国内唯一のXMLの祭典開催

2000/10/28

 10月26日から28日まで、都内でXMLを対象にしたカンファレンス「2000 XML Conference」が開催されている。現在のところ、XMLに関する国内最大かつ、唯一の大規模なカンファレンスだといえる。

 初日のキーノートスピーチに登場したのは、XMLによるBtoBを強力に推進するる2つの標準化組織。RosettaNetの副社長、スーヘン・オー(Soohaeng Oh)氏と、ebXMLを推進する企業の1つ、米IBMのXML Marketing Manager、マイケル・ウェイナー(Michael Weiner)氏。

BtoBを推進する2者の競演

「XMLは、もともと文書のパブリッシングやコンテンツを扱うものだったが、いまではお金が直接関わる重要な技術となった」(ウェイナー氏)

 ウェイナー氏は、「顧客のもとでは、さまざまなハードウェアやアプリケーションが連携してシステムが構築されている。データは、こうしたアプリケーションのあいだを自由に流れなければならない。XMLはこの要求を満たすものだ」と、 XMLの重要性を説いた。

 またウェイナー氏は、従来のBtoBの手段として主流だったEDIは、まだ死んではいないものの、中小規模の企業ではほとんど採用されておらず、通信ごとに費用が発生するなど高価で、標準化のプロセスも遅いと指摘。それを解決できるのがXMLだとした。BtoBの標準を制定するための非営利の標準化団体OASISが制定するebXMLは、「企業間の電子商取引、特に中小規模の企業や、発展途上国の企業の電子商取引に対するバリヤを低くする」ことを目的にしている。

 現在ebXMLは、100以上の企業が賛同し、大手企業が採用しはじめているという。

「日本におけるRosettaNetの活動はめざましく、アジアのリーダーになるという勢いがある」(オー氏)

 一方、すでにXMLによるBtoBがもっとも成功している例として知られるRosettaNetは、この10月10日から60社以上で本格稼働したと、オー氏は胸を張った。RosettaNetは、主にIT関連製品メーカーと電子部品メーカーのあいだで電子商取引を行うための標準を策定する非営利団体。シスコやスリーコム、デル、インテル、サムソン、IBM、NEC、CompUSAなど、数多くのメーカーが参加している。

 RosettaNetでは、BtoBのためのインターフェイスを「PIP」(Partner Interface Process)として定義しており、リトライやタイムアウトなどの通信方法と、製品番号や製品分類、企業IDなどのデータフォーマットなどが規定されている。PIPは、取引内容や業種などによって種類が細かく分かれており、相手や内容に合わせて使い分けることになる。

 RosettaNetは今後、半導体メーカーなどが集中するアジア圏での活動を活発化させ、またテレコムや自動車産業など、関連の深い産業に対しても参加企業を募っていくという。

ミレニアムXML WWWページコンテスト

講評を語る審査委員長の村田真氏

 2日目の午前中に行われたのが、「ミレニアムXML WWWページコンテスト」の表彰式だ。今年で2回目となる。このコンテストの目的は、「WWWページ作成にXMLを用いる利点はあるか、という問いに答えること」だという。物珍しさや技術的な探求心でXMLを採用するのではなく、XMLを利用することに確固たるメリットを見いだすためのコンテストだともいえる。

 Webページの作成にXMLを使うこと、という条件のなか、サーバやクライアントにXMLを利用した18組の応募があり、表彰式ではその中から3席の5作品、2席の2作品が発表された。1席は該当者なしとなった。「1回目を大きく超える作品の登場を期待していたが、そこまでの作品がなかった。2席に、惜しい作品があったが、今回は残念ながら1席は該当なしとした」(審査委員長の村田真氏)。

 2席に選ばれたのは、岩井峰之氏、林友和氏、山下由美氏、岡田恵理氏、二村朋恵氏による「アンケート収集/集計ツール」と、木原進氏らによる「WorldCup2002 in OITA」の2点。

 講評で木原氏らの作品は、「WorldCup2002は、コンテンツの完成度が抜きんでており、XMLを活かした非常に魅力的なものを作り上げた」点が評価された。画面上にはSVGを多用した各種の国旗などが描かれ、非常に美しく、かつ魅力的なコンテンツに仕上がっている。

 一方、岩井氏らの作品は「非常に実用性が高く、いますぐにでも使ってみたいと思わせた。しかし、ドキュメントなどの不備などが目についた。そうした点をもう少し充実してほしかった」と評価された。こちらの作品は、Webページ上からチェックボックスやラジオボタンなど柔軟性の高いアンケートシステムをXMLとPerlを組み合わせて作成したもの。講評の通り、そのまま実用にできると思わせるほど完成度の高いものだった。

 3席には、佐郷幸治の「VMLによる図面とデータの連携に関する一考察」、加賀周氏、富田 陽介氏の「Slides for Presentation Markup Language」、Lynn氏が代表で制作した「XMLを利用したチャットシステム」、千葉俊哉氏の「練習記録ビューア」、小西俊司氏の「器械体操競技RESULT」が選ばれた。

(編集注:ミレニアムXML WWWコンテストの作品の閲覧には、Webブラウザのバージョンなど、条件がある場合があります)

[関連リンク]
ミレニアムXML WWWページコンテストの応募作品一覧

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