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■ナレッジマネジメント
 
「経験知」を伝える技術――ディープスマートの本質
●ドロシー・レナード、ウォルター・スワップ=著/池村 千秋=訳
●ランダムハウス講談社 2008年6月
●2200円+税 4-270-00069-4
「経験知」を伝える技術
 ディープスマートとは、経験に土台を置く専門知識を理解し重視すること。それは、マネージャ自身のためにも、組織のためにも不可欠だ。著者は賢人たちが新米マネージャに、どのようにマネジメントを教えているのかに着目、その中から得たディープスマートのはぐくみ方をまとめる。
ディープスマートは、組織を動かすエンジンだ。ディープスマートの本質とその育成・移転方法を理解すれば効果的なマネジメントができる。それだけに、ディープスマートの蓄積を偶然や行き当たりばったりに任せるわけにいかず、計画的なアプローチが必要だ。これによって組織内の知識ギャップを埋めることができる。
エキスパートを育成するためには約10年かかる。それだけに、知識ギャップを埋めるには、問題解決に必要な専門知識を持っている人物に協力を求めたり、人ではなくディープスマートが埋め込まれた製品や部品を導入すべき場合もある。例えば「プラグ・アンド・プレイ」型のモデルの場合、ハードウェア、ソフトウェア、人間などの部品を集めて、ほとんど修正なく組み立てていく。ただ、部品のかみ合わせを調整することがマネージャの役割としてある、と説く。
知識の移転とコーチング、そして指導の下での経験が重要だと説く本書。移転が困難だからこそ、ディープスマートは競争の武器にもなる。それだけに、団塊の世代が退職しないうちに何らかの手を打っておくことが大切だと気付かされる。(ライター・生井俊)
 
アジャイルレトロスペクティブズ――強いチームを育てる「ふりかえり」の手引き
●Esther Derby、Diana Larsen=著/角 征典=訳
●オーム社 2007年9月
●2400円+税 978-4-274-06698-6
 仕事が一段落したあとに、チームメンバーが集まり、チームのやり方やチームワークを点検し、改善する特別なミーティング「レトロスペクティブ」。これは、チーム全体の学習を可能にし、変化の媒体として振る舞い、アクションを引き起こすものだ。本書では、レトロスペクティブの活動を5ステージに分け、具体的な手法を紹介する。
 レトロスペクティブのファシリテーターは、「1.場を設定する」「2.データを収集する」「3.アイディアを出す」「4.何をすべきかを決定する」「5.レトロスペクティブを終了する」という、明確な構成に従う。1つ目の「場を設定する」ことで、参加者はこれから行う作業に意識を集中することができ、チームが目標を再確認することにも役立つ。そこでは、グループで考え、一緒に学んでいく「全員参加」が肝になるため、部屋にいる全員に一言二言口を開いてもらう。
 データがないと、チームは何を変更し、何を改善すればいいか推測するしかない。そこで、2つ目の「データを収集する」アクティビティを実施する。5人以下の小さなグループに分け、記憶に残ったり、個人的に意味があったり、重要だったりするイベントを付せん紙に書き出していく。このタイムラインアクティビティでは、感情やイベント、職務によって付せん紙を色分けする手法もある。これらの作業により、イテレーション、リリース、プロジェクトの最中に起きたことをみんなの共通理解とすることができる、と説く。
 基本的なレトロスペクティブの構成から、計画・設計・リードといったプロセスを分かりやすくまとめている。個別の手法も紹介しており、終了時点ではなくとも、チームワークの点検、改善に活用できる。(ライター・生井俊)
 
「経験知」を伝える技術──ディープスマートの本質
●ドロシー・レナード、ウォルター・スワップ=著/池村千秋=訳
●ランダムハウス講談社 2005年6月
●2200円+税 4-270-00069-4
 「ディープスマート」(経験知)とは、人の直接の経験に立脚し、暗黙の知識に基づく洞察を生み出し、その人の信念と社会的影響により形づくられる強力な専門知識のことで、計画的にはぐくんだり、他人に移転したりすることができる。本書では、ディープスマートの構築・形成・移転の手法を、あまたの事例とともに9章構成で紹介する。
 人間は経験から学ぶ(=知識を創造・再創造する)が、それをマネジメントしないのは見かけほど単純ではないからだ。さまざまな経験の違いを知り、経験とディープスマート形成の関係を理解すれば、組織のマネジメント、部下や同僚に対するコーチング、自分自身のキャリア構築に役立つ。あらゆることは実践を通じて学んでいくが、訓練を継続する意思、練習をいとわない姿勢こそが、一般人と名外科医、チェリスト、CEOなどとの違いを生み出す(第2章)。
 また、ベビーブーム世代のエキスパートが退職する時代が目前に控えている。彼らのディープスマートを効果的に移転するためには、問題をシナリオやケース教材の形でエキスパートと経験の乏しい人物へ提示し、それぞれが解決策を考え、そのギャップを調べる手法が最もうまくいく可能性が高い。これにより、ディープスマートの出し惜しみを防ぐことができるだけでなく、ディープスマートを持っていながら正当な評価を受けてこなかった人が評価され、モチベーションを高めることができる(第9章)。
 ディープスマートを会社の知的財産として残す手法を確立したい経営者やマネージャ向け。好著だ。(ライター・生井俊)
 
