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連載:アプリケーションベンダが語るIFRS(2)

オラクル「IFRS対応は金銀銅メダルで考えよう」

垣内郁栄
IFRS 国際会計基準フォーラム
2009/11/20

怒とうの勢いで買収を続けるオラクルは複数の業務アプリケーションを展開する。企業はIFRSをどうとらえ、ITシステムの対応を進めるべきなのか。日本オラクルの担当者にIFRS対応、そしてIFRSを生かした経営管理について聞いた

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桜本氏 オラクルではこれらの対応を「金銀銅メダル」で説明しています。まずは銅メダルだけを取りたいという顧客はレポーティングだけで対応すれば、最低限、表彰台に上がれるでしょう。勘定科目を読み替える仕組み、データを収集する仕組み、連結でレポートする仕組みにはOracle Hyperionが利用できます。連結システムでIFRSに対応させることで、個々の業務システムや総勘定元帳は現状のシステムを使い続けることができます。

 しかし、実をいえばレポーティングでの対応は、オラクルが主張する経営管理の基盤にはなりません。いわゆる決算書の化粧直しです。つまり、レポーティングによるIFRS対応では内部統制上の負荷軽減や業務の標準化が図れないのです。

報告
レポーティング
経営管理
IR・財務報告
分析・シミュレーション
予算管理
セグメント情報開示
過年度遡及修正
総勘定元帳
仕訳
勘定科目
勘定科目体系
複数帳簿の管理
複数会計基準仕訳
業務
プロセス
財務・資金管理
プロジェクト管理
固定資産・不動産管理
購買管理
在庫管理
販売管理
人事・給与管理
内部統制管理
契約管理
業務アプリケーションのIFRS対応。オラクルは「報告レポーティング」のみの対応が銅メダル、「総勘定元帳」を合わせた対応が銀メダル、すべてに対応するのが金メダルととらえている


 銀メダルは総勘定元帳や勘定科目を含めて修正するケースです。この銀メダルではグループ企業の経理部門を統合し、複数の総勘定元帳を統合することをお勧めします。1つのトランザクションを、複数仕訳の生成エンジンでIFRSとローカルの帳簿に記帳することが可能です。

 ここまで対応すれば財管一致の勘定科目体系の構築により、セグメント報告や子会社の勘定科目の標準化が実現し、経営管理上の共通のモノサシで、グループの見える化ができるようになります。この銀メダルの対応は経理部門だけでできますが、やはりコストと時間が掛かります。これを目指すならいまから準備をした方がいいでしょう。

――オラクルの強みは何でしょうか

桜本氏 オラクルのアプリケーションの強みはこの仕訳の生成エンジンを持つことです。MoUによってIFRSが将来どのように変わっても、仕訳の生成モジュールに仕訳パターンを登録しておけば、複雑な改修を行うことなく、複数仕訳が可能です。仕訳のマスタ管理といえるでしょう。

 オラクルのアプリケーションは元々、複数帳簿に対応していましたが、仕訳生成エンジンがあることで基準や通貨の異なる複数の帳簿に、基準と通貨の仕訳を同時に起こすことができるようになりました。生成エンジンがなかったR11までは、帳簿を1つ作ってから別の帳簿をローカルで変換していました。R12からは生成エンジンが付き、複数仕訳、複数帳簿をリアルタイムで生成できるようになりました。

 IFRS対応の最後は業務プロセスの最適化を含んだ金メダルのパターンです。これはMoUの議論の動向を注視する必要ありますが、グループで業務の標準化が実現すればシステム化が可能になり、シェアード型システムの採用で劇的なコスト削減ができると考えています。シェアード型システムはサーバをデータセンターに統合し、グループ全体で利用するのがいいでしょう。運用管理コストの削減にもつながります。オラクルはアプリケーションのみならず、この基盤を支えるために、最適にチューニングされた高性能で安価なデータベースマシン「Oracle Exadata」も提供しています。

――企業はどのようにして自社の対応を決めるべきでしょうか

桜本氏 顧客企業にはいま、この金銀銅のどれを選ぶかを検討してもらっています。その際の1つの判断材料は、競合との競争状態です。グローバル大企業と戦わないといけないなら金メダルを目指す必要があります。そうでなくて鉄道会社や電力会社のようにグローバルな競争にさらされていない企業であれば、銀メダルでいいかもしれません。しかし、ビジネスは国内でも、資金調達でグローバルを標榜するなら金メダルを目指すべきかもしれません。自社グループの置かれた競争の状況、経営の目指すべき方向によって、どこまで対応するかは決められるのです。

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