プライバシーの専門家を懸念させるAmazon.comの動き

2000/9/6
(09/03/00, 12:06 p.m ET) By Barbara Darrow, TechWeb News

 これまでインターネット上のプライバシー問題を無視してきた消費者はぜひ注目してほしい。ドット・コムの中心的な存在であるAmazon.comが自社のプライバシーポリシーの変更を進めており、(自社の判断によって)顧客情報をパートナー各社などに提供するかもしれないのだ。

 Amazonのサイトで公表されたこのポリシーによると、同社は発展を続けるのに伴い、「店舗や資産の売買を行う可能性があり、このような場合、一般的に顧客情報も譲渡対象のビジネス資産の1つとなる。また、可能性は低いが、Amazon.comの会社自体、もしくはその大部分の資産が買収された場合には、顧客情報も譲渡対象の資産の1つとなることもある」という。

 プライバシーの専門家や、自分たちの購入データの利用方法を懸念する消費者によれば、この声明は同社にかなりの便宜を与えるものだという。ただし一部には、Amazonが顧客に対して今回のポリシー変更を積極的に警告する判断を下したことを賞賛する向きもある。

 9月2日(今回の変更に関するニュースが漏れた翌日)に顧客に向けて送信された電子メールには、「プライバシーは重要なものであるため、今回の件については、Webで一般的に行われているように、ただ我々のサイトのポリシーをアップデートするだけではなく、電子メールで事前にお知らせしたかった」と書かれていた。

 Drugstore.com、Petsmart.com、およびGreenlight.comなどの企業に出資し、2000万人以上の顧客を有するAmazonは、明らかに電子商取引の最前線にいる。だが、同社はそれと同時に財政面でかなり厳しい見方をされてもいる。ウォールストリートも、同社が収益を上げられずにいることにいらだちを見せ始めている。さらにプライバシー擁護者も、同社が手っ取り早い現金確保の手段として顧客データの売却に出るのではと警戒している。

 Privacy Foundationの事務局長、Stephen Keating氏は、「このようなことがあるから経済の現状には注意していなければならない。Amazonの情報にどれだけの価値があるのか見積もりを取るのも非常に興味深いことだ。数千万ドル以上になるのではないだろうか」と語った。

 買い手の輪を越えた運動や論争で、Amazonにはかなりのプレッシャーがかかっている。同社は、特定の企業による購入情報を集計し、その購入情報を元にしてベストセラーのリストを公開している。このような処置にはIBMがかなり否定的な反応を示している。

 また、同社は確かに顧客データを蓄積しており、買い物客に自分がプレゼントとして欲しいものを入力させ、自分向けの「信頼する友人や家族の輪」を作って、自分の好きなものを知人に知らせるよう促している。昨年の6月に開催されたPC Expoでは、Amazonの創立者で会長のJeff Bezos氏が、同社がこの情報を使って自分が買う物や誰かに買ってもらう物に関連する購入情報を顧客に勧める様子をデモンストレーションしている。

 プライバシー擁護者が1つ心配しているのは、Amazonが自社の提携プログラムを通じてカスタマーが考えるよりもはるかに多くの情報を得ていて、データが文学の好み以外の広範にわたる可能性があることだ。自動車販売ビジネスへの参入を認めている同社は、既に自動車関連サイトのGreenlight.comと提携を結んでいて、観測筋によれば、同サイトが同社にカスタマーの運転状況や信用度などの情報を提供する可能性があるという。

 消費者の多くはプライバシーに関して相反する物を持っている。彼らは企業にプライバシーを侵害して欲しくないと言いながら、ほとんどがWebブラウザのCookieを無効にするなどの先を見越した対策をとっていない(データは保護できるがWeb上での作業が限定されてしまう)。

 Amazon.comに、この件についてのコメントを求めたが回答は得られなかった。

[英文記事]
Amazon.com Move Worries Privacy Pros

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