今年のお騒がせウイルスTOP10は?

2000/12/21

 トレンドマイクロが2000年のコンピュータウイルス感染報告総件数の順位と状況の総括を発表した。同社に寄せられた日本国内でのウイルス情報をもとに、感染規模やウイルスの危険度を考慮してランキングを行ったもの。

 1位はウイルス名が「PE_MTX.A(TROJ_MTX.A)」、ファイル感染型のトロイの木馬型のワーム。9月に発生し、じわじわと被害を与えていったウイルスだ。感染のために複数のファイルを作成し、システムに被害を与えるほか、電子メールを通じてコピーをばら撒くワーム活動も行う。

 世界的に大きな話題となった“ラブレター”「VBS_LOVELETTER」は2位で登場。日本ではゴールデン・ウィークが重なっていたために大きな被害とはならなかったが、連休後にメールボックスを開き、思わずクリックしてしまった、という方も多かったのではないか。このウイルスはVBスクリプト型のワームで、添付ファイルとしてばら撒かれ、メールソフトを介して感染を広げるのが特徴。ちなみに3位は「X97M_LAROUX.A」、4位以下は「TROJ_SKA」、「TROJ_PRETTY_PARK」などトロイの木馬型のワームが続いている。このところ話題の「TROJ_NAVIDAD.A」も6位にランクインした。

 総括によれば、今年は、インターネットを利用して自己増殖するワーム型ウイルスの増加が顕著だったという。マクロ型は減少傾向にあり、“ラブレター”に代表されるようにVBスクリプト型が増加傾向にあるとのことだ。また、ハッキング(クラッキング)とワーム型の複合での攻撃も増えているという。これは、破壊力の高いウイルスを送りシステムを破壊する手法で、ハッキングツールの機能とワーム型感染力の両方を併せ持つ、脅威度の高いものだ。今後、懸念されるウイルスとしては、モバイル端末で感染するウイルスをあげている(12月1日付け記事「ワイヤレスも要武装、「アンチウイルス対策を」 」参照)。

 同社によれば、企業側の対策に対する関心は高まっており、積極的にウイルス対策製品を導入するユーザーが増えているという。増加の背景には、情報不足な初心者ユーザーや、ウイルス対策ソフトの更新の怠りなどが考えられるとの指摘もある。

 政府機関である、IPA(情報処理振興事業協会)によれば、ウイルスの届け出件数は、11月までの累計が8331件で、すでに前年を上回っている。

[関連リンク]
トレンドマイクロの発表記事
IPA(情報処理振興事業協会)

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