Microsoft系団体の調査を承認したラリー・エリソン氏

2000/7/1
(06/28/00, 6:54 p.m ET) By Antone Gonzalves, TechWeb News

 OracleのCEO(最高経営責任者)ラリー・エリソン氏は6月28日、Microsoft系団体の調査を承認したことを認めた。しかし、調査会社の名前は知らなかったとし、調査結果は同氏に知らされた直後に明かされたという。

 エリソン氏は、同社本社で報道陣やアナリスト向けに会見を開き、インターネットベースの商取引サイト構築用の同社最新の製品パッケージングに関する説明を行った。

 だがこの製品発表は、これに先駆けて明らかになった、Oracleが調査会社に依頼したMicrosoft系団体の調査と、Microsoftの政治活動に関する社内文書の報道機関への開示に関する質問によって、影が薄くなってしまった。

 エリソン氏によると、Oracleの調査は同社のワシントン支社が調査会社のInvestigative Group International(IGI)に依頼したものだという。

 「彼ら(ワシントン支社)がMicrosoftの過去の行為に関する調査予算を持っていたので、私が彼らにMicrosoftの秘密工作に関する調査を進めることを承認した」とし、自分が調査に関する「全責任」を負うと加えた。

 しかしエリソン氏は、調査をIGIに依頼したことや、この会社がMicrosoft系の業界団体らに疑問視されるような行動をとろうとしていることまでは知らなかったという。調査会社は、これら組織のオフィスから出るゴミを購入することなどを検討していた。

 「彼ら(IGI)には合法的な活動をするよう念を押した。我々は、彼らが合法的に活動するよう十分に用心したが、もしOracleが直接依頼した会社が何らかの不法行為を行えば、それを可能な限り迅速に明らかにするとともに、できるだけ早急に償いをする」(エリソン氏)

 Oracleは27日、同社がカリフォルニア州オークランドのIndependent Instituteと、バージニア州アーリントンのNational Taxpayers Unionに関する調査をIGIに依頼したことを正式に認めた。エリソン氏は、OracleがIGIに調査を依頼したことを知ってすぐにその内容を明らかにするよう指示したという。

 報道では、IGIがオフィス内のゴミを購入することでAssociation for Competitive Technology(Microsoftが支援するロビー活動団体)の内部情報を入手しようとしたという。Oracleはこの行為については承認しておらず、エリソン氏はこのような不正な活動については一切知らされなかったという。

 エリソン氏によると、マイクロソフトが資金提供しているこれらの団体は、司法省との裁判でマイクロソフトを擁護する立場の団体として登場しており、今回の調査はこうしたことへの対抗措置だったという。

 また同氏は、Microsoftは不当に世論を動かそうとしており、Oracleは同社の戦略を明らかにすることで「社会貢献」をしたのだという。

 「我々はスパイ活動をしたのではない。Microsoftの行為を明らかにしようとしたのだ。Microsoftは数多くの秘密工作に関与している。Microsoftがこれらの組織を作り出し、これらの組織に(Microsoftの)意志に沿った発言をさせるべく資金提供しているのだ」(エリソン氏)

 Microsoftは用意された声明の中で、「Oracleが一連の行為を正当化していることは、その態度以上に憂慮すべきことだ」と述べている。

 「これは、競合相手がMicrosoftの社会的イメージを不当に低下させ、自分たちがメリットを得られるよう政府の介入を促進する大規模な運動を続けている劇的証拠である」(Microsoft)

 Microsoftによると、Oracleによる両団体の調査は「不誠実かつ偽善的」だという。  この声明では、「ProComp、Progress & Freedom Foundation、Software & Information Industry Association、およびComputer & Communications Industry Associationなど、ここ最近Microsoftを攻撃している多数の団体に対してOracleが資金を提供し、支援していることは明らかだ。我々とこれらの団体の見解や戦略は一致しないが、我々は彼らが自分たちの見解を示す権利を尊重している。Oracleが他社の言論の自由やプライバシーの権利よりも自社のビジネスゴールの方が重要だと考えていることは明らかだ」と述べられている。

 エリソン氏は、Microsoftの首脳部を「異様」だとし、Netscape Communicationsを消滅に追いやった同社の反競争的戦略を考えた場合、同社はほかの競合各社と異なる形で扱われる必要があると語った。

 「Microsoftのように運営されている企業はまったくない。彼らは特殊だ。我々が調査の必要性を感じたのは彼らだけだ。我々の業界で繰り返し不当競争の有罪判決を受けているのは彼らだけなのだ」(エリソン氏)

 Netscape(後にAOLに買収されたインターネットソフトウェア企業の草分け)は、Webブラウザ市場における独占的地位をMicrosoftのInternet Explorerに奪われている。

 連邦地方裁判所のThomas Penfield Jackson判事は6月7日、Microsoftに不法かつ反競争的行為があったとの判決を下した後、同社に分割を命令している。この判決は現在上訴中。

 法廷闘争が続く中でも、Microsoftは依然としてOracleのビジネスにとって最大の脅威となっている。データベース、ERP、およびアプリケーション開発ソフトウェアを開発するOracleは、業界最大のソフトウェア企業の座からMicrosoftを引きずり下ろせる位置につけている。

[英文記事]
Oracle CEO OK'd Probe Of Microsoft Allies

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