Oracle9i:一体何が新しくなるのか

2000/12/15

デモを行う米Oracleシニア・バイスプレジデントJeremy Burton氏(左)とマーケティング総責任者Mark Javis氏。ノード数を4倍にするとスケーラビリティは355%となるクラスター機能などを解説

 12月14日、日本オラクルでは開催中のイベント、OOW(オラクル・オープン・ワールド)で、新製品「Oracle9i」を発表した。この新製品の発表は、基調講演でデモンストレーションを交えて紹介されるなど、イベントの目玉の1つとなった。

 「Oracle8i」は現在のオラクルのデータベース製品に付けられた名称だが、その後継となる「Oracle9i」は、データベース製品の名称ではない。Oracle9iは、同社の次世代データベースとアプリケーションサーバを組み合わせたプラットフォームの名称になる。それぞれは「Oracle9i Database」「Oracle9i Application Server」と呼ばれる。

 Oracle9iで同社が強調するポイントは3つ。クラスタ機能と、キャッシュ、そしてポータルだ。つまり、 データベース機能の進化よりも、その周辺の進化にスポットライトがあたっているといえる。逆に言えば、データベースエンジンそのものは大きく変化したわけではない、ということだ。同社が配布したOracle9iの新機能を解説した「オラクル ホワイトペーパー」 を詳細に読むと、データベースまわりの新機能があることはあるが、オンライン状態でのリカバリ機能など地味なものばかり。総じてOracle9iは、データベースの機能向上というよりも、データベースを核にしたプラットフォーム機能を向上させた、と見るべきだ。

デモでは、導入によりいかにレスポンスタイムが短縮されるかグラフを用いて強調した

クラスタの性能向上をはかる「キャッシュフージョン」

 新機能の1つ、「キャッシュフュージョン」は、クラスタシステムのパフォーマンスを向上させる技術だ。クラスタを構成する各ノードが保持するキャッシュデータを、必要なときに他のノードへ直接転送することで、ユーザーからの問い合わせに対し、どこかのノード上のキャッシュにデータが存在するかぎり、ディスクI/Oを回避した高速なレスポンスを可能にする。この機能はOracle8iベースの「Oracle Parallel Server」に採用されていたもので、Oracle9iでは、さらに高度化したものを採用する。同社によると、これによってクラスタを構成するノード数の増加に比例した性能向上が見込め、障害が発生したノードは動的に切り離して、システムとしては運用を継続できるという。

データベースと連携して更新される「Webキャッシュ」

 Oracle9i Application Serverの提供する新機能が、「Webキャッシュ」だ。データベースから生成される動的なコンテンツに対してもキャッシュを適用させることが可能で、eコマースサイトのような動的なWebアプリケーションのパフォーマンスを向上させることに役立つ。URLごとにキャッシュを保持するとともに、キャッシュの内容がデータベースと連携するのが大きな特徴。データベースが変更されると、それに基づいてキャッシュの内容が書き換えられるため、つねに最新の情報がキャッシュに保持され、動的な問い合わせにも効果的に対応できる。

パーソナライズを可能にする「ポータル」

ポータル機能について説明する米Oracle開発ツール製品層責任者Sohaib Abbasi氏

 「ポータル・フレームワーク」もOracle9i Application Serverの主要な機能だ。企業内外の情報を集中的に一つのWebページに表示させる、いわゆるEIP(Enterprise Information Portal)機能を備えている。

 そのほかトピック的な新機能をひろってみると、XMLをネイティブに格納するXDBがサポートされる。XMLネイティブがなにを意味するのか、資料には詳細を記述していないが、恐らくXML文書をそのまま文書として格納するものではないかと予想される。セキュリティ機能としてPKCS#12証明書をサポートするPKI(Public Key Infrastructure)を利用可能。PL/SQLのコンパイルが改良され、WebサーバにはApacheが採用。などがある。

プラットフォームの主役が変わった

 こうしてみると、Oracle9iの主役はデータベースではなくWebアプリケーションサーバだと言ってもいい。かつてのアプリケーションは、データベースの上にC言語やPL/SQL言語で開発されており、データベースがプラットフォームだと言えた。しかし、いまやそうした手法は古典的なもの。これからのアプリケーションはサーバベースとなり、アプリケーションサーバの上にJavaで記述される時代だ。プラットフォームの主役は変わった。同社はそれに合わせた製品戦略をとった、ということだろう。

(編集局 新野淳一)

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