ポストPC時代を見せる慶應大オープンキャンパス

2000/9/23

 開設11周年を迎える慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)は、9月22日、SFC Open Reserch Forumを開催した。SFC内で進められている研究活動を一般に公開するイベントで、キャンパスには研究者、学生をはじめたくさんの人が見学に訪れた。

徳田英幸教授 「ポストPC時代、情報家電などで日本が優位性を発揮するだろう」

 その中の一つ、「次世代コラボレーションスペースを実現するSmart Space実験装置の構築」をテーマに研究を進めている、環境情報学部徳田英幸氏の研究室では、ユビキタス・コンピューティングを体験することができた。

 同研究室では、"B in B"(Box in the Box)と称し、部屋の中に部屋型知的空間(Smart Space)実験装置を建築し、ヘテロジニアス(異機種)ネットワーク環境の構築、仮想情報家電やウェーラブルネットワークなどの分散型ミドルウェアアーキテクチャの実証評価に取り組んでいる。知的空間では、壁や床にセンサーやネットワーク機器が埋め込まれていたり、はめ込み式のパネルにより必要に応じて室内を再構成できるモジュラーパネルなどがある。

 例えば、IDを持つタグを装着してこの知的空間に入室すると、タグが発する無線を天井など複数の場所に設置された無線基地局が受け、ネットワークに入室情報を伝える。あらかじめ設定しておいた、好みの室温などの個人情報がネットワークを通じて機器に送られ、自動的に温度調節が行われる。また、iモードから、部屋の明るさの調節を自由に行うこともできる。他にも、人間が動くと動いた環境での最適なデバイスを探し出し、アプリケーションを移行してくれる、空間のパーソナライズ化(「Personalizing Public Place」)も体験できた。

無線基地局 天井や壁に埋め込まれている モジュラー型壁面に埋め込まれたディスプレイ

 「環境が持つ機器能力と個人の持つ機器能力の比率を変えていく」と徳田教授は語る。人間が持つものをできるだけ小さく軽量にして、環境が持つパワーを利用する、そんな環境がポストPC時代の日常環境だと教授は見ている。

[関連サイト]
SFCのホームページ
SFC徳田研究室のホームページ
Smart Space実験装置に関するページ

 

 

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