Javaに未練を見せないマイクロソフトの開発者たち

2000/7/15
(07/12/00, 6:15 p.m ET) By Antone Gonsalves, TechWeb News

 自社のインターネット戦略からVisual J++を外すことで、マイクロソフトはこのJava開発ツールにとどめを刺そうというのだ。

 マイクロソフトの関係者が、フロリダ州オーランドで開催されたMicrosoft Professional Developers Conference(PDC)で語ったところによると、同社の開発ツールスイートの次期バージョンである「Visual Studio.Net」には、このJava開発ツールが含まれないという。

 先月マイクロソフトがMicrosoft.NETプラットフォーム向けのJavaライクな言語であるC#(シー・シャープ)を発表したことで、業界の専門家は同社がVisual J++の開発を打ち切る準備を進めているものと考えた。

 Gartnerのアナリスト Mark Driver氏は「Visual J++は、かなり以前より市場での力を失っていた。もはや誰もこの製品を使っていない」と語る。

 Windowsプラットフォームの開発者によると、Visual J++がなくなっても自分たちのプロジェクトになんら影響はないという。

 Micron Technologyの法人向けツール/言語担当ソフトウェアエンジニア Ed Pastelak氏は「(Visual J++がなくなることは)我々にとってはどうでもよいことだ。マイクロソフトがVisual J++をJava用の標準開発プラットフォームにしようとしていると感じたことはまったくない」と話している。

 Pastelak氏によると、Micronの開発者たちは、Windows以外のプラットフォーム向けにJavaアプリケーションを開発する際は、いつもVisual J++以外のツールを使っていたし、JavaがWindows上でC++やVisual Basicを上回る機能を提供してくれたこともなかったという。

 コンサルティング会社PluralのCTO(最高技術責任者) David Osborne氏によると、同氏の抱えるクライアントは、マイクロソフトにVisual J++の後継製品が登場する予定はないものと考え、この製品から離れていったという。

 「これは『青天のへきれき』のようなできことではない」(Osborne氏)

 Visual J++でJavaをWindowsに結びつける技術を発表した時点で、マイクロソフトが同製品で目指す方向性は明確だった。この動きは、開発者にとって貴重な、(いちどプログラムを記述すれば)複数のプラットフォームで実行できるというJavaの仕様と逆行するものだった。

 Javaの創案者であるサン・マイクロシステムズは1997年に、マイクロソフトが同言語に独自の拡張を施してライセンス契約に違反したとし、Javaの使用を巡って同社を提訴している。この訴訟は現在も係争中である。

 「C#の発表はマイクロソフトとJavaの関係終焉を意味している。この訴訟はもう実質的な意義を失ってしまったと思う。来年になり、(マイクロソフトの)Javaライセンスが切れれば、訴訟は取り下げられるだろう」(Driver氏)

 このマイクロソフトのJavaライセンスは2001年3月に期限が切れる。

 Rational Softwareは、同社がVisual Studio.Netに組み込めるJavaコンパイラを開発していることを昨年発表された提携の中で明らかにしているが、リリース日はまだ決定していない。

 マイクロソフトにとってJava以上に大きな問題は(PDCではこれにフォーカスしていた)、開発プラットフォームがインターネット上に移行してもWindowsプラットフォームの開発者たちを現状のまま維持していくことだ。

 Gartnerの予想では、Windowsプラットフォーム開発者の数が今後4年間で大幅に増えることはないだろうという。マイクロソフトは現在300万人のプラットフォーム開発者を有しており、この数は350万人(世界中の企業向け開発者の45〜50%)まで増えると予想されている。

 しかし、Gartnerによると、Javaプラットフォーム開発者の数は現在の70万人から2004年には250万人に急増する予想だという。Driver氏によると、これはJavaプラットフォーム開発者がサン・マイクロシステムズ、IBM、ヒューレット・パッカード(HP)の各種UNIXシステムのほか、LinuxやWindowsのアプリケーションも開発しているからだという。マイクロソフトの抱える開発者はWindowsプラットフォーム向けのものしか開発していない。

 これまではOSがマイクロソフトにとって成功のカギだったが、インターネット時代ではこれが開発者を獲得する際の弱点になるかもしれない。

 「これまでは、そしてこれからも、OSと(これらの技術が)密接に結びついていることがマイクロソフトにとっての問題の1つとして残るだろう。マイクロソフトの成長には技術デザインが原因となる、避けられない限界がある」(Driver氏)

[英文記事]
Microsoft Developers Won't Miss Java Tool

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