Linuxユーザーの怒りの理由とは?

2000/10/18
(10/13/00、 8:15 p.m ET) By Stuart Glascock、 TechWeb News

 話題性、最高レベルのOEM契約、優良会社からの投資、そして驚きに値する献身的なユーザーのネットワークに囲まれたLinuxだが、尊厳を求めて奮闘するも屈辱を受けている。

 このオープンソースコードOSの擁護者によると、Linuxは開発途上国やWebにアクセスできる人が完全に少数派である地域などで、デジタルデバイド(情報格差…情報リテラシーに個人差があること)を克服するのに理想的だという。このような背景から、デジタルデバイドを克服する趣旨で開かれる2つの注目を集める会議がLinux企業各社を冷遇する様子を見せると、ユーザーは怒りをあらわにした。

 カリフォルニア州パロアルトでは10月12日から14日にかけて、米国政府とアメリカ先住民の32の大学が、これらの大学と保留区のネットワーク化についてコンピュータ業界のリーダーたちと話し合いを行った。

 Microsoft、Lucent Technologies、Apple Computer、IBM、そしてPacific Bellなどが参加するなか、キーパーソンであるLinuxのリーダーは招待されなかった。ホワイトハウスの先住民大学構想ディレクター、Carrie Billy氏によると、Red Hat Software、Caldera Systems、VA Linux Systems、SuSE Linux、そしてTurboLinuxは参加していなかったという。

 一方、American Indian College Fundによると、多くの先住民大学では、電子メールが使えるようなネットワーク化が進められていないという。高速インターネットアクセスが利用可能なところは半数以下で、数百台ものコンピュータが必要だそうだ。

 また、ワシントン州シアトルでは16日から18日にかけて、Creating Digital Dividendsカンファレンスが開催され、ハイテク企業のトップ幹部と金融や政府関係のリーダーが集まる。このカンファレンスにはLinux企業も参加するが、彼らは会場の中には入れず、プラカードを持って無償のLinuxソフトウェアを配布し、参加者に向かってマスコットのペンギンを振るだけとなりそうだ。

 Digital DividendsカンファレンスがLinux企業を締め出すというTechWebの先週の報道に対し、あるLinuxユーザーの草の根団体は、同カンファレンスでLinuxの存在を示すべく2カ国語のWebサイト(http://www.workspot.net/~chavan/digdiv/)を立ち上げた。

 彼らは世界中の読者を集めてディスカッションフォーラムを立ち上げ、同ミーティングの外で「ゲリラ演劇」を行う計画を立ている。

 怒りをあらわにするあるLinuxユーザーは、「本当に疑問なのは、この会議の参加者がほかの人々を助けたいのか、自分たちだけのことしか考えていないのか、どちらなのかという点だ。彼らにLinuxについて真剣に考えさせるよう念を押すことがわれわれの任務だ」と書き込んだ。

 同カンファレンスでは、多くのコンピュータ業界のトップ幹部(Linuxのライバル、パートナーの両方)が講演を行う。予定されているところでMicrosoft、Intel、Hewlett-Packard(HP)、Sun Microsystems、3Com、Nokia、Motorolaなどの幹部が名を連ねている。

 同カンファレンスの趣旨は、持続的開発を奨励するワシントンD.C.のシンクタンク、World Resources Institute(WRI:http://www.digitaldividend.org/)だ。また、American Indian College Fundに寄付を行っているThe Bill and Melinda Gates Foundationも、WRIのカンファレンスに資金提供する7つの基金の1つだ。

 MicrosoftとLinuxは多くの分野で競合するため、Linuxが招待されないのも当然かもしれない。しかし、WRIカンファレンスの主催者は別の理由を挙げている。

 WRIのメディアリレーションディレクター、Adlai Amor氏は、あるLinux擁護者からの電子メールに対し、「われわれは、こちらの要求を満たすのであれば、どの技術が採用されても構わない。実際、第三世界各国の多くでは、一部のソリューションはデスクトップコンピュータではなく、携帯電話のようなモバイルデバイスを中心としている」と返事をしている。

 「このCreating Digital Dividendsカンファレンスはプロセスの始まりに過ぎず、この課題に対応するためにも、デジタル業界のすべての団体とすべてのセクターの参加を歓迎する」(Amor氏)。Amor氏はさらに、同カンファレンスでは、インドのバンガロールにあるSimputer TrustがデザインしたLinuxコンピュータで「Simputer」というLinux製品の1つが披露されることにも触れた。同氏はさらに、Red Hat Linuxの幹部を同カンファレンスに招待したが辞退されたことにも言及した。

 Red Hatの広報担当者は、Red HatのCEOであるBob Young氏が招待されたが、出席者としてであり、参加者や講演者としてではなかったと正式にコメントしている。Young氏は申し出を拒否したが、同社はほかの人間を参加させる可能性があるようだ。

 これでは、Linuxファンにとって大した慰めにならない。

 Linux Internationalの事務局長で、VA Linux SystemsでLinux伝道ディレクターを務めるJon Hall氏は、「Linuxがのけ者にされたのは本当に残念だ」と語った。

 Hall氏によると、Linuxは「メモリ、ディスク容量、CPUスピード、もしくはこれらすべての組み合わせの不足によって“Windows Me”が動かない時代遅れのローエンドPentiumシステムでも動作するので」デジタルデバイドの深刻な問題に対応してくれるという。VA Linux Systemsは先住民大学がLinuxを動かすために古い機器を有効活用するのを支援することに関心を持っているという。

 WRIの「Creating Digital Dividends」カンファレンスの主催者と参加者が複雑な問題へのソリューションの提供を目指していることは明確だが、それと同時にコンピューティング人口の大きなセグメントを疎外していることも明確だ。

 「Bridging the Digital Divide with Linux」の掲示板に書き込まれた次の意見が代弁している。

 「このカンファレンスはタイトル自体ですでに行き過ぎた客寄せだと思えるだろうが、このカンファレンスが最良のソリューションを提供するためのものではないことは明らかだ。カンファレンスの目的は参加者の利益なのだ」

[英文記事]
Twice Snubbed, Linux Users Fire Back

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