通して「ステークホルダー」の調整の難しさを考えてみました。
さて、早速前回のWeb投票の 結果(2007年3月5日時点)を簡単に分析してみましょう。
■アンケート結果
まず2位について。やはりプロジェクトの成否において、マネージャのスキルは誰もが重要だと考えています。プロジェクトの遂行に責任を負っているのが「プロジェクトマネージャ」という言葉の意味である以上、最初に「重要な要素」として挙げられるのは理解できます。
例えば、多くの場合システムが「オーダーメイド」である以上、その「オーダー」を的確にとらえて、形にします。そのために顧客からチームまで有機的に結合しプロジェクト運営を行います。
また、「プロジェクトはすべてユニーク(一意)である」という法則にあるように、多分にそのユニークさにマネージャーは自身の経験から近いプロジェクトの経験を組みあわせて効率の良い運営を図ります。
このように、プロジェクトマネージャの役割は非常に重要なものです。
そもそもオーダー(要件)という不確かな要素を、コストや期間といったこの上なく「確かなもの」の中で「アプリケーション」という実体に置き換えていく作業ですから、その実現を行う、ITプロジェクトのマネージャーの役割は非常に重要なものです。
3位の「見積もり」も非常に理解できます。ある程度経験のあるSEであれば、一度ならず厳しい見積もりに(それが自身のものであるか否かは別にして)苦しめられたことがあると思います。
そして、多少の要求のずれや運営の問題も、結局金銭的バッファがあれば「謝って済む問題」として収束する場合がほとんどです。
おそらく、リリース前に工程表を見るたびに、あともう少し……、あと1カ月分の予算と時間があればなあ……とため息をついた経験は皆さんあるでしょうから。
4位(根性)が5位(プロセス)に勝ったのは意外な結果でした。
5番目の「根性」は、多分に議論の盛り上がりに期待して出した次第ですが、「チームワーク」や「最後は人」というとらえ方で得票が伸びたようです。4番目は「プロセス」です。最近、あまりプロセスが取りざたされていない気もします。当たり前になったのか、認知されなかったのか意見が分かれる気もしますがいかがでしょうか?
1位のメンバーのスキルがマネージャのスキルを押さえて1位になったのは若干意外です。
アンケート中でもご意見を書かれている方は、「3」の見積もりに投票しているケースが多かった次第です。意外に皆さん自身はともかくチームメンバー(多くの場合は同僚)に普段不満を持ってらっしゃるのでしょうか? おそらく「メンバーのスキル」という要素を以下のように非常に広義にとらえたようです。
そういった要素がプロジェクトを左右することを、多くの方が現場で肌で感じられているからと思います。
では今回はこの問題に焦点を当てて、メンバーのスキルやモチベーションが高いにもかかわらず、難しい結果になってしまったプロジェクトとチームを取り上げてみます。同時に3位の「見積もり」という要素も深くかかわってきますので、一緒に考えてみましょう。
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