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■競争力強化、イノベーション
 
分析力を武器とする企業――強さを支える新しい戦略の科学
●トーマス・H・ダベンポート、ジェーン・G・ハリス=著/村井 章子=訳
●日経BP社 2008年7月
●2200円+税 978-4-8222-4684-6
 常に最高のアイデアを出すことができてこそ、経営者は経営者の名に値する。経営者の仕事で必要なことは、誰のアイデアか、誰の意見かにはこだわらず、その中身だけを吟味、事実の裏付けを確認し、そうした姿勢を組織に浸透させていくことだ。分析力で一歩先んじた企業からピックアップしたベストプラクティスを紹介し、経営者の仕事の指針をまとめたのが本書だ。
分析力に長けた企業はどこでも、実験を通じて学ぶ姿勢のあることが特徴だ。オンラインでレンタルDVDサービスを提供するネットフリックスでは、生のデータ集計はもちろん、定量分析、定性分析の多様な手法が駆使される。その実験精神がマーケティング部門からカスタマー・サービス部門まで社内全体に浸透し、同社の1つの文化となっている。データ分析力が強みであることと、それぞれの業界で高い業績を上げていることは、決して無関係ではないと考えられる。
分析力を武器にする企業には、「分析力が戦略的優位性のベースになっている」「分析に組織を挙げて取り込んでいる」「経営幹部が分析力の活用に熱心である」「分析力に社運を賭け戦略の中心に据えている」という4つの特徴がある。それは企業の特徴であると同時に、その成功要因にもなっている。そして4つの要素は互いに関連性があり、分析力を支える4本の柱となる。どれが欠けても建物を支えるのは難しいが、中でも一番大事なのは、経営幹部の熱意と後押しだ、と説明する。
データ分析を業績に結びつけたベストプラクティスだけでなく、社内外へデータ分析を活用する具体的な手法や、分析力を組織力に変えていくまでのロードマップなど、あらゆる角度から「経営」に強さを与える仕組みを紹介している。(ライター・生井俊)
 
