ワイヤレスも要武装、「アンチウイルス対策を」

2000/12/1

 セキュリティに100%はありえない。コンピュータシステムが進歩すれば、いたちごっこで新種の攻撃手法やウイルスがでてくる。今年初めのYahoo!、CNNなどへのDDos攻撃、日本ではゴールデンウィーク中で被害は少なかったというが、世界ではわずか数時間であっという間に蔓延したLoveletterウイルスは記憶に新しい。最近では「W32/Navidad@M」というインターネットワームが猛威をふるっており、政府機関である情報処理振興事業協会(IPA)では先週末、緊急警告を出している。現在、ウイルスの種類は5万5千種あり、うち1割は被害が広範に及んでしまうマクロウイルスだという。さらに、毎週100もの新たなウイルスが発見されているそうだ。

 最近では、モバイル技術の急速な進化・普及とともに、ワイヤレス機器用のウイルスもいくつか発生している。アンチウイルス製品を提供する米Network Associatesでは、これに応えるものとして、米国で今年8月から、PDA用のアンチウイルス製品「VirusScan Wireless」の提供を開始した。PC内にモジュールを入れてPDAのウイルスチェックを行うもので、日本でも今年中に発売されるという。

Vincent Gullotto氏「(人ごとではなく)各自が常に気をつけておくことが必要」

 来日した同社のウイルスの緊急対策チーム、AVERT(Anti-Virus Emergency Response Team)のDirector、Vincent Gullotto氏は、「(ウイルスの)次のターゲットはPDA」と語る。ウイルスを作成する人(ウイルスライター)の目的は単にばら撒くことではなく、「SMS(Short Messaging Service)を使ったアタックだ」とGullotto氏。SMSは文字を電話信号に変換するゲートウェイで、ウイルスがこのSMSを経由すれば、携帯電話のユーザーが広く被害を被る事体になる。同社では今後、「VirusScan Wireless」がPDA内で直接動く製品「VirusScan Wireless for Mobile」を今年中にもリリースする予定だ。この製品を利用すれば、PDAにのみ脅威を与えるウイルスから保護できるという。

 幸いなのは、今のところPDAのウイルスは、壊滅的な被害を及ぼすには至っていないことだ(例えば、Palm OSをターゲットとしたトロイの木馬プログラム「Liberty Crack」で損傷されたファイルは修復が可能だ)。80年代発生した初期のウイルスがフロッピー間でしか感染しなかったように、ワイヤレスのウイルスはエミュレータにより伝染するためだ。だが、脅威は必ず大きなものになるという。インターネット対応のデバイスの増加に伴い、例えば情報家電も脅威の対象となりえる。近い将来、「冷蔵庫が永遠に氷を製造するようなことだって起こりえる」というような話が、冗談ではなくなるかもしれないのだ。

 「パーソナル・ファイアウォールが必須所持となる」というGullotto氏。現在、とるべき対策としては、「さまざまな保護対策を講じておくこと」「教育」と語る。「われわれがどんなに優れたアンチウイルスを開発しても、結局、攻撃するのはインターネット・ユーザーなのだから」。

(編集局 末岡洋子)

[関連リンク]
Network Associates
AVERT
日本ネットワークアソシエイツ
IPA(情報処理振興事業協会)

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