IBMのB2B戦略
B2Bはeコマースとは違う。EAIを伴ったWeb化を実現

2000/6/2

 「B2Bは単なるeコマースとは違う。企業システム全体を統合したうえで、Webに対応させる必要があるからだ」。日本IBMは都内で開催した「IBM DAY :The Business to Business Integrationコンファレンス」でこうしたメッセージを打ち出し、集まったエグゼクティブクラスの顧客達の目の前に同社のB2B戦略を描いてみせた。


北城恪太郎氏「既存の企業がeビジネスを始める新しいステージが始まる」

 インターネット上での企業間取引を指すB2Bは、B2Cをしのぐ巨大な市場になるとの見通しが広まっている。IBM アジアパシフィック&日本アイ・ビー・エム代表取締役会長の北城恪太郎氏は「今後は複数の企業が共同でインターネット上のマーケットプレースを運営することにもなるだろう。ISPとのパートナーシップで、こうしたB2Bも押さえていく」と、B2Bのための大規模なWebシステム構築に強い自信を示した。

 事業開発担当バイスプレジデントのウィリアム・リーディ氏は、B2Bを実現しようとする企業には、eコマースによるWebトランザクション機能と、企業間の共同作業をネット上で行う機能が求められるとした。具体的には、「SCM、CRM、SFA、ERPといった社内システムをWebによって統合する必要がある」という。一例として、自動車のような最終製品を製造、販売する企業が部品メーカーや販売会社とB2Bを構築した場合の例をあげた。この場合、部品メーカーとはSCMを、販売会社とはERPをWebを通じて連携させることが必要だ。また、顧客に対してもインターネット上でサービスを展開するならば、Web対応のCRMも構築しなければならない。しかも、これらSのアプリケーションがばらばらに稼働していたのでは効果的なB2Bはおぼつかない。つまり、B2Bを実現するためには必然的にEAIのWeb化をすすめる必要がある、というわけだ。

 こうした同社のB2B戦略の中核となる製品が、Webアプリケーションサーバである「WebSphere」と、エンタープライズアプリケーションのミドルウェアとなる「MQSeries」だ。MQSeriesは強力なアプリケーション間連携機能で、複数の企業アプリケーションを統合するハブとしての役割を果たすことができる。WebSphereは、トランザクション処理をWebで行う機能を提供するアプリケーションサーバ。

 また同社は、近く「WebSphere B2B Integrator」を投入する。これはB2Bの構築に必要なビジネスプロセスの設計などをWebSphere上で容易に行えるようにするツール。さらに、SCMベンダーのi2、調達システム用アプリケーションなどを提供するAribaとアライアンスを組み、B2Bに必要なアプリケーションとサービスを総合的に提供していく戦略をとる。

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