新しい“IT”とともに復活宣言〜コンパックCEO初来日

2000/11/7

マイケル・カペラス会長兼CEO
日本は「インターネットとワイヤレスを同時に見ている」とワイヤレスでの優位性を評価した

 11月2日、米コンパック・コンピュータの会長・社長兼CEO、マイケル・カペラス(Michael D. Capellas)氏が来日し、コンパックのポジションや方向性と、市場全体の動向について講演を行った。1999年にCEO就任、この9月に会長兼任となって以来、日本で行う初めてのスピーチとなる。

復活宣言

 コンパックコンピュータ代表取締役社長である高柳肇氏に紹介されて壇上に立ったカペラス氏は、まず同社の業績に触れ、「完全に復活した」と復活宣言を行う。

 一時、業績不振が深刻な時期もあった同社だが、2000年第3四半期の収益は前年同期比22%増加して1120億ドルと、四半期ベースで見ると過去最高の業績収益を記録した。この結果を受けての復活宣言となり、カペラス氏はその理由を「意欲、進取性がある社員が揃ったこと、製品の開発サイクルの短縮に成功したこと、世界規模でのサービス展開、パートナーシップが実を結んだ」とした。

 今後の技術動向について、使いやすさ、アクセスとコミュニケーションの融合、コンテンツとサービスのパーソナライズ化とパーベイシブ化、配信の堅牢性、拡張するインフラの再構築などをキーワードに挙げ、「カスタマー・エクスペアリエンスが全て」と結んだ。新世代のアプリケーションの開発は、新・旧のプラットフォームの混在、ユーザー側の広帯域化などにより大きく変わると見ている。

パートナーとの連携、Linux対応には変更なし

 同社の方向性について、「ビジネス・クリティカルなインターネットの構築、インターネットアクセスの再定義」の2点からのアプローチを示した。 具体的には、サーバ、ストレージ、サービスを軸に、デバイスの最適化や簡便な運用管理にフォーカスをあてる。それに加え、ワイヤレスなどの新デバイスの開発も視野にあるという。その上で「それぞれの分野でベストなものを提供する」とパートナーシップも引き続き重視していくことを明らかにした。同社ではこれまで、オラクル、マイクロソフト、インテルなど数社と連携してきたが、特にマイクロソフトの.NET戦略についての記者からの質問に対し、「わが社の戦略に非常に近く、コンテンツ配信をはじめ密に協力関係を築きたい」とコメントした。

 また、今年7月にストレージ分野でIBMと結んだ業界標準推進に関する提携について、「相互運用性が大切」と引き続き共に推進していくことを再確認した。現在、両社のエンジニアが共同で開発にあたっているという。あくまでもコンペティタだが、「ミドルレンジ分野で強みを発揮していく」と対象マーケットの絞込みが異なることを強調した。

 サービス部門からの収益が不振という指摘に対しては、「Y2K問題のあった昨年に比べ投資が減速したこと、(ERPなど大規模システムの導入によりメンテナンスの需要があった)以前のビジネスモデルからの移行期間であること」の2点を提示し、「現在、サービスを提唱しているどのベンダーでもサービス部門から収入を得ていないはずだ。新しい要求にどう応じていくのか模索の段階だ」と答えた。

 このところ、IBMなど競合ベンダーが積極的にLinuxサポート戦略を打ち出している。Linuxに関しては、Webサーバ以外は消極的というイメージのある同社だが、「1つのOSが全てに適しているとは思えない。いろいろな用途に応じてOSを使い分ける」とあくまでもマルチ展開に転身する意志はないことを明らかにした。

コンパックのITは“Inspiration Technology”

 同社はこの日、「Inspiration Technology(=IT)」という新コンセプトも披露した。技術主体の情報技術(Information Technology)の時代から、ユーザーのインスピレーション(ひらめき)を実現していくという意味を込めたという。同社のハイエンドのスーパーコンピューティング・サーバであるAlpha製品が米セレラ社のヒトゲノム解析プロジェクトに採用されるなど、「われわれの技術の用途はビジネスだけではない」とカペラス氏、「今後もビジネス、人間との問題解決のためのツールを提供していく」と締めくくった。

(編集局 末岡洋子)

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