思考停止企業──本音のナレッジマネジメント実践ドラマ
●ジャストシステム・エンタープライズソリューション協議会(JECS)=著・監修
●ダイヤモンド社 2005年4月
●1700円+税 4-478-37489-9
 思考停止に陥った大企業が、ナレッジマネジメント(KM)導入により復活を遂げるまでを描いたフィクション。ポイントは、「思考停止」に陥るのは組織と社員の双方であるという認識、そしてKMを導入することの意味だ。本書ではKMを「会社の中で成果を出す手段」と定義している。
 舞台は精密機器のトップメーカー。忙しい会社なのに業績が上がらないし、小さなミスが多々発生していた。リストラで、工場や営業などから優秀な人材を失うなどもあったが、それらに対する危機意識が不足していたというのが導入部。
 社長が業務改革室を発足し、危機意識を持っていた本部長が室長に就任。社内でヘッドハンティングした人材と問題の洗い出しをし、カネ・ヒト・モノのほかに、これからの経営資源として思考力(=ナレッジ)が必要と分析。それをどうマネジメントしていくかが勝負だと結論付けた。
 スペックや価格で営業することからの脱却、組織の壁を乗り越える方法、改革意識の低い情シス部門との交渉などのシーンは、フィクションとはいえ、勝ち組企業でも参考になる点が多々あることだろう。経営者、マネージャ、いまの企業を変えたいと思っている人向け。(ライター・生井俊)
 
この情報共有が利益につながる──経営課題に適した4つの実践アプローチ
●リアルコム(株)=著、吉田 健一=監修
●ダイヤモンド社 2004年11月
●2000円+税 4-478-37479-1
 本書は、数多くの情報共有プロジェクトを手掛けてきたリアルコムが、その活動から得た知見や考察を方法論として体系化したもの。情報共有で確実に経済効果(ROI)を生み出すための処方せんとして、第1章では失敗事例を、第2章は東京三菱銀行やららぽーとなどの具体的な「4つの情報共有アプローチ」を紹介する。
 ROI向上を実践するには、まず「Data Centric」(データ中心)から「People Centric」(人中心)へ考え方を変えることから始まる。スタティックなデータのやり取りだけでなく、ダイナミックな人的コラボレーションによる、本当の情報を効率よく流通させることが必要だという。そして、情報共有の視点を「目的」から「手段」に、概念論的・精神論的な「アート」から科学的な解決策の「サイエンス」に変えていくことも行っていくと説く。
 また、情報共有は、「情報アクセスの最適化」「コミュニケーション・フローの改善」「ベストプラクティスの横展開」「スキル・ノウハウの流動化」の4つのアプローチに分類できる。情報共有を行う際には、4つのうちのどれか、もしくは複数選んで実施していくことになる。このことが、確実に高いROIを実現することにつながる。
 グループウェアを導入したものの利用が伸びない、もしくは情報がありすぎて困っている企業で、効率よい情報共有を考えているシステム担当者向けの1冊。(ライター・生井俊)
暗黙知の次元──言語から非言語へ
●マイケル・ポラニー=著 佐藤敬三=訳 伊東俊太郎=序
●紀伊國屋書店 1980年8月
●1456円+税 ISBN4-314-00301-4
 ナレッジマネジメント用語として有名になった「暗黙知」の概念を最初に示した「Tacit Dimension」の邦訳。ポラニーのいう暗黙知は、言語化されないものであり、いわゆる「直感的な認識」「勘やコツ」「体験(体で覚える)」といった領域のことだ。ポラニーは、「我々は語ることができるより多くのことを知ることができる」(p.15)と述べ、客観的知に重きを置き、理解という行為から主観や個人を排除するヨーロッパ的価値観(科学や教育)を批判する立場を取る。ナレッジとは何かを真剣に考えるための土台となる1冊である。
これから知識社会で何が起こるのか──いま、学ぶべき「次なる常識」
●田坂広志=著
●東洋経済新報社 2003年7月
●1600円+税 ISBN4-492-50112-6
 トフラーの「第三の波」以降であろうか、知識社会の到来が叫ばれて久しい。そこでは「知識」「情報」「データ」が重要だとされてきた。
 筆者はまず、知識社会では知識が価値を失っていくという逆説を述べる。これはエンジニアであれば、身に付けたスキルが必ずしも一生モノではないことでよく分かるであろう。知識社会で本当に重要なのは「職業的な智恵」であり、「言葉で語れない智恵」だという。
 これらを身に付けるには「職場」における「経験」が必要であり、企業は人材育成ではなく「成長支援」へとパラダイムを切り替える必要性を説く。
 そして、知識や智恵の創造は「創発」的に行われるとし、知識社会における新規事業開発(起業)も「創発」的だと指摘する。そしてそこでは企業家個人の能力以上に「商品生態系」こそがキーだと論じる。
 1990年代を通じて、さまざまに論じられた“ナレッジマネジメント”“学習する組織”“eビジネス”に関する話題が一貫した構成でコンパクトにまとまっている。頭の整理に好著。

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