HP、アプリサーバ市場で勝負へ

2001/2/16
(02/13/01, 9:21 p.m. ET) By Antone Gonsalves, TechWeb News

 Hewlett-Packard(HP)はWebアプリケーションインフラ提供に関して手間取っていたが、大企業の資金を狙い、マーケットのリーダーたちととことん戦う準備を整えたという。

 大手ハイテクベンダーである同社は、2月13日記者会見を開き、2つのEC(電子商取引)ソフトウェアパッケージ、「HP Netaction」と「HP OpenView」を発表した。

 Netactionの目玉は、HPが昨年10月にBluestone Softwareを4億7000万ドルで買収した際に奪取したJavaアプリケーションサーバ、「Bluestone」である。

 アプリケーションサーバは未来のWebプラットフォームへと進化するものとみられており、サプライチェーン間のリンク、カスタマーやパートナーとの商取引、そしてデスクトップやワイヤレスデバイスとの通信で企業が使うソフトウェアを運用する。

 Zona Researchの業界アナリスト、Martin Marshall氏はBluestoneについて、「HPは素晴らしい掘出し物を手に入れた」と語っている。同氏によれば、HPのこのソフトウェアはライバルのBEA SystemsやiPlanetのものを凌駕しており、匹敵するものはIBMの「Websphere」製品ラインしかないからだ。Microsoftは同社の.Netソフトウェアによって同じ市場で競合しているが、開発/導入環境としてJavaではなくWindowsを提案している。だがMarshall氏は、IBMやHPではソフトウェアを自前で用意しているのに対し、MSはサードパーティーに頼っていることも指摘している。

 しかし、ほかの業界専門家は今回のHPの発表にそれほど強い印象を受けていない。

 Current Analysisの業界アナリスト、Shawn Willett氏によると、HPはJavaアプリケーションサーバ市場への参入が遅れたという。「もしHPが競争に加わりたいのであれば、何か劇的なことをしなければならない。だが、私の目には劇的なことは見えなかった」(Willett氏)

 Willett氏によると、HPは発表会で、企業がマーケットリーダーの製品ではなくBluestoneを購入する必要がある根拠を示すことに失敗したという。HPは、20億ドル規模のソフトウェアビジネスを展開しているというより、むしろシステムインテグレーターのような見方をされているのだ。

 トランザクションプロセシング(TP)モニタの「CICS」、メッセージングミドルウェアの「MQSeries」、そして完成された開発ツールセット「VisualAge」など、IBMにはHPが持っていない多数の製品がある。また、BEAには「WebLogic」アプリケーションサーバのほかに「Tuxedo」TPモニタもある。

 Bluestoneの元CEOでHPのミドルウェア事業部のトップに就任するKevin Killroy氏は、ライバルとなるBEAに対する考えを明らかにした。記者会見後のインタビューで「われわれは彼らを徹底的に叩きつぶす」とコメントしたのだ。

 しかし、HPとBEAはBluestone買収前に提携を結んでいる。そのため、HPには現在BEA WebLogicをHP製ハードウェア上で使っている全カスタマーをサポートする意向があり、新規カスタマーにもパッケージを販売する。

 NetactionソフトウェアスイートにはBluestone、HPの組み込みJVMであるChai、Process Manager(元の「Changeengine」)、HP OpenCall(コールセンター向けAPIセット)、HP Security、そしてインターネット利用率マネージャが含まれることになる。

 このほか、Netactionには「E-speak」が含まれている。E-speakはHPのWebサービス用技術で、同社ではこれを、IBM、Microsoft、そしてつい最近のSun Microsytemsの「Sun ONE」構想よりずっと以前の1999年5月に発表した。

 E-speakは、インターネット上のアプリケーションサービスの発表と発見のためにJavaとXML技術を組み合わせたもの。「E-services」は、XMLを使ってインターネット上で呼び出すことのできるAPIで、業務アプリケーションをリンクするための比較的簡単な手段をデベロッパーに提供してくれる。だが、E-speakは広い支持を獲得できなかったという業界関係者もいる。

 同社のXMLへのコミットにも疑問の声がある。同社チェアマンのCarly Fiorina氏は、内部の関係者にXML関連の投資を削減するよう指示していると言われているからだ。HPは12日に標準化団体OASIS(Organization for the Advancement of Structured Information Standards)に参加したばかりだ。MicrosoftやSun、IBMはすでに参加しており、かなり遅れを取った形だ。

 同社のシステム管理ソフトウェアを構成する「HP OpenView」は、SunやIBMの顧客向けとしても成功しているため、Netactionとは別に扱われている。HPの関係者は、同ソフトウェアが今後もベンダーに中立であることを強調するが、Netactionスイート向けに統合コンポーネントが用意される可能性もあるようだ。

 HPの関係者によれば、これら2つのソフトウェアパッケージは、合わせて25種類のソフトウェア製品を整理統合したものになっているという。HPの発表では、E-servicesをサポートするWebアプリケーション構築でIT部門を支援する開発ツール戦略が紹介されなかった。

 しかし、HPのソフトウェアソリューショングループ担当副社長のBill Russell氏は、その分野に関する発表を来週に行うと語っている。

*この記事は一部編集しています。

[英文記事]
HP To Battle In App Server Market

[関連リンク]
米HPの発表資料(英語)

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