プロフェッショナル・アントレプレナー──成長するビジネスチャンスの探求と事業の創造
●スコット・A・シェーン=著、スカイライト コンサルティング株式会社=訳
●英治出版 2005年8月
●1900円+税 4-901234-72-2
 ベンチャー企業が大手企業へ立ち向かうための挑戦者視点の起業論で、起業を成功させる「10の鉄則」に沿ってそのフレームワークを紹介する。
 有利な産業を選び、価値あるビジネスチャンスを発見したら、テクノロジの進化に注目したい。テクノロジのパラダイムの中で起きる小さな進化と、パラダイムシフトによる革新的な変化は、フォスターのS曲線と呼ばれる概念で説明できる。これは、テクノロジの開発に費やされる労力(資金)とそこから得られる成果の関係を描いたもので、S曲線を見ればどのタイミングでビジネスチャンスが生まれるかが分かるという(第3の鉄則)。
 市場のニーズを満たす製品やサービスを世に出すことは重要だが、それを模倣から守らなければ成功とはいえない。リチャード・レビンらの研究によれば、特許を取っていない新製品の約半数が、開発費の半分以下のコストで、6〜10社の競合に複製されているという。その情報が競合に広がらないようにするためには、秘密主義に徹しなければならないが、それは事実上不可能だ。特許権を中心に、模倣に対する法律上の障壁を築くこともできるが、それが新しい製品やサービスを守ってくれると思ってはいけない。特許と企業秘密とどちらが効果的か比較し判断すべきだと説く(第7の鉄則)。
 テーマごとに「してはいけないこと」をリストアップし、章の終わりにまとめと自己診断のためのチェックリストを載せる親切設計。起業の成功確率を高めるために、また経営層がいまのビジネスを見直すための「入り口」として利用できる一冊。(ライター・生井俊)
BCG戦略コンセプト──競争優位の原理
●水越豊=著
●ダイヤモンド社 2003年11月
●2400円+税 ISBN4-478-37444-9
 タイトルにあるBCGとは、戦略系ファームとして知られるボストン コンサルティング グループのこと。著者の水越豊氏は同社のヴァイスプレジデントだ。
 経営者向けに書かれた本書では、“me too”型経営ではなく、BCGが推進してきた“only me”戦略を前面に押し出す。競争を優位に進めるため、株主価値、顧客価値、バリューチェーン、事業構造、コスト、時間の6つの視点が重要だと説き、それぞれに即した事例を紹介している。
 「株主価値」(第2章)では、日本企業が1980年代までは売り上げ至上型、1990年代初頭から半ばまでは利益追求型、1990年代後半以降は株価型へ、評価方法が変わってきたと解説。支持される評価方法が時代とともに変わった、という点だけでなく、これまで売り上げや利益という企業ごとに持つ「内のモノサシ」で評価してきたものが、株価型に変わってきたことで自社ではコントロールできない株価という「外のモノサシ」で評価されるようになったことに着目している。といっても、「外のモノサシ」だけに気をとられてはダメで、「内のモノサシ」とどう結び付けるかが大切で、そのためにTBR(Total Business Return)などの指標を用いながら、バリュー・マネジメントの手法を取り入れていくべきだという。
 そのほか、戦略的セグメンテーション(第3章)、デコンストラクション(第4章)、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(第5章)、エクスペリアンス・カーブ(第6章)など、IT時代のように、動きの早い経営に欠かせない戦略や要素についても詳しい。(ライター:生井俊)
コア・コンピタンス経営──未来への競争戦略(文庫版)
●ゲイリー・ハメル、C・K・プラハラード=著、一条 和生=訳
●日本経済新聞社 2001年1月
●800円+税 ISBN4-532-19031-2
 1990年代に登場した経営概念は数多いが、その中で最も有名なものの1つ「コア・コンピタンス」の原典ともいえる本。しかし原題は「Competing for the Future」で、本書は“長期レベルの企業変革”をテーマにしている。著者はいう。「未来のための競争とは、生まれつつある市場機会を自ら創造し、それを制覇する競争、すなわち新しく生まれる戦場の支配権をめぐる競争である」。経営資源に恵まれた大企業が、野心的な後発企業に敗れることがたびたび起こるのはなぜか?──それはビジネスには「未来をイメージする競争」「構想を有利に展開する競争」「マーケットシェアを獲得する競争」の3つのフェイズがあるのに、多くの企業では市場が見えてきてから行われる「シェアを獲得する競争」ばかりに注目しているからだ。本書でリエンジニアリングは後追い戦略であるとして厳しい批判の対象になっている。そこで未来を展望すること、未来に必要となる企業力を構築することの重要性を強調する。経営ビジョンとアクションプランの間を埋めていく際に、有益な示唆を与えてくれる1冊だ。
最強組織の法則──新時代のチームワークとは何か
●ピーター・M・センゲ=著、守部 信之ほか=訳
●徳間書店 1995年6月
●1900円+税 ISBN4-19-860309-X
 注文量を増やせば増やすほど納品が遅れるのはなぜか──。企業をシステム思考の面から考察して、組織というシステムの特徴とその動作メカニズムを明らかにし、その従来型企業組織を乗り越える策として「ラーニング・オーガニゼーション」を提言する本。「リエンジニアリング」「コア・コンピタンス経営」と共に、1990年代の経営学を席巻したこのキーワードを世界に広めた原典である。といっても、日本では「ラーニング・オーガニゼーション」は「ナレッジマネジメント」に押されて、ブームといえるほどには盛り上がらなかった。本書も「ナレッジマネジメント」の関連書として紹介されることが多いが、やはりかなり視点が異なる。情報マネージャなら押さえておきたい1冊だ。
イノベーションのジレンマ──技術革新が巨大企業を滅ぼすとき(増補改訂版)
●クレイトン・クリステンセン=著、玉田 俊平太=監修、伊豆原 弓=訳
●翔泳社 2001年7月
●2000円+税 ISBN4-7981-0023-4
 企業の寿命は30年などといわれることがあるが、本書は優良企業がその“優良さ”ゆえに市場における優位性を失うというジレンマについて述べ、話題となったベストセラーだ。
 本書は顧客ニーズに適合して持続的イノベーションを果たしている優良企業が、破壊的イノベーションに直面した際に適切に対応できないことを示唆する。事例研究としてHDD業界を取り上げ、メインフレーム向けの14インチドライブメーカーがミニコンの需要に、ミニコン用の8インチドライブがデスクトップPCの需要に応えられなかったことをあげ、これらは「顧客の声を聞いた」ためだったと分析する。HDDが映像や音楽の記録・再生に使われるようになっている現在、感慨深いものがある。
 クリステンセンはこうした現象を優良企業と既存顧客の間で作られる「バリューネットワーク」という概念で説明する。そして破壊的イノベーションが作り出す新市場においては、バリューネットワークにしばられないベンチャー企業などの新規参入企業が有利であることを解説する。優良企業(大企業)が新規事業に取り組む場合は、それが持続的か破壊的かを見極め、必要に応じて主力事業から独立した部門で行うようにすべきだという(この結論はP・F・ドラッカーに通じる)。
 過去・現在・未来すべての優良企業に属する人々に推薦できる名著である。

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