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連載:IFRS対応ITシステムの本質(2)

先行企業のIFRS対応システムを解説しよう

鈴木大仁
アクセンチュア株式会社
2009/8/17

欧米グローバル企業は日本企業を凌ぐ圧倒的な業績を誇っている。このような欧州のハイパフォーマンス企業はどのようなIFRS対応ITシステムを開発しているのか。その開発思想を解説する(→記事要約<Page 3>へ)

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◆連結会計システム

 欧米グローバル企業の連結会計システムは、ERP内の単体会計システムとIFRSベースで勘定科目が統一され、またセグメント情報についても、損益計算のみならずバランスシート勘定を含めてERP側からダイレクトに入ってくる形式を採っています。つまり組替えや付替えなどが介在せず、シンプルな形でERPから連結まで一貫したシステム構成となっています。

 欧米グローバル企業は、会計システム全体をこのようにシンプルにしているため、連結会計システム単体での価値については、“複雑な組替えや調整機能の充足度”よりも、“グループ各社からのデータ(連結情報パッケージ)収集機能の充足度”、“複数会計基準への適応度”、“制度連結要件と同時に、管理連結要件への適応度”といった尺度から捉えているものと考えます。

◆予算/業績予測システム

 もう1つの特徴は、グループ予算/業績予測管理です。実績値をIFRSで統一した後に来るのは将来の予測です。本社と各拠点とがグローバル横断で効率的にPDCAを回すために、欧米グローバル企業ではグループ共通予算や業績予測システムが導入されています。しかし、日本企業では本社での予算管理はおろか、国内外の関係会社含めた標準化もできておらず、いまだに表計算ソフトによるマニュアル連携に頼っている企業が多いのが実情です。

 日本企業も、まずは実績値をIFRSベースで連結させるところから対応を始めると思いますが、その次のステップは、予算編成や業績見通し業務/システムのグループ共通化だと言えるでしょう。

総勘定元帳の持ち方

 第1回では、IFRS対応システムの最重要要素である総勘定元帳/勘定科目表(英語では、General Ledger/Chart of Account)について説明しました。そして、複数元帳、単一元帳に限らず、IFRSを日々の業務運営の基準とすべきと述べました。

 欧米グローバル企業が実装している総勘定元帳/勘定科目表を下記で紹介します。【図1】は日本企業が従来の元帳の持ち方でIFRS対応した場合、【図2】は欧米グローバル企業の元帳の持ち方を示しています。例えば、単一国(日本国内のみなど)に限定してグループ内の関係会社の勘定をIFRS対応させる場合は、単純にIFRSと日本基準の財務諸表(税務対応目的)の2つの会計基準に沿った元帳と勘定科目表を構築し、それを各社に適用させるのみになります。複数元帳を選択する場合は、IFRSの勘定科目表と日本基準の勘定科目表を切り分け、パラレルで自動記帳させる形式をとります。一方で単一元帳を選択する場合には、IFRSベースの勘定科目に対して自動記帳させ、税務対応時のみ日本基準固有の勘定科目に対して組替え仕訳を行う形式になります。

【図1】既存ベースのIFRS対応モデル

 

【図2】IFRSを生かしたグローバル経営モデル

アクセンチュア資料から作成

 では、欧米グローバル企業のように、1つの元帳で、IFRSと同時に複数国の会計基準/税法に同時に対応させるには、どのような元帳の持ち方が必要となるでしょうか。ポイントになるのが、勘定科目を同一にし、グローバル複数国に対応可能な元帳を持つ「GoCoA」(Global Chart of Account)です。松コースでIFRS対応を目指す場合、そのエンジン部分としてGoCoAは非常に重要な要素であり、企業のビジネスのグローバル展開を根底で支える強みとなります。

 日本的な経営(現地主義、現地尊重、家族主義、思いやり経営など)で強みを発揮してきた日本企業は、このよきカルチャーを生かし続けると同時に、共通基盤となる仕組みにグローバル標準システムを導入することで、カルチャーと仕組み双方のバランスの取れた、多極化に対応した新しい時代の日本企業の礎を作ることができるのではと考えています。

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